シネマトゥデイ

ジョン・トラヴォルタ、ジョナサン・リス・マイヤーズ
『パリより愛をこめて』
リスクを犯す勇気がなければ、成功は手に入らない
『パリより愛をこめて』ジョン・トラヴォルタ、ジョナサン・リス・マイヤーズ インタビュー

文・構成:シネマトゥデイ 写真:Chiaki Nozu

映画『トランスポーター』『TAXi(4)』『96時間』の名コンビ、リュック・ベッソン原案、ピエール・モレル監督が放つサスペンス・アクション映画『パリより愛をこめて』。破天荒なスゴ腕CIAエージェントを演じるジョン・トラヴォルタと、繊細な見習いCIA捜査官を演じるジョナサン・リス・マイヤーズに、パリでの感動的なエピソードをはじめ、こだわりの役づくりやお互いの印象について語ってもらった。

■スキンヘッドは自らのアイデア!

Q:以前からアクション映画への興味を口にされていましたが、そのスリムな体でこの作品をこなすのは大変だったのでは?

ジョナサン:僕がスリムな体型を維持している理由はごく単純さ。ポール・ニューマンが「体重が増え過ぎると背が低く見える」と言っていて、僕も同じ理由だよ。アクションは、精神的にすごく解放されるような気がしていたんだ。今回初めて挑戦して、演じる立場であると同時に、内側からそのアクション映画を眺めている観客のような立場でもあったんだ。僕がそうだったように、この映画を観てくれる人たちも自分を同化させて、道徳心と葛藤(かっとう)してもらえるんじゃないかな。

Q:リュック・ベッソンがかかわっていることが出演を決めた大きな理由だとおっしゃっていましたが、実際の彼の印象はいかがでしたか?

ジョン:彼はヨーロッパ版のスティーヴン・スピルバーグだと言えるね。明朗快活で、クリエイティブ面の意思決定や自身の作風に関して非常にオープンなスタンスを取る。アメリカでスピルバーグがかかわっている映画の脚本が送られてきたら、最低でも目を通してみるだけの価値はある。ヨーロッパにおけるリュックの存在もそれと同じさ。加えて、ピエール・モレル監督やジョナサンの存在、パリを舞台にした撮影といった要素も合わさって、この作品は首を縦に振らずにはいられないほど威力のあるものになったんだ。

Q:ベテラン俳優という立場から、監督としてはまだ新人のピエール・モレルに何かアドバイスはされましたか?

ジョン:いい質問だ。スキンヘッドはわたしのアイデアなんだ。わたしのキャラクターは、ジョナサンが演じるキャラクターとは異質のものにしたかった。非常に無骨な傭兵(ようへい)のようなタイプであるべきだと思っていたんだ。そのほかにも、一連の動作の中でせりふを口にできるように練習時間を45分取ってほしいと言った。その代わり、実際の撮影は2テイクだけで済ませてみせるとね。撮り直しの連続を避けるための大きな違いさ。

■エッフェル塔での朝、おれたちはなんて幸せ者なんだ!

Q:撮影中にお二人でパリを楽しむようなことはありましたか?

ジョナサン:忘れられない瞬間はあるよ。エッフェル塔の上で迎えた朝は一生の思い出だ。朝日が昇り始めたころ、コーヒーを飲みながら「ワーォ、おれたちは本当に幸せ者だ。こんなに恵まれた人生を送ることができるなんて」とジョンが言ったんだ。僕はこの映画の出演を本当にありがたいことだと思っている。英語が母国語ではない監督にとっても、アメリカ人の会話特有のユーモアをフランス人に伝えることのできるジョンは最高の俳優だ。この映画の中ではアメリカ人キャラクターならではのセリフのおかしさが完ぺきに表現されているんだ。

ジョン:鋭い指摘だな。アメリカ人ならではの言い回しのおかしさというのは、あまり耳にしたことがないフランス人からすれば、何でそのせりふが面白いのかが理解できないに違いない。「ここは駐車禁止だ」と言われれば、いたずらっぽく笑いながら"But I did(アクセントは"did"にあって音はディ~ドゥ)"と口答えしてみたりする。こういった表現は、アメリカ流に処理されて初めて笑いを誘うことができるのさ。

■凶暴そうなトラヴォルタはインパクト大!

Q:ご家族が本作でのルックスを初めて目にしたときの反応はいかがでしたか?

ジョン:とても気に入ってくれて、前向きなリアクションが得られて安心したよ(笑)。『パルプ・フィクション』のときも、リスクを承知で長髪のルックスをクエンティン・タランティーノに提案して、「いや、それはちょっとどうかな」というリアクションが返ってきたんだ。わたしは「せめてカメラテストだけでもしてくれないか?」と懇願し、カメラテストで現場の全員が即座に納得してくれたというわけさ。リスクをいとわなかったからこその大成功もあるということだ。今回も同じ結果になってくれたよ。

Q:共演者として、ジョンのルックスを初めて見たときにどう思いましたか?

ジョナサン:お互いのキャラクターが初めて対面するシーンで、僕自身も映画の中でのジョンの容姿に初めて触れるというのがピエールの意向だったから、カメラの前でのリアクションが僕の最初のリアクションさ。かなりインパクトがあった。僕みたいな若い役者にすれば、ジョンのように偉大な俳優と撮影現場にいることだけでもインパクトは十分なんだけど、セットにいる自分の目の前には、凶暴そうで、相手を見下しているような、攻撃的なジョン・トラヴォルタの姿があったんだから(笑)。

ジョン:ディテールが物を言うのさ。

ジョナサン:そうだね。「おれ様は誰もがあこがれる大スターだ」とでも言わんばかりの役者もいるだろうけど、アーティストとして、はるかに高いレベルの意識を持つ役者だっているということ。映画は、大衆向けの娯楽作品だとしても、現存する媒体の中で最も効果的な感情表現の手段になり得る力を持っている。

ジョン:ジョナサンの言う通りだ。そしてすべてはディテールにかかっている。映画はビジュアル媒体であるからこそ、細部にまで徹底的にこだわる必要がある。この作品の中の、一人の女性が心を奪われている男性の元へと歩いていくシーンは映画史に刻まれるべき名シーンだ。動揺している彼女の髪は風に乱れたまま。ほとんどの映画なら、14人ぐらいのヘアメイクが一斉に、「そのままじゃダメダメ!」とでも言いながら、彼女の髪の乱れを直そうと必死になっていたはずさ(笑)。

ジョナサン:絶対にそうだと思う(笑)。

■秘密主義では、素晴らしいパフォーマンスはできない!?

Q:お二人の映画に対する価値観が似ていたからこそ、この作品は素晴らしい"バディ・ムービー"になったのでしょうね。

ジョン:これまで競演してきた中で、ジョナサンほど自分と共通の価値観を持っていた役者はいない。お互いに、細かい要素も含めてすべてを完ぺきに表現する努力をいとわないし、そのためには話し合いもする。中には、役づくりの思考プロセスを他人に話したがらない役者もいるが、ジョナサンとわたしはその点に関して非常にオープンで、そんな関係は大歓迎だ。

ジョナサン:確かに中には秘密主義の役者もいるよね。僕の大好きなドキュメンタリー映画で『キンスキー、我が最愛の敵』という作品がある。その中でクラウス・キンスキーは、リハーサルも、事前に脚本に目を通したこともないというスタンスを貫いているんだけど、本当は10時間もリハーサルをしている。演技がその場で生まれたマジックのようなものだと周囲に思わせたかったんだ。でも僕は、本当に信じ難いほど素晴らしいパフォーマンスが、そんなふうにして生み出されるとは思わない。チャンスという名の小さなつぼみに十分な日の光と水分を確実に与えることによって、想像を絶するほど美しい大輪の花を咲かせることができるんだ。

56歳とは思えない力強いアクションを披露するジョン・トラヴォルタと、23歳年下の実力派俳優ジョナサン・リス・マイヤーズが、正反対とも言えるキャラクターを演じ、見事な融合を見せる本作。演技に懸ける情熱や、完成度の高い作品を作り上げることの誇りが二人から伝わってくる。良質な"バディ・ムービー"に仕上がっているのも納得で、任務を遂行するために、それぞれ違う手段を選択する二人のプロフェッショナルな演技に魅了されること請け合いだ。

(C) 2009 EUROPACORP - M6 FILMS - GRIVE PRODUCTIONS - APIPOULAI PROD

『パリより愛をこめて』は5月15日より全国公開

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