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成海璃子
『罪とか罰とか』
やり切った! みたいな感じになるのは絶対にいや
『罪とか罰とか』成海璃子 単独インタビュー

取材・文:望月ふみ 写真:高野広美

16歳にして天才女優と呼ばれる成海璃子。そんな彼女が本格的なコメディーに初挑戦した作品が、劇団NYLON100℃の演出家として知られ、『1980(イチキューハチマル)』『グミ・チョコレート・パイン』で映画監督としても定評のあるケラリーノ・サンドロヴィッチ監督(KERA)による『罪とか罰とか』。ある理由から一日署長を引き受け、不条理な世界の中で事件に巻き込まれていくがけっぷちアイドルのアヤメをキュートに演じた成海に、作品やKERA監督の印象などを聞いた。

■自分の芝居を観て落ち込みました

Q:本格的なコメディー映画は初挑戦ということですが、ズバリ感想は?

撮っているときは、コメディーだと思ってやっていませんでした。ただKERA監督の笑いというのはすごく明確なので、それに従ってやりました。いつも新鮮だったし、面白かったです。

Q:脚本を読んだときの印象を教えてください

何も想像ができなかったですね。撮ったらどうなるんだろうかと思いました(笑)。ただ、面白いことがやりたいといつも感じていたので、こういう作品もいいと思いました。

Q:完成した作品をご覧になっていかがでしたか?

自分が観ていなかったシーンとか、ほかの役者さんのシーンは、観ていてすごく面白かったです。でも自分の芝居は観て落ち込みました。お芝居や声のトーンが思っていた感じと違ったりして。反省点ばっかりです(笑)。

■役柄との共通点は考えたりしない

Q:アヤメは最初消極的で、最後に変わります。成海さんご自身が、このキャラクターと似ているところと違うところは?

まったく似てないです(笑)。普段から役と似ているところとかって、あんまり考えないんですよね。自分がどういう人間かもいまいちわかってないし……。自分自身が出てこない。現場にいるんだったらキャラクターでしかないし、自分の感情とかは必要ないと思っているので。役柄との共通点って、あんまり考えたことないですね。基本的に気持ちで演じたいと思っているし、何でもそのときのキャラクターの気持ちっていうか……。だから自分と照らし合わせて共感したとか、そういう感じはないです(笑)。

Q:この作品はすごく不条理な世界で、善悪もよくわからない世界ですが、演じる上で難しさはありませんでしたか?

うーん……面白くするってことかな(笑)。単純に、面白ければそれでいいという気持ちでチャレンジしました。

Q:アヤメの一日署長はあることを帳消しにするためですが、成海さんが何か帳消しにしたいことはありますか?

帳消しにしたいことばっかりです! 人間的に悪いことをしたとかじゃないですけど、人間関係での問題とか、あの状況は忘れ去りたい! というようなことはたくさんありますね。帳消しにしたいというよりも、記憶から消し去りたいという感じかな~。帳消しにしてほしいような悪いことをしたという意味ではなくて……。こう見えてわたしって、結構しつこい感じなので(笑)。

■いい作品でなければ意味がない

Q:アヤメの元彼は罪を犯しています。もしも身近な人の罪を知ってしまったら?

罪の種類にもよるし、その人のことをどれだけ自分が大切に思っているかにもよりますけど、世間的に悪いことをしていても、自分がそれで離れられるかっていったらわからない。何かしてしまった人がいたとして、でもなぜそんなことをしたのかと気になりますし……。でも、そのときになってみないとわからないかな(笑)?

Q:警察署長役で制服を着た感想は? ほかに着たい衣装や演じたい職業はありますか?

普段着ることもないですからね。着ている姿を見て変だって思ったので、逆にいいと思いました。衣装についてはそういう趣味がないから、考えたことはないです(笑)。職業は今の年で働いている役もないからなぁ。今後やりたいキャラクターは、たくさんあり過ぎちゃって一つに絞れないです。でも何でもやってみたいというわけじゃなくて、いい作品じゃなきゃ意味がないし、もしそうだったらかかわりたいと思っています。

■自己満足って一番怖いことだと思う

Q:KERA監督の印象について教えてください。

KERA監督の「どん底」という舞台を観に行かせてもらって、そのときに初めてお会いしたんですけど、最初から「ヨッ!」みたいな感じで(笑)。気さくとは、またちょっと違う気がするんですが、とても面白い人だと思いました。作品も、ただのニコニコハッピーな感じではないし。わたし自身そういう人が好きだから、すごく面白い監督だと思いました。

Q:KERA監督から演技についてのアドバイスは?

シーンごとに、間とかもKERA監督が全部指示してくれるので、話し合いをかなり重ねましたね。アヤメについても、「最初、かわいそうに見えるけれども、編集部に殴り込みに行ったりとか、結構勝手なところもあるよね」とか話して。アヤメというキャラクターについては、本当にダメな感じだって思っていました(笑)。

Q:共演に舞台で活躍されている役者さんが多かったですね。

見ていてすごく影響されました。すごいなって。映像のお仕事だとカメラがあるし、カットを割ったりとか、何か守られている感じがすごくするんです。でも舞台だとその場に立たされて、自分の力だけで勝負している感じがすごくする……。それってすごいことですよね(笑)。

Q:犬山イヌコさんとのやりとりが面白かったです。たたかれているシーンはいかがでしたか?

ねー(笑)。人にたたかれるなんて、お芝居の中でもあまりないような気がするし、普段もされないから、すごく楽しんでいました。あのシーンは結構やりましたね。面白ければ何でもやるっていうか……。「でもやり切ったぞ!」みたいな感じになるのは絶対にいやですね。自己満足って一番怖いことだと思っているんです。

■自分で一つ一つ決断していきたい

Q:役者も含め、照明やセットも舞台のような感じでしたが。

そうですね。普通の映画とは違う感じだったから、新鮮でした。

Q:2009年に新たに挑戦したいことはありますか?

自分の人生なので、自分で一つ一つ決断していきたいと常に思っています。もう16歳ですから(笑)。自分で決断するのは難しいけれど、失敗したとしても、自分を信じられるのは自分しかいないから。ちゃんと自分で決断していきたいと思っています。

Q:最後にこの映画の見どころと、これから観る方にメッセージをお願いします。

会話がポンポン進む中で、どんどんおかしな方向にいっちゃうシーンが、演じていてすごく楽しかったし、KERA監督ならではの作品だと思いました。全員がちょっと間違っちゃってる感じ(笑)? の映画です。まともなところからは全員が浮いてるっていうか、ニコニコハッピーなコメディーとは違っていて、結構グロいことも言っているんですけど、アイドルが一日署長をやるっていう設定の中で、こういう雰囲気が出せるKERA監督はすごくカッコいいと思いました。ぜひ観てほしいです。

これまでのKERA監督作品とは違い、舞台人ケラリーノ・サンドロヴィッチ色が存分に出ている『罪とか罰とか』。ラストに向け、スクリューボールのように展開していく不思議空間で、コメディー初挑戦ながら見事に主演として作品を引っ張った成海。自分では反省点ばかりだと振り返っていたが、満足しないその姿勢があるからこそ、天才女優と呼ばれる空気を醸し出すことができるのだろう。不条理な世界で、新たな殻を打ち破った成海に注目だ。

(C) 「罪とか罰とか」製作委員会

『罪とか罰とか』は2月28日よりシネマライズ、テアトル新宿ほかにて全国公開

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