シネマトゥデイ

田中麗奈
『犬と私の10の約束』
一緒にいる時間を大切にして、体温を感じていたい
『犬と私の10の約束』田中麗奈&ソックス 単独インタビュー

取材・文: 平野敦子 写真:田中紀子

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自身もリップちゃんとアロエちゃんという2匹のチワワと暮らす、大の犬好きである田中麗奈。そんな彼女が飼い主としての経験を生かし、動物好きな主人公あかりを天真らんまんに演じた映画『犬と私の10の約束』。“犬の10戒”をテーマに、人と動物の温かい交流を描いたこの作品への出演を通して、飼い主として成長した部分や考えさせられたこと、そして愛犬たちとの爆笑エピソードなどを犬のソックスと一緒に語ってくれた。

■大型犬も小型犬も心は一つ

Q:犬の“ソックス”との共演はいかがでしたか?

ソックスはいつも一生懸命でしたね。本当は動いたり遊んだりしたいはずなのに、じーっとわたしと一緒に立ち位置で待っている姿を見るとすごく切なくて……。「あぁ、ソックスはすごく大人だなぁ……」と思いました。

Q:実際に田中さんは小型犬のチワワを2匹飼われているそうですが、ゴールデン・レトリバーのような大型犬はお好きですか?

わたしはノラ犬がうろうろしているような田舎で育ったので、昔は大きな犬が怖くてダメだったんです。だから最初は大きな犬に抵抗があったのですが、自分で犬を飼うようになってからは、大きな犬も小さな犬も心はみんな一緒なんだと思うようになりました。彼らはご主人様が大好きで、一緒に遊んでもらいたくて、いつも待っているんですよね。

Q:“犬の10戒”の中で、田中さん自身が実践しているものはありますか?

超親バカなんですが、犬に笑いながら話しかけています(笑)。あとはやはり「今日は何だか体調が悪いな」「機嫌がいいみたい」「何かちょっとすねているな」「散歩に行きたいんだな」など、日常の変化に気付いてあげられるといいと思いますね。

Q:この映画を通してご自身も飼い主として成長したと思われますか?

まず変わったのは犬と一緒に寝るようになったことです。犬の飼育本には犬と人間の上下関係をはっきりさせなくてはいけないので、一緒に寝てはいけないと書いてありました。それも一理あるとは思って、最初は一緒に寝ちゃいけないんだと思っていました。でもやはり、自分が犬と一緒に寝たいと思うし、一緒に寝ると犬もわたしにすがってくるので、なんだ、これでいいんだ……と思いました(笑)。自分が後悔しないようになるべく一緒にいる時間を大切にして、そばにいて体温を感じていたいと思います。

Q:飼い主として後悔したことは何かありますか?

うちは2匹ともメスなのですが不妊手術をしてしまったことです。飼いはじめたころは自分がその子を失ったときのことなど考えもしないで、ずっと一緒にいられるような感覚だったんですね。犬は長くても13年ぐらいしか生きられないのに「まだ大丈夫だろう」と思っていたんです。一緒にいればいるほどもっと一緒にいたいと思うし、ここで一つの命が終わってしまうんだという悲しさがわいて来たので、最初はその命の重みや、命をつなげていくことの重みがわかっていなかったんだと思います。

■家庭崩壊の危機!?

Q:例えば田中さんが忙しくて、犬たちのご機嫌を損ねてしまったことはありますか?

今ドラマの撮影で毎朝早く出かけて、遅くに帰って来る日が続いていて、その日も遅く帰宅して、そのまますぐに台本に直行してしまったんですよ。向こうは構ってほしい時間なのに、放ったらかしにしてお風呂に入って、その中でも新しい台本を読んで1人で笑ったりして。出て来て髪の毛を乾かしていたんですが、もうその時点でいつもだったら2匹が絡んでくるのに、その日は2匹とも寄って来ないんですよ。ドライヤーをかけている途中でぷいっとどこかに行ってしまったんですね。「あれ!?」と思ったんですが、気付かなくてそのままにしていたんです。

Q:それで2匹はどうしたんですか?

それでしばらくしていないな……と思ったら、テレビをつけっぱなしにしていたゲストルームでリップが、ソファーの上に座ってずーっと野球中継を観ているんですよ。本当に背中から「怒っているわよ」オーラを発しているの! 「リップ、リップ、寝るよ」って言っても完全に無視して「わたしは野球を観てるの!」って感じでフンってするんですよ。そのときわたしもこれは本音で話さなければならないと察して、めちゃくちゃ低い声で「リップ、ごめん、ごめんね。本当にごめん!」と謝ったら、リップが「わたしのこと飼ったんだったらさぁ~、飼い主としてちゃんと面倒見るのがスジってもんでしょ……」と言っているのが聞こえるの。それで「ごめん、本当にごめん、もう寝ようか?」と持ち上げたら、いつもだったらぴょんと乗って来るのに体をだらりとさせて抵抗しているんですよ。これはヤバい……と思って、本当にひたすら謝って、ようやく怒りは治まったんですが、一緒にベッドに入ったらまたぷいっとどこかに行ってしまったんです。まだ怒っている、どうしよう……と思って、今度はもう1匹の妹のアロエちゃんを触ったら、「そうだよ、その通り、それが正解!」という感じでようやくリップも近づいて来たんですよ。あのときは本当に家庭崩壊したんじゃないかと思いましたね(笑)。

Q:主人公のあかりは就職や恋愛で忙しく、たまにソックスのことを忘れてしまうところもありましたが、ご自分があかりの立場だったらどうしたと思いますか?

やはり犬は家族だからこそつい扱いがぞんざいになってしまったり、いるのが当たり前だと思って忘れてしまったりということはありますよね。外の世界はやはりいろいろな出来事がありますから、ついつい家で待っている犬の存在を忘れてしまうことはあると思います。

■思いやりの心が描かれたピュアな映画

Q:田中さんのお気に入りのシーンはどこですか?

本当に何気ないシーンなんですが、進君(加瀬亮)をソックスと一緒に元気付けて、彼の家から帰って来たときにあかりが「ありがとうね、ソックス。ソックスに助けてもらったよ」と言って、あかりとソックスが同じ目線でしゃべるんですが、そこが泣けちゃうんですよ! それが実際に自分がベッドでリップやアロエとやっていることと重なってしまって。ソックスと本当に一緒に話している感じがするので、大好きなシーンなんです。

Q:最後にこの映画を楽しみにしている方々にメッセージをお願いします。

わたしもこの作品を通じていろいろと考えさせられたり、反省したりもした部分も大きいのですが、反面とても優しい気持ちにもなれたので、人が動物を、動物が人を、人が人を、そして家族を思いやるというのはとてもピュアな気持ちだと思うので、ぜひそういう部分に触れてもらいたいですね。

普段は北海道で暮らしているソックスは暑さが苦手。そんなソックスをいたわるように取材中はずっと彼女の体に手を置いていた田中。きゃしゃな彼女と大柄なゴールデン・レトリバーが並ぶと田中の顔が小さく見える! 高齢の犬に無理をさせないよう、なるべく自分が動いてカメラに向かってほほ笑みかける彼女の姿を見ると、たまに仕事に夢中になることはあるけれど、きっと優しい飼い主なのだということは想像がつく。黙って心を預けられる親友と暮らす喜びを、体当たりで演じた田中とソックスとのきずなをスクリーンで確認してもらいたい。

映画『犬と私の10の約束』は3月15日より全国公開

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