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織田裕二
『踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!』
いつかサラッと名ゼリフを言ってやりたい
映画『踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!』織田裕二 単独インタビュー

取材・文: 鴇田崇 写真: 櫻井健司

もはや説明不要の大人気シリーズ、7年ぶりの劇場版最新作にして第3弾、映画『踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!』がついに公開! 主人公の青島が係長に昇進、湾岸署の引っ越しから物語の幕が切って落とされるなど、新展開をいくつも用意しながら、13年間変わらなかった「踊る」の世界観ももちろん継承している本作。なぜ「踊る」がこれほど愛される長寿シリーズになったのか。主演の織田裕二がシリーズや青島像を振り返り、今後の展開についても思いを巡らせた。

■人間的でアナログな部分を大切にしてきた

Q:前作から7年たちましたが、織田さんにとって、長かったですか? 短かったですか?

長かったような気もします(笑)。でも、今回の現場でみんなと会ったとき、それほどブランクを感じなかったんです。今までも5年周期でなんとなくまたやろうみたいな感じになっていて、THE MOVIEが公開されたときも、THE MOVIE2 が公開されたときも、「5年後くらいにまた会えたらいいね」という話をしていたんです。

Q:すると、織田さんの中では撮影を待ち焦がれていた、第3弾となったわけですね。

今回は途中で和久さんがいなくなるということがあって、もうないのかなという気持ちにもなっていました。やっぱり青島にとって、和久さんの存在はすごく大きいものだったんです。もちろん青島以外のみんなにとってもそうだったと思うけど、ポコンと大きな穴が開いた感じがしたんです。それを乗り越えられる時間とアイデアが必要だったんですよね。

Q:和久さんがいなくなったことの喪失感はファンも同じで、同じく時間が必要だったと思います。

死んだことにしたくないという思いが制作者側にあったんです。だけど、CGで和久さんを再現できたとしても、和久さんは嫌なんじゃないのかなと。「踊る」ってデジタルな世界だけど、人間的でアナログなところを大切にしてきた作品でもあるんです。

■その宿題はTHE MOVIE 4に向けて取っておきます(笑)

Q:また、今回は青島が係長という役職に就いて、人を使う立場になったこともポイントですよね。

今回は二つ大きなテーマがあって、一つは「生きる」、もう一つは「仲間」。仲間というのは、例えば青島が上司になって、新しく部下ができるということ。そのアプローチをどうやるのかが見ものなんです。どういう組織でどういう役職を演じるかを考えることが大切でした。青島流のリーダーシップが問われてくるんです。

Q:でも、青島のことなので係長になっても「本店」の顔色をうかがうようなことはないですよね?

ある意味で、ヤンチャで何をしでかすかわからない青島が係長になるということは、首に縄を付けられてと言ったら変だけれど、より「本店」側、体制側につくことになるわけじゃないですか。そうすると文句ばかりも言っていられない気持ちも芽生えてくるかもしれない。芽生えたとして、それを青島ならどうするのかなって考えることは、面白かったですね。部下に対してはどういう上司像を見せてくれるのか、そこには僕自身の期待もありました。

Q:その部下に関して、今回も「踊る」定番の名ゼリフがあったと受け止めていいでしょうか?

ああ、そうですね(笑)。あのセリフは今回の一つの凝縮した思いだと思います。以前、「事件は会議室で起きているんじゃない、現場で起きているんだ!」とほえましたが、言い方はいろいろとあると思いました。言い方をどうしようと監督と相談したとき、僕はほえている決めゼリフではなくて、もうちょっとサラッと言うことを提案しました。そういう青島もありかなって。結局、サラッとじゃない方になりましたけど(笑)。いつかサラッと名ゼリフを言ってやりたいです。その宿題はTHE MOVIE 4に向けてとっておきます(笑)。

■テレビシリーズのころから変わらない、青島俊作の本質

Q:今回改めて感じたことや、維持していこうと思った青島像はありますか?

実は今回、「青島が係長になるよ」って聞いて、びっくりしたんですよね。以前の青島のセリフでも、「室井さんは理想を実現するために上に行ってくれ。おれは下で頑張るから」というのがあって、青島に上昇志向はまったく感じられなかったんですよ。だから、僕はずっと青島はそこにいると思っていたんです。仮に青島が何かに目覚めて、室井さんのような立場で大きな仕事をやりたいと思ったとしても、ノンキャリアなので違う次元で勝負する必要があると思いますし。

Q:青島は営業マン出身でリーダーシップもありそうですし、係長のベースがあった気がします。

ああ、それに青島は和久さんの影響を多分に受けています。和久さんって、実は青島より階級は下だったんです。テレビシリーズのころ、和久さんは巡査長で、青島は巡査部長でしたから(笑)。今回、青島は警部補になって自動的に係長という役職に就きましたが、警部補試験を受けずに万年平刑事の和久さんのような状態でいいと思っていたかもしれないですね。

Q:室井が一時期苦労していたように、警察組織で出世するには、学閥も大切ですからね。

出世とは関係のないところで僕の中で出た結論は、テレビシリーズのころの吉田のおばあちゃんの存在なんです。青島は町の交番勤務で安心した町づくりを目指していた。それこそ警察活動の基本的なことだとは思うけど、おばあちゃんが独り暮らしであったら巡回に来てくれて、「こんばんは、元気?」って、言いながらお茶を一緒にごちそうになって、町の治安を守ってくれる元気なお巡りさん。そういう側面を大事にしたいなと思ったんです。

■和久さんの力を借りて撮ることができたラストシーン

Q:13年前にシリーズが始まって今回で劇場版も3作目。改めて「踊る」の魅力とは何でしょう?

どうやって気持ちよく映画館を出てもらえるか? を大切にしているのが「踊る」だと思います。だから最後のシーンを撮っていて、監督にここで新しい主題歌をかけようと思っていると言われたとき、なるほどねって思いました。

Q:THE MOVIE 4への期待が高まりますが、青島は係長以上に偉くなっているかもしれませんね。

署長とか? あり得ないよなあ(笑)。個人的には刑事課の課長を誰がやるのかすごく気になっているんです。青島は係長で十分なんですけど……。初の女性で、すみれ課長かも(笑)。係長職飛ばしていきなり課長に飛ぶって、そんなことあの「会社」じゃあり得ないかな。でも、真下のようなキャリアはどんどん出世していくと思いますし、現実にもそうみたいですよ。

Q:エンドロールの後のシーンが印象的でした。いろいろな意味が込められていると思いました。

そのシーンを観たことで、「心はさわやか」とか「すごく気持ちがいい」とか「いいものを観たな」とか、もっと言えば「高原に行ってきました!」くらいの妙なさわやかさ、優しい気持ちになれたりするかもしれません。僕たちは和久さんの死によってすごく窮地に追いやられたけれど、その和久さんの力も借りて撮影して、「天国で見守っていてね」という思いも込めて、最後のシーンを撮りました。実は、新しい展開を予測させてくれるシーンにもなっていると思うので、映画館で観てください。

青島にとっても織田にとっても和久さんの存在は大きかったということで、大きな悲しみと喪失感を乗り越えて生まれたTHE MOVIE 3だったことを感じさせられた。物語の舞台となる湾岸署が引っ越ししたり、青島が係長になったり、これまでにない新しい価値観のキャリアや犯罪者が登場したりと時の流れを投影した最新作となっているが、一方でシリーズの伝統や青島のスピリットなど、変わらない要素も残っている。それらを継承した上で、新しいステージに突入した「踊る大捜査線」は新たなファンを獲得しながら、きっといつまでも続いていってくれることだろう。

映画『踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!』は全国公開中

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