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今週のクローズアップ / 『ジェシー・ジェームズの暗殺』ブラッド・ピット

週末に公開される話題の映画の中から、気になる作品をご紹介します。今週は、1月12日公開の映画『ジェシー・ジェームズの暗殺』(アンドリュー・ドミニク監督)で製作と主演を務めたブラッド・ピットをクローズアップします。歴史に名を残すスターといっても過言ではないブラッド・ピットの魅力に迫ってみましょう。

デビュー作はお蔵入り

 ブラッド・ピットことウィリアム・ブラッドリー・ピットは、1963年12月18日にアメリカのオクラホマ州で生まれ、ミズーリ州で育ちました。敬虔(けいけん)なクリスチャンの家庭で育ったブラッドは、6歳から聖歌隊に所属したほか、中学、高校ではバスケットボールやディベート、そして演劇に夢中になるという活発な青春時代を過ごしたようです。高校卒業後はミズーリ大学に進学し、ジャーナリズムを専攻したブラッドでしたが、俳優への思いが高まり、卒業を目前にして大学を中退します。そこで彼を待っていたのはエキストラの仕事とアルバイトを掛け持ちするというハードな日々。しかし、ストリッパーの送迎というアルバイトがきっかけで演技を学ぶ機会に恵まれたブラッドは、エージェントとの契約までこぎつけ、CMへの出演や、ドラマの端役などをこなすまでに至りました。


 1988年、23歳のときに、念願の映画デビューで初主演という幸運に恵まれたブラッドでしたが、完成したフィルムがロケ地のユーゴスラビアで始まった内戦により行方不明になるという惨事に見舞われ、輝かしいデビュー作は長きに渡りお蔵入りとなってしまいます。太陽の光に当たると生きてはいられないという、難病に侵された青年をブラッドが演じたこの映画『リック』という作品は、懸命な捜索の末に発見され、製作から9年後の1997年にアメリカで公開されました。1991年、映画『テルマ&ルイーズ』で小さな役ながら注目を集め、その翌年にロバート・レッドフォード監督の映画『リバー・ランズ・スルー・イット』で大ブレークしたブラッドは、“ロバート・レッドフォードの再来”との賞賛を浴びます。

 

John Kelly/ゲッティイメージズ
『リバー・ランズ・スルー・イット』(1992年)

誰もが認めるいい男

 アメリカきっての好青年として一躍国民的俳優となったブラッド。映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』(1994)では美しい吸血鬼を、映画『レジェンド・オブ・フォール/果てしなき想い』(1994)では繊細(せんさい)な二枚目を演じ、正統派美形俳優としての名をほしいままにします。アメリカでも日本でも話題騒然の大ヒットを記録した、デヴィッド・フィンチャー監督の映画『セブン』(1995)での主演で押しも押されもせぬスターの座に上り詰めたブラッドは、同じ年に公開されたテリー・ギリアム監督の映画『12モンキーズ』で新境地を開いていきました。精神病院から脱走した男のキレっぷりを迫真の演技で見せつけた彼は、1996年のゴールデン・グローブ賞助演男優賞受賞、そしてアカデミー賞助演男優賞にノミネートされ、31歳にして満開のときを迎えたのでした。


 さて、彼の映画への情熱が人一倍強いことはハリウッドでも有名ですが、情熱の向かう先は映画だけではないのです。何と、建築学にも精通しているというブラッドは、その知識を生かして慈善事業に取り組んでもいるのです。2005年8月に、ルイジアナ州に吹き荒れたハリケーン・カトリーナによって被害を被ったまま、いまだに政府の補助を受けられずがれきの山となっている貧しい地域の住宅再建プロジェクトを立ち上げたブラッドは、光熱費が最低限で済む設計の集団住宅を提案しました。地位も富も栄光も、すべてを手にしたにもかかわらず、それらにおぼれることなく世界の暗部にも真摯(しんし)に意識を向けることのできる賢明さ。それこそ、ブラッドが“最もセクシーな男”と言われるようになった一番の理由といえるのではないでしょうか。

 

Kevin Winter/ゲッティイメージズ
この格好よさは一体何なのでしょう…

最愛のパートナー アンジェリーナ・ジョリー

 ちょっぴりエキセントリックなジュリエット・ルイス、とびきりチャーミングなグウィネス・パルトロー、そして、愛されキャラのジェニファー・アニストンなどなど、華やかな女性遍歴をへてブラッドがたどり着いたのは、アンジーことアンジェリーナ・ジョリーでした。2人は、映画『Mr.& Mrs. スミス』(2005)で共演したことがきっかけで親しくなりました。アンジーはブラッドとの関係について、「この映画(『Mr.& Mrs. スミス』)で奇妙なパートナー感覚が生まれたわ。2人の人生が、お互いに一緒にいられるような状況になってきて、じゃあそうしましょうか、という感じだったの」と語っています。このカップルを、世間の人々は愛と尊敬を込めて“ブランジェリーナ”と呼んでいます。


 「同性同士の結婚が認められるような社会になるまでは結婚はしない」との意思表明をしたり、チャリティー活動への取り組みも熱心であったりと、ハリウッドきっての社会派カップルであることでも有名な2人ですが、その意識の高さは、そこらのセレブの気まぐれとは一線を画すものです。パキスタンでの取材中にアルカイダに誘拐、殺害された記者、ダニエル・パールの妻がつづった事件の真相を映像化する作品に、ブラッドが製作、アンジーが主演という形で携わった際には、撮影中にその政治的な内容を危惧したアルカイダから殺害の脅迫を受けていたもよう。そんな危険にひるむことなく完成させた、マイケル・ウィンターボトム監督の映画『マイティ・ハート/愛と絆』(2007年)は、世界に強い感動と衝撃を与えました。

Gianfranco Calcagno / filmmagic.com
ブランジェリーナ

『ジェシー・ジェームズの暗殺』

 そんな彼の最新出演作、『ジェシー・ジェームズの暗殺』が、今週末に公開されます。今回ブラッドが演じるのは、アメリカ史上最も有名な犯罪者、ジェシー・ジェームズです。南北戦争後、25件以上の強盗と17件もの殺人を犯しながらも、民衆からはヒーローとしてたたえられた男、ジェシー。破格の懸賞金をかけられた彼を最後に仕留めた20歳の若者、ロバート・フォード(ケイシー・アフレック)がジェシーの背中に銃弾を打ち込むまでを、サスペンスフルに描く心理ドラマ。本作の原作にほれ込み映像化を強く希望したブラッドは、製作にも携わっています。そんな熱意の下にブラッドが創り上げたジェシーの演技は、何年間もジェシーを追い、調べ尽くした原作者のロン・ハンセンをして「ジェシー・ジェームズがそこにいる」と言わしめたほどのリアリティー。その演技は各方面から絶賛され、すでに2007年のヴェネチア国際映画祭では最優秀男優賞を受賞しています。その活躍ぶりは上昇するばかりでまさに天井知らず。そんなブラッドの魅力にノックアウトされるべく、劇場へGO!

 (C) 2007 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved
『ジェシー・ジェームズの暗殺』(2007年)

文・構成:シネマトゥデイ編集部

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