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市原隼人&高良健吾
『ボックス!』
負けてもいい試合なんてない
映画『ボックス!』市原隼人&高良健吾単独インタビュー

取材・文:シネマトゥデイ 写真:高野広美

百田尚樹の人気同名小説を、映画『デトロイト・メタル・シティ』の李闘士男監督が映画化した青春ボクシング映画『ボックス!』。大阪の下町に生きる、底抜けに明るくて素直な天才ボクシング少年・カブちゃんこと鏑矢義平を市原隼人、鏑矢の幼なじみで、やがて宿命の対決を迫られることになる努力家の優等生ユウちゃんこと木樽優紀を高良健吾が演じる。ボクシングの熱い戦いに火花を散らしながらも、固い友情で結ばれた二人を演じた市原と高良が、映画同様、涙あり、笑いありの撮影ウラ話をたっぷりと語ってくれた。

■ガチンコ撮影で8時間くらい殴られっ放し

Q:迫力満点のボクシングシーンは、すべてガチンコファイトだったというのは本当ですか?

市原隼人(以下、市原):そうですね。パンチは全部当たっています(笑)。本物です。

高良健吾(以下、高良):映画では、ヘッドギアも普通のよりも開いているし、プロで使う8オンスのグローブなんで、当たるとめちゃくちゃ痛いんです(アマチュアは、本当は10オンス)。

Q:撮影も、かなりの長丁場だったそうですが、どれくらいの間殴られっ放しだったんですか?

高良:隼人さんは8時間くらいでしたよね? 撮影ではみんな、本気で打ち合いだったんです。だから、本当に痛いし、つらくて大変でした。

市原:8時間くらい殴られっ放しで、だんだん脳が揺れてきて、本当に気持ち悪くなっちゃって……。「すみません!」って監督に言って、バーってトイレに走っていって、吐いて、すぐに走って戻って、「お願いします!」って(苦笑)。でも、戻ったところには、健吾とか、ボクシング部のみんなや、スタッフの皆さんが待っていてくれて、温かかったですね。みんながいてくれたから、乗り越えられたんだって思いますね。本当に……。

高良:僕も6時間くらい殴られ続けたんですけど、途中で心が折れそうになって、考える力がなくなってきました。何も考えられなくなって、次の日なんかおかしかったですもん。

市原:ボア~ンって感じだったよね!

■うどんは鼻から口までつながっている!

Q:ボクシングシーンもガチってことは、もしかして、鼻からうどんを食べているシーンもガチですか!?

市原:リアル、リアル! 人生初の鼻うどんです! あのシーンの前日、「どうしよ、どうしよ」って言っていたんですけど、とにかく練習しようってなったんです。その日、健吾も大阪に着いたって聞いて、「健吾、お願い! ちょっと鼻にうどん詰めてくれないかな? って(笑)。

高良:僕も頑張ってみたんですけど、できなくて……。

市原:やり方がわからなくて、ほかの部員たちにも挑戦してもらったりして、すごく練習したんですよ(笑)。

Q:まさか、リアルに鼻うどんをしているとは思いませんでした。

市原:ちゃんと鼻から口まで、うどん、つながっています!

高良:だから隼人さんも前日まで成功しなかったんですよ。でも本番で成功していたから、隼人さんってすごいですよね。

市原:現場で、鼻うどん待ちって聞いたことないですよね(笑)。「あ、うどん入りました~!」ってね(笑)。

高良:そうそう(爆笑)。

Q:では、あの涙目は本物だったんですね。

高良:僕が市原さんの肩をたたいて、振り向かせるシーンだったんですけど、振り向いたら、めちゃめちゃ涙目でしたね。

市原:現場がみんなけっこうまじめで、「大丈夫っすか?」とか聞いてきてくれるんですよ。逆にそれが、つらかったですね(笑)。

■高校生の恋愛に共感? 実際の思い出は……

Q:劇中では、二人の小さな恋も描かれていましたが、対照的でしたよね。ユウキこと木樽は年上の先生にあこがれていて、カブこと鏑矢は、「女子無理!」な感じで(笑)。

市原:「おれにはボクシングしか、あらへん!」っていう言葉通りなんですよね。カブは、ボクシングを通してしか自分を表現する方法を知らないし、ボクシング以外に全然興味がないんですよ(笑)。

高良:ユウちゃんが、先生に恋しているのは原作ではもっと描かれているんですけど、映画ではあまり細かく描かれていないんです。でも、スクリーンから少しでもユウキの恋心が伝わっていたら、うれしいですね。

Q:高校生だったころのご自身を振り返ってみていかがでしょう? それぞれの恋の形に共感できますか?

市原:おれはできます(笑)。カブと同じく、いまだに、女子とはあんまりしゃべれなくて(笑)。男友達とつるんだりしている方が楽しいので!

高良:年上の女性……、何か好きな先生が学校にいるっていいですよね。うちの学校はほぼ男子校だったんで、先生も格闘技系の先生たちばっかりでした。そういう意味では、あまり好きになれるような先生はいなかったです。

■カブとユウキが本当の男になっていく瞬間

Q:カブが試合に負けて、自分のプライドがずたずたになってしまうシーンは胸が痛くなりました。でもそこからの、カブの立ち直っていく姿が……。

高良:ほんっとにかっこいいですよね!

市原:あれは、カブとユウキの二人が、本当の男になっていく瞬間だったんだと思います。

高良:カブって、器がでか過ぎるんですよね。自分で台本読みながら、ユウキって何で自分のことしか考えてないのかなって思ったり、もうちょっとカブのこと考えてあげればいいのにって思ったりしました。そんなユウキを全部受け止めちゃえるのが、カブなんですよ。だから、ユウキって、カブがいなかったらどうなっちゃってたんだろうって、ちょっと心配になりました。

市原:でも、カブもユウキがいなかったら、カブになれない。本当の男には、なれなかったと思うんですよね。カブが、「おれにはボクシングしか、あらへんのに」って泣いて、どん底を見ているときに、ユウキはすごく努力して、どんどん成長していく。それを見て、カブも成長していく。お互いがいなきゃ、二人共成長できなかったと思います。

Q:あのシーンは演じるのが難しそうでした。

市原:難しかったです。正直、どんな気持ちでいるべきなのかもわからないくらい、すごく複雑な気持ちでした。でも、カブは、強い気持ちに動かされたと思うんです。自分の中にある強い気持ちだけは、ユウキに伝えたい。そういう感じだったんじゃないかって思うんですよね。

Q:最後に、撮影を振り返って、お二人が改めて感じたことを教えてください。

高良:自分がやったことのない経験をさせてもらえたので、自分にとってすごく大きかったですね。ゼロからのスタートだったので、覚えることがたくさんありましたが、覚えたことが一つ一つ自分の力になっていくと思うので、とても楽しかったです。

市原:おれは、リングの上に立つボクサーがいかに孤独なのかっていうのをすごく感じました。リングの上に上がるまでは、いろいろな人たちが周りで支えてくれていて、誰かのために頑張りたいって気持ちが生まれると思うんです。でも一度リングに上がったら、誰も助けてくれない。負けてもいい試合なんてない。たった一人でリングに上がるボクサーの緊張感を、初めて味わいました。孤独な時間を好きになれるくらいの強さが、必要なんだって思いました。

壮絶過ぎるボクシングシーンの話を真剣にしていた二人は、市原の鼻うどんの話になったとたんに高校生のようにあどけない表情で大笑いしていた。それは、劇中の過酷な練習をしながらも、常に笑いを忘れず、明るく毎日を過ごす、恵美寿高校ボクシング部員たちの姿そのままだった。つらい時間を共に過ごした仲間だからこそ、楽しい思い出を笑いながら話すことができる。映画『ボックス!』の現場を共にした、二人の同世代の俳優は、劇中と同じ固いきずなで結ばれていた。そんな彼らの本気がスクリーンから伝わる本作を、ぜひ体感してもらいたい。泣いて笑って過ごす青春の楽しさを、カブとユウキが思い出させてくれるはずだ。

【市原隼人】メイク:高橋幸一、スタイリスト:小野和美
【高良健吾】スタイリスト:澤田石和寛

映画『ボックス!』は5月22日より全国東宝系にて全国公開

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