シネマトゥデイ

こはたあつこのうわさの現場潜入ルポ
ドレス姿で仁王立ち! プレスは重労働のアカデミー賞の巻

取材・写真・文:こはたあつこ(LA)

さあ、いよいよ今日はアカデミー賞当日! 「今年は背中が大きく開いたブルーのドレスですのよ、オホホ」なんて言ってられるのもほんの一瞬。プレスにとってアカデミー賞は体力勝負の重労働なんです。原稿書きなどでほぼ徹夜状態の上に慣れないハイヒールを履き、ロングドレスのすそをたくし上げ、分厚い資料が入ったかばんと取材用カメラとパソコンを持ち歩きながらの移動。でも、さすがレッドカーペット。その光景を見たとたんに疲れも吹き飛びます。うわぁー、まばゆい! すてき! ゴージャスーーーー! スポットライトを浴びたレッドカーペットは、曇り空のお天気なんてどこ吹く風。どこまでも明るく、キラキラと輝いているんです!

レッドカーペット:授賞式直前はセレブのラッシュアワー

さて、授賞式1時間前になると、来ました、来ました! 続々とスターの登場です! あそこにいるのがペネロペ・クルス! 今度はキャメロン・ディアスジョージ・クルーニーもいる、いる! ファンが黄色い歓声を上げてにぎやかです。プレス専用席の上の方に座っていたわたしは、少しでも良い写真を撮るために、ハイヒールとドレス姿で仁王立ち。さあ、見逃しませんことよー。シャッターチャンスは一度だけ。シャーリーズ・セロン、こちらを向いてー! ケイト・ウィンスレットもこちらですー! って、テレパシーじゃないんだから伝わるわけないですね。

それにしても、この混雑ぶりはすごい! まるでラッシュアワーの渋谷駅みたいです。タカビー(?)で知られるジェニファー・ロペスも、一般客に交じりおとなしく並んでコダックシアターに入るのを待っているんです。さすがアカデミー賞、有名人も謙虚にさせてしまう威力がある?

聖徳太子も真っ青? :プレスルームの慌しさ

プレスは授賞式会場には入りません、というか、入れません。そうなんです、アカデミー賞は有名人であっても、候補者かプレゼンターかその関係者か、あるいは授賞式にかかわった映画関係者など、一部の人しか招待されないんです。じゃあ、プレスはどこにいるかというと、授賞式会場に隣接した「プレスルーム」にいるんです。ここで世界各国から集まった大勢の記者たちと一緒にモニターで授賞式を見るんです。でも、うれしいのは、オスカーを受賞したスターたちが、会場の席に戻らずそのままこのプレスルームに来て、受賞後の感想を質疑応答形式で話してくれること。授賞式のスピーチでは話しきれなかったことを、ここでたっぷりと聞けます。それにしても、プレスルームは結構忙しいんですよ。だって、授賞式はまだ進行している最中なので、モニターで授賞式を見るわ、プレスルームでの受賞者の話も聞かなきゃならないわ、しかもラジオの出演もあったので、それにも集中しなければならないわで、聖徳太子並みの集中力が必要です!

なかなか聞けないキャメロン監督との「元夫婦」の話

今年の驚きは、何と言っても映画『アバター』を押しのけての映画『ハート・ロッカー』が6部門で受賞した快挙でしょう。(『アバター』は3部門)『ハート・ロッカー』が監督賞だけでなく作品賞まで受賞した瞬間、プレスルームにも感嘆の声が! アカデミー賞史上初めての女性監督の受賞となります。授賞式のスピーチでも動揺を隠し切れないキャスリン・ビグロー監督でしたが、プレスルームに登場してからもずっとそんな感じでした。スラリとした長身に女優顔負けの美人。それなのに、謙虚に動揺しているビグロー監督を見れば、どんな男性でもイチコロ? 58歳という年齢がうそのような魅力的な方です。そんなビグロー監督にわたしもさっそく質問してみました。

「キャメロン監督とご結婚なさっているときに、何か彼から映画作りや映画業界でのことで学んだことはありますか?」

あちこちで「元夫婦対決!」と書かれていたので、やっぱりこれに触れないわけにはいかないでしょう。すると、ちょっと間があって「彼は素晴らしい監督だと思います」の一言で終わってしまいました。……うーん、やっぱり答えづらかったのかしら。残念。

ちなみに、彼女の答えで一番印象に残ったは、「自分の夢は絶対にあきらめないこと」というコメント。58歳で初めてのアカデミー賞を受賞したのですから、とっても納得。

サンドラ・ブロック:第二のブレイク!

そのほかにも印象に残ったのは、映画『しあわせの隠れ場所』で主演女優賞を受賞したサンドラ・ブロックです。プレスの質問に、ユーモアたっぷりに答えたかと思うと、今度はまじめに答えて、まるでオバマ大統領の頭の良さとお笑い芸人のユーモアを足して2で割ったような感じです。また、出演者としてだけでなく、製作者としての経験も感じられ、「第2のブレイク!」というオーラをばりばり感じました。まさに、ラブコメ女優からトム・ハンクスウィル・スミス並みの息の長い大型スターになる瞬間を目の当たりにした感じです! そんなサンドラの言葉で一番印象に残ったのは「自分らしくあり続けることが成功への鍵」という言葉でした。

『ザ・コーヴ』は日本へのラブレター?

和歌山県太地町のイルカ漁を隠しカメラで撮影した映画『ザ・コーヴ』が、ドキュメンタリー長編賞を受賞ときも衝撃的でした。プレスルームに登場した『ザ・コーヴ』のチームは質問攻めにされていましたが、一気に緊張感が高まったのが、日本人記者が質問したとき。「たった今、太地町の代表がこの作品には誤りがあると声明文を発表しましたが、それに対して何かコメントは?」

これに対して、ルーイー・サホイヨス監督は、基本的にこの作品は日本バッシングの映画ではなく、むしろ「日本へのラブレターである」ことを強調していました。水銀の量が多いイルカの肉を食用したり、娯楽のためにイルカを調教したりすることが本当にいいのかどうかを、情報提供することで日本人の皆さん自らが判断できるきっかけになれればいい、というようなことを話していました。日本では初夏に公開されるとのこと。日本でどのように受け止められるかが、気になるところです。

~あとがき~

何はともあれ、怒とうのごとく過ぎ去っていったアカデミー賞。たった6,000人未満のアカデミー会員の投票が業界全体を動かしてしまう映画の式典。そんな多大な影響力のある式典を間近で見ることができて、今年も大変幸せでした。さあ、ハイヒールを脱いでアカデミー賞関係で駆け回った1か月の緊張をお風呂で洗い流そうっと。

こはたでーす。
見学席に当選した親子。朝7時の集合なのにうれしそう。
プレス専用のレッドカーペットのベンチ。
レッドカーペット沿いのレポーターたち。皆ドレスアップしている。
見学席のファン。
フィルムでつくったドレスを着た女性。
アマンダ・セイフライド。わたしの中では彼女がベスト・ドレッサーかも。
今年のワースト・ドレッサー、シャーリーズ・セロン。
今年は背中が大胆に開いたドレスでーす。アメリカだから許させる?
混み始めてきたレッドカーペット
ジェニファー・ロペスとだんなさんのマーク・アンソニー。
キャリー(サラ・ジェシカ・パーカー)だ! この団子ヘアーは!?
周りがパーっと明るくなるキャメロンの魅力。
キャメロン監督をうっとりと見つめる今の奥さん。
タラちゃん。今回は残念でしたね。作品はとっても良かったのに。
サンドラ・ブロック。彼女の表情はよく動きます。
深夜なのにコダックシアターから帰る客がまだいる
すべてが終って深夜近くのレッドカーペット。ハイヒールが痛いよー。
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