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小栗旬
『シュアリー・サムデイ』
「この作品にかかわったすべてのみなさんへ」感謝!!
映画『シュアリー・サムデイ』小栗旬 単独インタビュー

取材・文:壬生智弘 写真:内堀義之

人気・実力共にトップクラスの若手俳優、小栗旬が初めてメガホンを取った青春映画『シュアリー・サムデイ』。ごく普通の高校生5人が、ふとしたことから想定外の爆破事件を起こしてしまうのだが、その事件がその後の人生に思わぬ波紋を投げ掛けてしまったことで、人生の一発逆転を狙うという物語だ。ジェットコースターのように次々と起きる事件をスピード感あふれる映像で見せていく、スタイリッシュな演出を披露した小栗に、初監督作に懸ける思い、そして本作のこだわりについて、本音を語ってもらった。

■こんなに早く映画監督をやらせてもらえるとは

Q:資料によると、全国公開規模の作品のメガホンを20代の監督が撮るのは初の快挙だそうですが。

正直、自分ではあまりよくわからないんですよ。もちろんすごく光栄なことだとは思いますが、実際に、そういうニュースが出たとしても、「どうせ片手間に作っているんじゃないの?」と思われている部分もあると思うんです。「俳優として少しは人気も出てきたし、そろそろ映画を作ってみようかなくらいの軽い気持ちでやっているんじゃないか」というような……。でも、それはもう、実際に映画を観てもらうしかないんですよね。

Q:そういう意味ではプレッシャーもあったのでは?

そうですね。ただもうこれは誠心誠意、人と向き合うしかないですからね。そこは自分の中では揺るがない点です。

Q:そういう考え方はこれまでの役者生活で培われてきたものですか?

そうだと思います。僕らの仕事はいつも出会いと別れを繰り返すものなので。それに、僕は人が好きなんですよね。だからこそ、人と向き合えるんだと思います。

Q:監督デビューがこの時期で良かったと思いますか?

実際、こんなに早く映画監督をやらせてもらえるとは思っていませんでした。そんなに簡単に映画監督なんてなれるものではないと思っていたので……。でも、あと2年くらい先だったらこういう映画にはならなかっただろうし、今の僕だからできる20代の見せ方というものがあるので、今となっては、このタイミングで映画を撮れて本当に良かったなと思います。

■過去に組んだ監督の言葉を使わせてもらった

Q:本作出演者のムロツヨシさんが、小栗監督の「よーい、はい!」という掛け声がすごくカッコよかったと絶賛していました。初めて監督として現場で掛け声を掛けたときの気分はどうでした?

実は最初は、チーフ助監督に「代わりに言ってくれない? おれ、掛け声を掛けるのって恥ずかしいんだけど」なんて言っていたんですよ(笑)。そこからのスタートでした。でも途中から「恥ずかしがってる場合じゃないな」「僕ができることをやるしかない」と思って。そこからは舞台に出演しているときのように声を掛けていきました。

Q:役者の演技の付け方はどうでしたか?

それこそ、過去に組んだ監督さんの言葉をたくさん使わせてもらいました。「こういうふうに言われたときは心に伝わったな」と思ったことや、これを言われたときには安心したな」といったようなことなど、そういういろいろな方からのフレーズをたくさん使わせてもらいました。

Q:例えば具体的にはどのようなフレーズがあったんですか?

三池崇史監督から言われたことなんですけど、『クローズZERO』で僕の回しげりが全然うまくいかなかったときがあって。「すみません、何回も撮らせてしまって」と謝ったら、「いえいえ、僕らはこれを撮るために来ているんだから、撮れなければ何回でも撮ればいいんです」とおしゃったんです。それは今回の現場で3回くらい使いました(笑)。

■映画を撮るなら菅野よう子さんと組みたかった

Q:音楽に菅野よう子さんが参加されているのが注目ですね。

僕はアニメの「カウボーイビバップ」が大好きなんです。映画を撮るなら絶対に菅野よう子さんと組みたいと思っていたんですよ。プロデューサーと話をしているときに音楽を誰にするかと聞かれて、「今回は自分にとってもチャレンジだから、みんなでチャレンジしましょうよ。菅野さんとやりたいです」と言ったら、(本作共同プロデューサーの)佐谷秀美さんが、「菅野さんか……。(ギャラが)高いからなー」って(笑)。

Q:菅野さんは超売れっ子ですからね。

そういうところからのスタートでした。それでも「ダメもとで依頼してください」とお願いしたら、すぐにやるという返事が返ってきたんです。それで、菅野さんにお会いしたときに、「何で僕の作品をやろうと思ってくれたんですか?」って聞いたら、「素直に台本が面白いと思ったし、わたし最近、ちょっと大御所みたいな見られ方をしていて、こういう映画のオファーが来なくなっちゃったのよね」と言ってくれたんです。あれは幸せでしたね。

Q:そしてエンディングにはトータス松本さんの曲が流れますね。

そうなんですよ(笑)。菅野さんに作曲を頼んでるくせに、最後の曲だけはトータス松本さんの曲じゃなきゃイヤですと言ったんです。菅野さんには、もしこれでノーだったらそう言ってくださいと言ったんですが、全然オッケーだと。むしろ「トータスさんが作曲した曲をわたしにアレンジさせてほしい」とおっしゃってくれたんです。

Q:キャストにも、スタッフにも恵まれた映画だったようですね。

そうですね。本当にやりたいことをやらせてもらった感じです。

■ハートマークが僕の本当の気持ち

Q:今回の映画作りで大変だったことはありますか?

これは自分自身の問題なんですが、僕自身が忙しすぎてつらかったですね。本当に寝られなくて。そのときは大河ドラマ「天地人」を撮影していたんですが、石田三成を演じていない時間はずっと映画の打ち合わせという状態だったので、どんどん目が血走っていくんですよ(笑)。そうやって自分が追い詰められていくときが、三成が追い詰められていくのとリンクしていって……。かえって迫力のある三成になったと言われました。役者の仕事って本当にわからないです(笑)。

Q:初監督作を完成させた今の気持ちはどんな感じですか?

僕の作品に出てくれた方々にも、僕の作品を支えてくれたスタッフに対しても、本当に感謝という言葉に尽きます。現場ではそれこそ愚痴が出たこともありましたし、文句を言われたこともありました。でも、自分のメッセージとしてぜひとも伝えたかったことがあって、エンドクレジットのスペシャルサンクスのところに、「この作品にかかわったすべてのみなさんへ」と書いて、ハートマークをつけたんですが、あれが今の僕の本当の気持ちです。一人では何も作れなかったと思うので。

隣室で、小出恵介ら主要キャストの取材も並行して行われていたこの日。大はしゃぎで盛り上がる隣室の様子にうれしそうな表情になった小栗は、「あいつらと一緒で本当に良かったですよ」とポツリ。そんな仲間思いの彼だからこそ、豪華なスタッフ、キャストが彼の初監督作のために一肌脱いで、花を添えたのではないだろうか。また、俳優としても映画『踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!』『岳-ガク』などの話題作が待機中。俳優という枠を飛び出した小栗旬の活躍の場はますます広がりそうだ。

映画『シュアリー・サムデイ』は7月17日より全国公開

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