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常盤貴子
『引き出しの中のラブレター』
年齢を重ねると、言えなかったことも言えるようになってくる
『引き出しの中のラブレター』常盤貴子 単独インタビュー

取材・文:斉藤由紀子 写真:高野広美

東京のラジオパーソナリティー、函館で暮らす少年と家族、単身赴任中のタクシードライバーなど、さまざまな人々の人生を交錯させながら、想いを伝えることの大切さを丁寧に描いたオムニバス映画『引き出しの中のラブレター』。疎遠なまま亡くなった父親との関係を悔やみ、家族関係で悩むリスナーとのきずなを深めていくラジオパーソナリティーを熱演した常盤貴子が、作品に対する想いや函館ロケでの思い出、自身が伝えられなくて後悔したことなど、率直な気持ちを語ってくれた。

■主人公の変化は自分の人生とリンクする

Q:観終わったあとに優しい気持ちになれる作品でした。常盤さんご自身はどうご覧になりましたか?

自分の出演作って純粋に観られないことが多いんですけど、この作品は本当にいい映画だなと思いました。台本を読んだときよりも、それぞれの俳優さんの個性によって何倍にもステキに仕上がっていたので、本当にビックリしました。

Q:群像劇でありながら、きちんとまとまっていく展開が見事でした。

オムニバスって成功させるのが難しいんですよ。でも、この映画はいろんな人々のドラマを見せながらも、それを物語にうまく絡めることで、ひとつの作品として成立させているんですよね。

Q:今回演じた久保田真生を、どのような女性だと解釈しましたか?

前半の気持ちをうまく伝えられない真生は昔の自分で、後半の真生は今の自分だととらえました。仕事を始めたころって、自分の意思を伝える自信もないし、それを受け入れてもらえるなんて思えない。だから言葉を飲み込んでしまうんですけど、キャリアを積むうちに自信がついて、意見も言えるようになっていく。前半と後半の真生の変化は、わたしの人生とリンクすると思いました。

■自分の意見を伝えたことで、設定が変更になったシーンも!

Q:常盤さんも真生のように、想いを伝えられなくて後悔したことがありますか?

昔はいっぱいありましたね。相手を傷つけてしまうような気がして遠慮してしまったり、照れくさくて素直に「ごめんなさい」や「ありがとう」が言えなかったり。でも不思議なもので、年齢を重ねると言えるようになってくるんですよね。だんだん言わなくていいことまでハッキリ言うようになってしまって、今はそれで後悔することも多いです(笑)。

Q:今回の撮影では、ご自身の意見をしっかり伝えられましたか?

真生が父親の手紙を部屋で読むシーンがあるんですけど、最初はベランダから始まるシーンではなかったんです。でも、自分の気持ちを持っていきやすいように、「ベランダで何気なく月を眺めていて、そこから引き出しの中を見るようにしたほうがいい」と現場で言ってしまったんですね。そのために撮影のセッティングをやり直すことになり、スタッフの方には申し訳なかったんですけど、おかげで気持ちを入れて演技することができたので、すごく感謝しています。

Q:あの真生が手紙を読むシーンはとても感動的でしたね。

真生の父親役を演じた六平直政さんのステキな朗読を聴きながら演技をしたので、自然に感情が高まっていきました。でも、六平さんが「絶対泣けるように朗読しておいたから!」と自信満々に言っていたのを思い出してしまって、そんなこと言わなきゃもっと感動するのに……って思いました(笑)。

■DJを演じるために重ねた努力とは?

Q:ラジオのパーソナリティーを演じるにあたって、どんな準備をされましたか?

ラジオ番組を持ったことはありますけど、経験にいれてはいけないようなグダグタのアイドル枠だったので(笑)、昔から大好きだった加藤美樹さんのDJを参考にさせていただきました。すごく温かくて、ときには厳しいことも言ってくださる方で、ラジオを聴いて美樹さんの柔らかな声に救われることもあったんです。それが印象深かったので、美樹さんに昔と最近の番組音源を送っていただいて、車の移動中も家に帰ってからもずっと聴いていました。

Q:なるほど、昔の美樹さんを前半の真生、最近の美樹さんを後半の真生の参考にされたんですね。

そうです。昔と今を聞き比べると、テンポもトーンも全然違うので、とても参考になりました。しかも、美樹さんご自身は昔の音源を持っていらっしゃらなくて、わざわざ実家のお母様が押入れからカセットを探して送ってくださったんです。すごくありがたかったですね。

Q:DJシーンはJ-WAVEのスタジオで撮影されていましたが、現場はいかがでしたか?

生放送をしているスタジオのすぐ隣で撮影していたので、迷惑なんじゃないかと心配でしたが、みなさん快く迎えてくださいました。DJシーンは、実際に自分の声がオンエアーされているわけではないってわかっていながらも、まるで本番のような緊張感がありましたね。

■函館ロケで北海道のグルメを満喫!

Q:函館でのロケでは、共演された林遣都さんにおすすめの店を教えてあげたそうですね。

わたしは夜に空き時間があったんですけど、林くんやほかの役者さんはずっと撮影だったんです。だから、夜はひとりで食べ歩きをしていました(笑)。北海道出身の大泉洋さんにいろんなお店をリストアップしてもらって、そのリストを消化していくことが楽しみでした。

Q:特に印象に残ったお店はありましたか?

お寿司もラーメンもよかったんですけど、わたしはオムライスが好きなので、大泉洋さんに「オムライスのおいしいお店が知りたいんです!」って、マニアックなリクエストをしてしまったんです。そしたら、「だったらあそこだな!」とすぐに教えてくれて、さすがだなと(笑)。大泉さん、北海道のことならなんでも知っているんですよ! 早速行ってみたら、本当にステキなお店でした。

Q: 最後に、これから映画を観る方に常盤さんから想いを伝えてください。

ラブレターっていうと、男女の愛を想像してしまいがちですが、この作品のラブレターはもっと幅広い意味があるんです。親と子、お祖父ちゃんと孫など、家族や身近な人を大切に想う気持ちが描かれていますので、ぜひご家族で観てほしいなと思います。

オリエンタルな衣装がとてもキュートで、女性スタッフの羨望(せんぼう)のまなざしを集めていた常盤。ユーモア交じりのコメントから、親しみやすいオープンな人柄を感じたインタビューだった。今回の『引き出しの中のラブレター』は、常盤が10年ほど前にドラマの現場で一緒だった三城真一監督の作品。初めから監督との信頼関係が築けていたので、とても楽に演じることができたそうだ。スクリーンで函館の風光明媚な景色を観ながら、大泉洋お勧めの店でオムライスを楽しむ常盤を想像してみるのも一興だ。

(C) 2009「引き出しの中のラブレター」製作委員会

映画『引き出しの中のラブレター』は、10月10日より丸の内ピカデリーほかにて全国公開

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