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鈴木杏
『椿三十郎』
頼りないんだけど、ガムシャラで一生懸命な男性ってすてき
『椿三十郎』鈴木杏 単独インタビュー

取材・文:内田涼 写真:田中紀子

45年前に製作された黒澤明監督、三船敏郎主演の名作『椿三十郎』が、織田裕二を主演に迎えリメークされた。森田芳光監督のさえ渡る演出の下、個性豊かなキャスト陣のアンサンブルも見どころの本作。おっとりとしたお姫様・千鳥を好演し、時代劇映画初出演を果たした鈴木杏に話を聞いた。

■中村玉緒さんと2度目の親子役

Q:まず今回、鈴木さんが演じた千鳥というキャラクターについて教えてください。

育ちの良いお嬢さんですね。ずばり箱入り娘です。性格はとてもおっとりしていて、マイペースな女の子だと思います。今の時代にはあまりいないタイプかもしれないですね。千鳥ちゃんというキャラクターそのものに、時代が出ているんじゃないでしょうか。

Q:これまでの鈴木さんのイメージとは少し違う役柄ですよね。

そうですね。千鳥ちゃんとは違って、普段からどちらかといえば「男の子だね」って言われることが多いです。性格もサバサバしていますね。でも、マイペースという部分は千鳥ちゃんと似ているかな。こういうおっとりした役柄は初めてだったので、役の幅が広がったと思います。

Q:千鳥ちゃんの役作りはどのように?

黒澤明監督の『椿三十郎』を観て、役柄の雰囲気を参考にしました。それと、競演した中村玉緒さんがとてもすてきな雰囲気をお持ちで、親子ということもあり「この雰囲気に合わせていけばいいんだ」って思いました。

Q:以前も中村玉緒さんと親子を演じたことがあるそうですね。

9年くらい前にテレビドラマで。わたしはまだ小学生でした。ですから今回改めて、親子を演じるのをとても楽しみにしていたんです。実際、お会いしたら相変わらずとても優しくて、カイロをくれたんです(笑)。何より安心感がありました。

Q:時代劇映画に初チャレンジ。どんな苦労がありましたか?

正座がつらかったですね(笑)。座りっぱなしで、あまり動きも多くない役柄だったので。最後の方はスタッフさんがタオルでクッションを作ってくれて、隠しながら仕込みながら……。撮影の前は、お着物やかつらが大変なんじゃないかって思っていたんですけどね。

■織田さんは現場を引っ張るリーダー的存在

Q:今回、椿三十郎を演じた織田裕二さんはどんな方でしたか?

あまりゆっくりお話する時間がなくて残念だったんですが、とてもすてきな方でした。自分の撮影が終わっても現場に残って、若いキャストたちと話をしたり、すごく現場の雰囲気に気を配ったりされていて、リーダーってこういう人のことを言うんだなって思いますね。

Q:同世代の松山ケンイチさんとの共演はいかがでしたか?

役柄によって顔つきやしぐさが全然違いますよね、すごく才能がある俳優さんだと思います。同世代ということもあり、何だか気持ちもシャキッとするし刺激になりますね。自分も頑張ろうって思いました。

Q:森田芳光監督とのお仕事も初めてでしたね。

森田監督はのほほんとしていて、とても穏やか。自然と現場もそういう雰囲気になりましたね。あと「カット」の声が、OKのときとNGのときで全然違うんですよ。だから、普通に「はい、カット」って言うときは「あっ、これはダメなんだな」ってすぐ分かりました(笑)。とにかく無邪気さや少年のキラキラした部分を持ち続けている方。また一緒にお仕事をできればと思っています。

Q:千鳥ちゃんの役柄についてはどんな指示が?

とにかく「ゆっくり、ゆっくり」ということで、リズムや間(ま)をすごく大切にされていました。

Q:いろんなタイプの男性キャラクターが登場しますが、鈴木さんが一番惹(ひ)かれるのは?

千鳥ちゃんの役柄もあると思いますが、松山ケンイチさんが演じる若侍の伊織くんがすてきだと思いました。頼りないんだけど、ガムシャラで一生懸命。すごくいいなと思いますね。

■いつかは悪役に挑戦したい!

Q:2007年は出演映画が3本公開され、舞台にも挑戦されましたね。

撮影は去年でしたが、出演作が公開されるたび、自分の持ち札をどんどん見せている感じで(笑)。舞台でも時代劇を演じたことがとてもいい経験になりましたし、とても充実した1年だったと思います。今は「次に何しよう、何が待っていてくれるんだろう」っていうワクワクの方が大きいですね。

Q:今後チャレンジしたい役柄はありますか?

悪い役を演じたいんですよ! 最近は映画や舞台を観ていても、ちょっと屈折した人に惹(ひ)かれます。悪い役を魅力的に演じるのってとても大変だと思うので、いつかは挑戦したいと思っています。ダークな雰囲気の作品にも興味ありますね。結構、健全な作品が多いので、わたし(笑)。でも今はまだほかにもやっていないことが多すぎて、どれって決めている余裕はないですけどね。

Q:映画と舞台では、どんな違いを意識していますか?

舞台は失敗がきかない分、長期間みっちりけいこしますし、お客さんと同じ空間でコミュニケーションを取れるので、安心感があります。映画は一発勝負、瞬発力ですからね。そこに不安を覚える部分もありますが映画という形としてずっと残っていく大きさがあると思います。映画って……「産み落とす」という感じでしょうか。違いはありますが、両方とも大好きだし、どんどんチャレンジしたいです。

Q:最後にメッセージをお願いします。

時代劇って時代背景や言葉遣いなど分かりづらいと感じてしまう部分もありますよね。実はわたし自身『椿三十郎』をきっかけに時代劇の面白さに気づいたんで、ぜひ同世代の方に観てほしいと思っています。とにかく面白いし、役者さんもみんなカッコ良くてイケメンぞろいだから、普通に楽しめちゃいますよ。もちろんオリジナルのファンの方にも観ていただきたいです。今回はリメークではあるんですが、“森田監督の『椿三十郎』”として新たな命が吹き込まれた作品なので、楽しんでいただけると思います。

精力的な女優活動はもちろん、現在は大学生として学業にも励む日々を送る鈴木。「でも気づいたら両立しているって感じで、特別な意識はないんですよ」とさらりと言ってのけるキャパシティーの広さに、彼女の無限の可能性を感じさせた。また「次に何しよう、何が待っていてくれるんだろう」と語る表情、特にキラキラと輝く瞳も印象的だった。そんな彼女にとって『椿三十郎』は、次なるステージへの重要な第一歩となったようだ。

『椿三十郎』は12月1日より全国東宝系ほかにて公開

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