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ラジカル鈴木のネットをにぎわすあの人!~シネマトゥデイ検索ランキングより~  第13回 木村多江

危険なにおいに惹(ひ)かれて
『東京島』を観た。僕は洋画に比べて邦画を観ることが少なくってあまり多くを語れない。けど久々に邦画を観た。今回の検索ランキングで、何と木村多江さんが堂々の第1位! この『東京島』のプロモーションで、何か気になるにおいをプンプン発していたから、たぶん人間の本性みたいなものが描かれているんじゃないか? と感じ……そして、やっぱりその通りでした。
木村多江

脱・薄幸女優? シネマトゥデイ 人物アクセスランキング 2010年5月
木村さんは、CMやテレビドラマも含めて膨大な出演歴があって、かなり前からあちこちでその姿を見ていたのだろうけれど、ちゃんと認識したのは恥ずかしながらこれが初めて。僕のような非フォロワ−が知って、本当にブレイクと言えるんでしょうね。

『ぐるりのこと。』(2008年)で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞、ブルーリボン賞主演女優賞、高崎映画祭最優秀主演女優賞も受賞している彼女。いや、失礼しました! んでもやや遅咲きですよね、39歳。

最近では、『ゼロの焦点』(2009年)で痛々しい役柄にふんしています。これまでずっと幸薄い役ばかり演じてきたらしく、役も印象的で“薄幸女優”なんて異名を持つ。その幸薄そ~うな感じが圧倒的存在感で観客を、特に男性ファンを魅了している。

でも『東京島』で演じるのは、『ゼロの焦点』とは対照的で不運ではあるものの、生きることに対してむっちゃポジティブで生命力あふれるたくましい女性。まったく違う役柄でも完全に演じ分けられる、本当の実力派なのですね。表面の華やかさだけではなく本質が問われる昨今。時代が求めた、たたき上げのスターなのでしょう。

木村多江

無人島はオイシイ
女性の本質である「たくましさ」や「生命力」が最大のテーマなのは疑いようもない。原作は桐野夏生の、谷崎潤一郎賞を受賞したベストセラー。ですから、そりゃヤハリ官能的な要素が濃厚なワケで。無人島が舞台というと、海外テレビドラマ「LOST」や往年の名作『流されて・・・』(1974年)など、ほかにもたくさんの作品を思い出します。

ぬくぬくと都会で暮らしてきた現代人が、対極の何もない隔離された場所に放り込まれ、立場や役割を脱ぎ捨て、生き残るため本性を表す……。これが面白くないワケがない! ドラマにとって無人島は、まったくもって最高にオイシイ舞台です。

さらに『東京島』がユニークなのは、若い男が何と23名も居ながら、女はたった一人!! 歳は43歳! 逆ハーレム、女王蜂状態な設定だ。

女一人では、飢えた屈強な男たちの慰みモノになっちゃうんじゃないか?
と、ちょっと心配しましたが、いやいや。イマドキの20代の若者たちは草食系で、無害でおとなしく、彼女を女王様のように奉って秩序を守り遠巻きにモノ欲しそうに眺めるだけ。彼女の肉体を手に入れられるのは、島の支配者である夫のみ。

なんだ、都会での会社や学校となんら変わらん。調和となあなあが好きな大多数の男たちは、争いは極力避け現状キープしようとする。冒険しない。自分の意志は希薄で、軟弱なヤツらばかり。こんな若い男多いんですよね~今。

また、そんな日本人たちと対照的な、何事にも旺盛で積極的で生命力あふれる中国人たちとの対比も面白い。これって、まさに、今のアジアの状況そのままじゃないですか。

善悪を超えた魅力
木村さんふんする主人公の清子は、女の武器を十分に使い、島の権力者の女の座へ。その夫が居なくなると、どうするのが得か、目まぐるしく変わる状況を正確に分析し二またを掛ける。そして優勢な側に簡単に寝返り、ケロッとして罪悪感は皆無(!?)。見栄や体裁を繕うこともない。そして一切のためらいもなく、とても自己に忠実。すべては生きて脱出するため。女は男よりもしぶとく生き抜く

自己中心的なのに感情移入ができるのは、やはりそれが人間の本質だからでしょう。生きるか死ぬかの極限状態、ひと皮むけば誰しも多かれ少なかれ利己的で、完ぺきな人間など居ないハズ。良い人ぶっているのは、己の感情に忠実でないものなのでは? とね。サバイバルしないヤツらは、見ていて面白くない。

演技の糧はヤハリ経験
と、作品のことばっかり話しちゃいましたが、木村さんは清子を見事に演じ切っていて、本当に素晴らしい! 彼女以外では考えられない絶妙な配役ですね。

派手な色気全開っていうワケではないけど、ヤッパリきれいな人です。生々しい演技もヘビーになり過ぎない。どこかお隣に住んでいる知り合いのようなナチュラルさ、なのに危険な色香も同居している。

仕事にまじめそうな彼女も、2005年に結婚して2007年8月に妊娠したとき、出演中のテレビドラマ「大奥」を降板、主演ドラマの「上海タイフーン」は、制作途中で無期延期となるトラブルがあった。2008年2月に出産してから撮影は再開され、記者会見では自らの妊娠による製作延期について「役者として恥ずべきことをし、ご迷惑をお掛けしておわび申し上げます」と謝罪の言葉を述べた。まあ人間だもの

清子の役柄でも急展開の妊娠・出産のシーンがあったけど、説得力があった。子供を授かるってヤッパなかなかコントロールできることではないでしょう?
そんな人間くささが垣間見られると、さらに魅力倍増。逆境も不幸も修羅場も酸いも甘いも何もかも乗り越えた後に見せる、涼しいまなざしとほほ笑みがイイ。と、あれ……いつの間にかすっかりホレちゃった僕!?

今や日本を代表する演技派女優の木村さんに、気が付けばすっかり夢中ですわ~。脂も乗って、もっともっとヤバイ魔性のオンナっぷりを見たいなあ、どんな役でも完ぺきになりきれるハズだから! ではまた次回!!
イラストレーター・アーティスト。人物、女性をモチーフにしたポップ&キュートな作風を得意とし、各種媒体へイラスト提供。代表作は、読売新聞社・国立科学博物館主催の「大顔展」の宣伝ビジュアル。現在は雑誌や新聞で映画レビューや旅行ルポ、ダイエット記などを執筆しており文筆家としても活躍。著書に「男の食いしんぼダイエット」、「ラジカル式 にんにく本」がある。
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(8月21日まで)

ラジカル鈴木
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