シネマトゥデイ

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上川隆也、稲森いずみ、早乙女太一
『ゲキ×シネ「蛮幽鬼」』
なんかちょっと得した気分でした
ゲキ×シネ「蛮幽鬼」上川隆也、稲森いずみ、早乙女太一 単独インタビュー

取材・文:シネマトゥデイ 写真:吉岡希鼓斗

演劇界で圧倒的な動員数を誇り、常にトップを走り続けている劇団☆新感線が、2009年夏に上演した、中島かずき作、いのうえひでのり演出の時代活劇「蛮幽鬼(ばんゆうき)」。全国演劇ファンを熱狂させた本作が、カメラを10数台入れて多角的に撮影したものをデジタル編集した「ゲキ×シネ」シリーズの8作目としてよみがえった。本作で主演を務めた上川隆也、そして新感線初参加となった稲森いずみと、早乙女太一に、本作の舞台裏をたっぷり語ってもらった。

■試写では、ずっと上目使いでチラチラ観ていました(笑)

Q:完成されたゲキ×シネ版「蛮幽鬼」をご覧になった感想を聞かせてください。

上川:僕は、いつも演劇がDVD化されてもあまり自分からは観ないので、距離感が図れているんです。でも今回は強制的に試写に連れて行かれまして……(笑)。しかも、まだ上演から1年もたっていないので、自分の中に演じていた感覚が残っているんです。そうなると、映像を直視できないんですよね。だから試写では、ずっと上目使いでチラチラ観ていました(笑)。

稲森:わたしも、ほかの人が出ているシーンは楽しんで観られたんですけど、自分が出ているところは、かなり耐えながら観ました(笑)。

早乙女:僕も自分が出ている芝居を映像で観ることはあまりないので戸惑いました。普通の視点では恥ずかしくてどうしても観られなかったですね(笑)。

Q:ゲキ×シネは、公演中の1日を使って収録したそうですが、ほかの舞台収録よりもかなり多くのカメラで撮影されたそうですね。収録日のことを聞かせてください。

上川:やっぱりカメラが舞台の近いところに置いてあると気になるもので、緊張感が違うんです。「今日は、収録だ!」と思うと、もう一回初日が来たような「トチれない」縛りがあるんです。さらにゲキ×シネは、カメラの台数がハンパじゃなくて、どこを向いてもカメラがあるんです。

稲森:ちょっとでも考えるとすごくカメラが気になっちゃうので、わたしは、なるべく意識しないようにしました。

早乙女:もうカメラが気になって仕方なくて……。化粧も濃かったりするんで、近くで撮られるのは、かなり嫌でしたね(笑)。

■「わ! 上川さん、歌ってる!」ってけいこ中に、感動していました

Q:この「蛮幽鬼」は、新感線の舞台の中でも異色作でしたね。皆さんは、どんなところに魅力を感じましたか?

上川:静と動の落差がすごく激しい舞台でした。太一が素晴らしい殺陣で動を見せたら、今度は舞台上の人間がほとんど動かないという静の芝居もあって、新しい魅力がふんだんに盛り込まれた、とても珍しい作品だったなって思いますね。

Q:上川さんのミュージカルシーンもすごく珍しかったです!

上川:ミュージカルシーンといわれると、ものすごく恥ずかしいんですが……(笑)。当初は歌うって一切言われていなかったんです。なので、比較的安心して出向いたんですが、ある日突然「ちょっと歌ってもらうよ」って、いのうえさんに言われたのが運の尽きでした。この舞台を直視できない大きな理由です。

稲森:わたしは、「わ! 上川さん、歌ってる!」ってけいこ中に、感動していました(笑)。なんかちょっと得した気分でした。

上川:も、もうその話は、勘弁してください……。

■上演中の毎日が、すごく幸せで楽しかったです

Q:早乙女さんと稲森さんは、本作で新感線に初参加でしたが、いかがでしたか?

稲森:いつも観させていただいていた舞台に、自分が出ることになって、すごくうれしかったです。本番のステージがすごく凝っていて、驚きました。毎日、上川さんをはじめ、役者さんたちのエネルギーをたくさん感じられて勉強になりました。

早乙女:ずっと大衆演劇をやっていて、初めてほかの劇団の舞台を観たのが新感線だったんです。まさか自分がその劇団で演じられるなんて思ってもいなかったので、上演中の毎日が、すごく幸せで楽しかったです。

Q:それぞれのキャラクターがとても個性的でしたが、演じられてみていかがでしたか?

上川:僕が演じた伊達土門という男は、愛するときは全力で愛し、裏切られて恨むときは、全力で恨む男でした。そこにさじ加減はまったく必要なかったんで、あまり思い悩むことなく、彼の激情にまかせて動いていた感じでしたね。

稲森:わたしが演じた美古都は、最初はピュアで恋する乙女だったんですが、それがだんだん周りに翻弄(ほんろう)されて、シーンごとに立場も心情も変わっていったんです。最後は、すごく強い女性になっているので、その成長をきちんと演じようと思いましたね。

早乙女:僕はお芝居がすごく苦手なので、自分にできることをきちんとやろうと思って、殺陣をとにかく頑張っていました(笑)。新感線の殺陣はいつも大衆演劇でやっているものとは、全然違うんです。だからすごく難しかったけど、殺陣は好きなので、楽しかったですね。

■今までの新感線とは、一味違ったお芝居

Q:せっかく3人そろわれたので、共演した感想を聞かせてください!

上川:稲森さんは、お客様から顔が見えていない芝居でも、上っ面な演技は絶対にしないんです。泣くときは本気で泣いているんで……心配になるくらいでした(笑)。一方、太一は、さっき芝居が苦手なんて言っていましたけど、ぜんぜんそんなことないんです! 何より驚かされたのは、彼の吸収力の高さ。ほんのちょっとしたきっかけを、ものすごく考えて芝居を変えていく太一を観るのは、楽しくもありました。

稲森:上川さんは、すごく人を観ていて、「今日、違うところで息継ぎしたね」とかアドバイスをいただけて、本当に安心してお芝居ができました。

上川:ストーカーみたいですね(笑)!

稲森:いえいえ(笑)! 太一くんは、すごくクールなんですけど、たまに見せてくれる笑顔にほっとしました。

上川:でも太一は、暑がりなんです。だから、ふと気付くと、けいこ中、冷房の吹き出し口の下にちょこんと座っている太一がかわいらしかったですね。

早乙女:すっごく楽しかったですよね。最初に、上川さんに会ったときも、すごいパワーを持った方だなと思っていたんですけど、そのパワーが一緒に芝居しているうちにどんどん上がっていって……。

上川:あれ? おれ、うっとうしかったですか?

早乙女:芝居中は、鼓膜が破れるんじゃないかって……。

上川:うっとうしかったんですね(笑)!

早乙女:いや、すごいパワーで感動しました(笑)。稲森さんは、やっぱり上川さんのおっしゃるとおり、涙が印象的でした。本当に毎回全力でお芝居されているんで、たまに全力過ぎて、鼻水が……。

稲森:エレベーターの中で、「今日すっごい鼻水でしたね」って突っ込まれました(笑)。

Q:最後に、ゲキ×シネ版の「蛮幽鬼」の見どころを聞かせてください!

上川:今までの新感線とは、一味違ったまじめなお芝居なので、新感線ファンの皆さんは、きっと違った楽しみ方ができると思いますし、初めてご覧になる方も、太一の殺陣や、美しい稲森さんのお芝居、見どころ満載で楽しめると思います。そして、僕イチ押しは、浮名の妻・鹿女(しかめ)役の村木(よし子)さんが、股(また)をパーンとたたいて、「女の又に、力と書いて、努力の努!」と言うシーンです。もう、劇場中に響き渡るすごい音なんで、大注目です!

劇団☆新感線の舞台に立った3人の役者たちは、久しぶりの再会で、インタビューを受けながら、少しずつ舞台に立っていたころの感覚を取り戻したのか、思い出話に花が咲いていた。早乙女と上川の、まるで兄弟のようなやり取りを、優しく見守っている稲森を見ていると、家族のような温かさが感じられた。それはきっと、映画の現場とはまた違うきずなが、舞台で演じる上で生まれていたからだろう。作品を観ていても、役者たちの息の合った芝居が、感動と笑いを生み出している。舞台に感じる彼らのほとばしるエネルギーを、ぜひゲキ×シネで観て、感じてもらいたい!

(C) 2010 松竹 / ヴィレッヂ

ゲキ×シネ「蛮幽鬼」は10月2日より新宿バルト9ほかにて公開

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