シネマトゥデイ

シネマトゥデイ
柴咲コウ
『映画ドラえもん 新・のび太の宇宙開拓史』
のび太が大人になったら、教育者になればいいと思う
『映画ドラえもん 新・のび太の宇宙開拓史』柴咲コウ 単独インタビュー

取材・文:斉藤由紀子 写真:秋山泰彦

『映画ドラえもん』シリーズの最新作『映画ドラえもん 新・のび太の宇宙開拓史』は、1981年に公開された映画『ドラえもん のび太の宇宙開拓史』を新たなアプローチでリメイクした、勇気と友情の物語。この作品の中で、柴咲コウが歌う主題歌「大切にするよ」が、感動のラストを優しく盛り上げる。自ら台本を読み込んで詩を書き上げたという彼女が、歌に込めたメッセージや映画に対する思い、そして創作活動への意気込みなどを語ってくれた。

■大切な人を思い浮かべて聴いてほしい

Q:主題歌の「大切にするよ」は、映画の台本を読み込んで詩を書いたそうですね?

台本に描かれた友情や親子愛に注目して書きました。のび太たちの目線も持ちつつ、現実に生きる人たちが共感しやすいような言葉を入れて作ったんです。相手を思う気持ちと、相手から思われている気持ちを大切にして生きていこうという、前向きなメッセージを込めました。

Q:会えないけれど、生きていてくれるだけで励みになる人というイメージが浮かぶ詩ですが、柴咲さんにもそんな存在の人がいますか?

家族とか、みんなそうですよね。会っていなくても、存在しているっていう事実があれば強く生きていけると思うんです。わたしは父親が近くに住んでいて、会えない距離ではないんですけど、きっと離れて暮らしている人だっていますから……。家族の結びつきって、会話や距離を越える、切っても切れない何かがありますよね。その結びつきは恋人や友人同士にもあると思うので、いろんな人を思い浮かべて聴いてほしいです。

Q:聴いた後で、とても優しい気持ちになれる曲ですね。

わたしが作る詩とか、好みの曲って、ちょっと寂しさとか切なさがエッセンスとしてあると思う。それに触れて気持ちが動く人って、切ない思い出や、忘れられない過去とかを抱えているんじゃないかな。そういう人たちが、次に踏み出すキッカケになればいいと思います。

■「ドラえもん」という作品には哲学を感じる

Q:柴咲さんにとって「ドラえもん」とはどんな存在ですか?

子どものころから毎週アニメを観ていましたから、すごく身近な存在ですね。「ドラえもん」という作品には、作り手の人たちの確固たる信念や哲学を感じます。とってもシンプルだけれど、明快に「こうゆう生き方ができたらいい」って教えてくれますし。

Q:確かに、のび太のような生き方にはあこがれますよね。

のび太はダメな男の子で、ドラえもんは何でそんなに甘やかすのさって思うけど(笑)、そこからいろんなことを学んで成長していくんですよね。のび太が大きくなったら教育者になればいいと思うんです。時にはズルをするけど、最後には正しいことを教えてくれますし。のび太が先生だったら、みんないい大人になるんじゃないかな。

Q:では、のび太のようにドラえもんの“ひみつ道具”が使えるとしたら、何を選びますか?

暗記パン(文章をコピーして食べると暗記できるパン)。今、ちょうど小腹も空いているし(笑)、お腹がいっぱいになって暗記できたらいいなって。台本を読んだり、時代劇とかやるときに、すごく役に立ちそう(笑)。

■藤子・F・不二雄先生から学んだこと

Q:今回の映画には、資源をめぐる争いや環境破壊といった現代にも通じるテーマも描かれていますが、柴咲さんはどう感じましたか?

アニメでそういうテーマを描くってことがちょっと心配になりますね。危機感を覚えます。(オリジナル版は)20年以上も前に作られた作品なのに、取り上げられている環境問題は何も変わっていませんよね。幼い子どもたちが観て、現実社会でもそういうことがあるんだって感じてくれたらいい教育になると思うけど、大人たちはどう思うのかな? この作品は、本当に希望や明るさがあって癒しにもなるけど、新たな課題も与えていると思います。

Q:主題歌を歌うということで、藤子さんの仕事部屋にも行かれたそうですが、何か発見はありましたか?

本棚に自分たちが作り出した漫画がズラッと並んでいて、作品を愛しているんだって思いました。自分が作った作品を愛せる人ってステキですよね。わたしも、自分の詩とか歌を「好き」って気持ちを大切にしながら、愛情込めて作っていきたいと思いました。

Q:映画の主題歌は、作品のイメージがある分、オリジナルよりもプレッシャーは大きいものではありませんか?

プレッシャーはあんまり感じていません。わたしがイメージした作品に対しての詩だったり感情だったりするので、受け止め方は人それぞれでいいと思う。ただ、映画という主役になるものを汚さないように、むしろバックアップしていくことを念頭に置いて作っているので、その考えさえブレなければいいと思っています。

■歌の次は絵を描いてみたい!?

Q:女優業と創作活動とのバランスはうまく取れる方ですか?

どちらもいっぺんにはやれないので、バランスは悪いと思います。映像の仕事を始めたら3、4か月はかかりきりになることもあるので、その間、音楽制作はできなくなるし。でも、トータルで見たら、そのサイクルがバランスになっているのかもしれませんね。歌を作った経験が芝居に生かされることもあるし、自分の中で2つの活動につながりを感じます。

Q:カメラの前で表現することと一人で詩を書くこと、どちらが自分らしいと思いますか?

詩を作っているときの方が自分らしいし、心地良いです。こもって作業するのも好きですし。表立って何かをするのって勇気もエネルギーも必要だし、ちょっと疲れることが多いかな。もちろんやりがいは感じますけど。

Q:クリエーター気質なんですね。では、新たにチャレンジしてみたい創作活動はありますか?

絵を描きたいです(キッパリ)。

Q:それでは、いつか作品を発表するかもしれませんね?

しません(笑)。絵を描くのが趣味なんです。昔、スネ夫を描いたことがあったんですけど、友だちに大爆笑されました。本当に1時間くらい笑い転げてたんですよ。わたしとしては精いっぱい、ありったけの絵心を込めて描いたのがその結果だったので、何がおかしいのか全然わからなかったんですけど。それでわたしの絵がどんなものか想像してもらえるとわかりやすいかな(笑)。

Q:それでは最後に、映画を観る人や歌を聴いてくれる人にメッセージをお願いします。

この映画には、現実社会に当てはめられるような課題もありつつ、勇気や希望などがすごく純粋に描かれていて、共感できるところがたくさんあると思います。わたしはテレくさいのでストレートには言えないんですけど、人と向き合って生きるのってすごくありがたいし幸せなことなんだって、あったかい気持ちになって作った主題歌なので、その思いを感じてほしいです。

強烈な目力を放つまっすぐなまなざしと、どんな質問にも真摯(しんし)に答えようとする姿勢が印象的な柴咲。現実を的確にとらえる直観力と、独特の視点を持つ豊かな感受性が、彼女ならではの詩の世界を作り上げるのだろう。時折見せる無邪気な表情も実に魅力的なアーティストだ。「一番大切なものは人とのつながり」という柴咲が、言葉では伝え切れない思いを込めて歌う『映画ドラえもん 新・のび太の宇宙開拓史』の主題歌は、聴く人の心を強く揺さぶるに違いない。

『映画ドラえもん 新・のび太の宇宙開拓史』は3月7日より全国東宝系に全国公開

[PR]

この記事を共有する

映画アクセスランキング
  • Loading...
»もっとランキングを見る«
スポンサード リンク
スポンサード リンク
  1. 記事
  2. 2009年
  3. 3月
  4. 6日
  5. 『映画ドラえもん 新・のび太の宇宙開拓史』柴咲コウ 単独インタビュー