シネマトゥデイ

りょう
『西の魔女が死んだ』
学校の教材にしてほしいぐらい、いい作品ができました
『西の魔女が死んだ』りょう 単独インタビュー

取材・文: 平野敦子 写真:田中紀子

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児童文学のバイブルともいえるロングセラー小説を映画化した『西の魔女が死んだ』。祖母、母、そして娘の3世代の女性たちが織り成す美しい物語の中で、しんの強い母親を好演したりょう。実生活でも一児の母親であり、女優としても多忙な日々を送る彼女が仕事を持つ母親の苦労や、実の兄の死によってもたらされた、毎日を大切に生きることなどの深いテーマについても語ってくれた。

■どの年代の人も楽しめる映画

Q:今回は中学生の子どもを持つ母親役ですが、りょうさんはとてもそんな年の子どもがいるようには見えないのですが?

もういてもおかしくない年になりました(笑)。お母さんを演じることは結構多いし、実際自分にも今年3歳になる子どもがいるので、違和感はありませんでしたね。

Q:この映画は祖母と母親、そして娘の3世代にわたるすてきな関係が描かれていますが、その感想について聞かせてください。

おばあさんとお母さん、そして娘のどの年代の人が観ても面白いと思います。わたしが演じたお母さんの役だったら、ママの立場で同年代の人が観られるということもあるだろうし、自分が10代のまい(高橋真悠)のころに戻っても観られたりもするだろうと思いました。とにかくいろいろな人が観て楽しめる映画だと思います。

Q:三人三様にとても個性的な女性が出てきますが、ご自身は一番どの方に近いですか?

わたしは全員です(笑)。でもやはり自分が演じたママの役は、仕事を持ちながら子どもを育てているという部分ではやはり一番親近感を覚えました。おばあさんのようにきちんと子どもの目線に立って、自然に本人に自信をつけさせるように持っていくということも素晴らしいと思うし、そうあるべきだとも思うんですが……。やはり子どもを持って仕事をしている女性にとってそれはわかっていても、すべての時間を子どもと一緒に過ごすことはできないので、実際子どもに対して厳しくしてしまうこともあると思います。

■リタイア後のあこがれのスローライフ

Q:おばあさん役のサチ・パーカーさん、そしてまいを演じた新人の高橋真悠さんと共演した感想を聞かせてください。

サチ・パーカーさんは本当にキュートでかわいらしい女性で、温かくて優しくて、とてもステキな方で、そのままこの役にぴったりの雰囲気の方でした。真悠ちゃんも初めてお芝居をしたとは思えないぐらい素晴らしい演技をしていたので、ちょっとびっくりしました。

Q:まいが体験する“魔女修行”はとても楽しそうですが、やってみたいと思われますか?

うん、やってみたい! 植物を育てたりすることは好きだし、自然の多い場所に行くことも好きです。ベランダにお花やハーブを植えたり、野菜を植えたりしているので、毎朝子どもと一緒にお水をあげるのが日課です。

Q:この映画の中でまいは少しずつ成長していきますが、同じように母親も最後には仕事を辞めて単身赴任中の父親のところへ行きます。その変化についてどう思われますか?

ママにとってはそれが自然な流れだったんじゃないでしょうか。おばあさんに「何が一番大事なのか考えなくちゃわからないのですか?」と責められたりもするんですが、子どもが不登校になったことをきっかけに、考える時間がなければそういう結果にはならなかったんだろうし。自分のやりたい仕事もあって、同時に子どもも育てるということは、何かを犠牲にしなければ両立するのはやはり難しいと思います。ママは自分がそこまで仕事をしたいとは思わなかったのかもしれないし、とても仕事をしたかったけれど、そのときはまいと一緒にいることを選んだのかもしれないし……。

Q:撮影中に心に残ったエピソードは何かありますか?

みんな一緒に食堂でご飯を食べるんですが、サチさんは本当に納豆が好きで(笑)。毎日同じ場所で朝昼晩食べているわけですから、やはりちょっと飽きてくるじゃないですか? そういうときにドーンと納豆が出て来て(笑)。わたしも納豆が大好物なのでそれがうれしかった! みんなで机を並べてわいわい言いながら食べるというのがとても温かい感じで楽しかったです。

■一日一日を大切に生きていくことが大事

Q:おばあさんの死に対する考え方がとても印象的だったのですが、りょうさんの死に対する考え方について教えてください。

人はみんないつか死ぬわけですが、難しい話ですね……。わたしは5年ぐらい前に兄を病気で亡くしたんですが、そのときに自分と向き合う時間があって、いろいろと死について考えました。余命を宣告された兄に対して、自分は何がしてあげられるんだろうと考えた時間があったんですね。そのときに結局自分が幸せでいること以外、何もしてあげられないんじゃないかと思ったんです。だから自分は健康で、やりたいことがあるのだから自分のやりたいことを大事にやっていこうと。突然事故で死んでしまうこともあるだろうから、毎日毎日を大切に生活するようになりましたね。兄が亡くなってしまったことはとても悲しいけど、そうでもしなければきっと自分と向き合えなかっただろうし、ほかの家族もきっとそうだったと思います。だからその亡くなった人が残してくれたものというか、苦しい経験だったけど、それをきちんと持ちながらその後を生きていくことが大事だと思ったんです。死んでからその人がどうなるかということはわからないですね……と言いながらも、子どもを人に預けるときに兄の遺影の前で「今日から何日間か一緒にいられないけれど子どもを守ってね!」とか言ったりしています(笑)。

Q:最後に、この映画を心待ちにされている方々にメッセージをお願いします。

わたしも試写でこの作品を観たんですが、本当に何度も観たくなる映画です。一回だけ観ればいい映画もあると思いますが、何度も観て、できれば学校の教材にしてほしいぐらいの作品ができたとわたしは思っています。まいのようなお子さんからおばあさんまで、みなさん観て楽しんで、また観たいと思ってくださると思います。ぜひ『西の魔女が死んだ』を観てください!

クールでミステリアスな印象のあるりょうだが、子どもの話になるとパッと瞳が輝き、その慈愛に満ちた表情と柔らかな声に魅了された。この作品では彼女の登場するシーンは決して多くないが、温厚な祖母と感受性の強い娘の間に立つ母親としてその存在感が光っている。仕事を持つ母親としての彼女の心意気、そして大切な家族との永遠の別れという経験を通して成長した人間としての魅力が十分に伝わってくる『西の魔女が死んだ』を、原作とはまた違った見方で楽しんでもらいたい。

『西の魔女が死んだ』は6月21日より恵比寿ガーデンシネマ、シネスイッチ銀座、新宿武蔵野館ほかにて全国公開

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