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私的におススメ! 映画関連本特集

秋の夜長は映画やDVDを観るのもいいけれど、より映画を楽しむためにちょっぴりお勉強モードで映画関連本を読んでみるのもオススメ! そこで映画や俳優、監督などへの興味や理解を深めてくれた、思い入れのある書籍や映画関連本の楽しみ方を、本サイトでもおなじみの映画ライターや編集者がご紹介。絶版になっているものや翻訳されていない本も含めて、古本屋やネットなどで探してみるのも一興です!

これを読まずして死ねない!ビリー・ワイルダーへのインタビュー集

「Ain’t It Cool?」 「ハリウッド・バビロン」

映画人の伝記や脚本、評論集など映画関係の記事を書く仕事をしている以上、読まなくてはならない本は無数にある。映画を観ることも大事なのだが、制作の裏側やテクニック面を知ることで、作品に対する理解がグッと深まることは少なくない。といっても、面白くなければページをめくる手がストップしてしまうのが、お勉強のツラいところかも。

映画関係書籍の中でもそんなツラさとは無縁なのが、キャメロン・クロウ監督が行なったビリー・ワイルダー監督へのインタビューをまとめた「ワイルダーならどうする?―ビリー・ワイルダーとキャメロン・クロウの対話」。映画制作中に悩むたび「ワイルダーならどうするだろう?」と考えて、さまざまなアイデアをひねり出したクロウ監督が、敬愛するワイルダーから製作秘話や役者とのかかわりを次々と引き出していく。クロウ監督は元ジャーナリストだけあって下調べも周到だし、「ワイルダーについてすべてを知りたい」という情熱にあふれていて、インタビュー嫌いのワイルダー監督が徐々に心を開く様子がページの端々から伝わってくる。名作に関する意外な事実も明らかにされ、読了したときには「映画って本当にいいですね」と淀川先生の名ゼリフが思わず口からこぼれた。これを読まずして、死ねないな。

技術面などで勉強になったのは、ルイス・ジアネッティの「Understanding MOVIES」。映画制作講座の教科書だったのだが、編集や音楽、撮影などで知っておかねばならないテクニックを複数の映画を例に挙げて解説している。映画学校の学生が普通に使っていた「ミゾンセン」という言葉をこの本でようやく理解したという思い出付き。心で見るのも大切だけど、技術面をきちんとわかった方が監督の意図などがさらに深く理解できるはずだ。1996年に映画サイト<http://www.aintitcoolnews.com/>を立ち上げ、カリスマ映画評論家として映画業界パワーリストにランクインするまでになったハリー・ノウルズ「Ain’t It Cool?」は、青春小説としても読み応えアリ。映画おたくを自称する人ならば、彼の半生に「お、オレも!」と共感するかも。

映画評論とはまったく関係ないけど、夢工場ハリウッドのダークサイドを記録したケネス・アンガーの「ハリウッド・バビロン」は、ゴシッピーな逸話が満載。「ここだけの話だけど……」なんて、酒場でおやじがクダ巻きながら話す内容とさほど変わりないローブローな逸話が多いとはいえ、トリビアとしての面白さ抜群。

映画とは一味違った「小説版(ノベライズ)」の楽しみ

『シックス・センス』 『ターミネーター4』

映画書の一つのジャンルとして小説(ノベライズ)というものがあります。原作でもなく、かといって脚本でもない、ある意味で不思議なものといえるでしょう。映像と脚本を基に書かれた小説=ノベライズは、映画と小説の中間点に位置するもので、いわゆる映画ファンは普段あまり読まないものかもしれません。でも、実はそこには映画とは一味違った面白さがあったりするのです。映像で表現できない分、心理描写が丹念につづられており、「あのときの主人公はこんな気持ちだったのか?」とか、「脚本には書かれていたけど実際の映画ではカットされたこんなシーンがあった」とか。はたまた、「あのモンスターには実はこんな生態である設定があった」などなど活字ならでは面白さがあります。

『エイリアン』の1作目の小説では、エイリアン(異星人)の脱皮が何度も繰り返されてあの形態になっていくのが丁寧に描かれ、映画『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』では、不死の力を持つ聖杯の水を飲んだインディがどれだけ長生きできるのか? といった大いなる謎も解き明かしていました(ネタバレになるので書けませんが、結構笑えます)。洋画の場合、オリジナルの撮影用脚本をベースに小説が執筆されるため、往々にして映画にないシーンや、場合によってはラストまで違っていたりもします。映画『シックス・センス』ハーレイ・ジョエル・オスメントが主演した、地味ですが感動的だった『ぼくの神さま』は、冒頭から映画とはまったく違ったりします。映画を観て、主人公がその後どうなったかが気になった人にはおすすめです。

最近の作品では、映画『ターミネーター4』も小説版のラストは、映画とはまた違った味付けのオチがあり、「その後の展開」を示唆しています。あまりヒットしなかった映画ですが、日本映画の『東京原発』は、多分予算の関係で、できなかったであろうド派手なクライマックスが展開され驚きました。大石圭『呪怨』吉村達也によるアン・ビョンギ監督のホラー3部作『ボイス』 『友引忌(ともびき)』(※1)、『コックリさん』『箪笥<たんす>』(※2)は、単なるホラー映画を超えた一級品の小説となっています。

中には“映画のまんま”といった小説版もありますが、ひと工夫もふた工夫もされた小説版が存在することを知っておいていただきたいです。追体験としての映画小説版の楽しみ方もありますが、自分なりの「手の中の小さな映画館」(某出版社の映画小説版の宣伝コピー)を楽しむのも良いかと思います。

※1ノベライズタイトル:「ナイトメア」吉村達也、※2ノベライズタイトル:「姉妹―Two Sisters」吉村達也

映画ファンならぜひとも読んでおきたい、この5冊!

「ルーカス帝国の興亡―『スター・ウォーズ』知られざる真実」 「クリント・イーストウッド―名前のない男の物語」

映画人の情熱が伝わる書籍ほどインパクトがあり、また印象に残るもの。そういう意味で、まず紹介したいのが「ルーカス帝国の興亡―『スター・ウォーズ』知られざる真実」。1998年発刊で映画『スター・ウォーズ』新3部作には触れられていないが、ジョージ・ルーカスが最初の3部作で成功の階段を駆け上がる過程を、気が狂いそうになるほどの撮影の苦労と共にたどっている。成功後にありがちな人間関係の破たんも赤裸々で、サクセス・ストーリーの爽快(そうかい)感よりむしろ哀感の方が強い。

一本の映画における苦労という点では「バトル・オブ・ブラジル/未来世紀ブラジル・ハリウッドに戦いを挑む」は必読。映画『未来世紀ブラジル』を作る過程でテリー・ギリアム監督が、最終編集権を持つユニバーサル社の社長と、いかに壮絶にやり合ったかを記している。頑固者同士の一歩も引かない対立は緊迫感満点。ハリウッドの製作システムを知る上でも、映画ファンなら一度は触れておきたい。

伝記本では「クリント・イーストウッド―名前のない男の物語」をオススメしたい。これまた古い本で、映画『許されざる者』でアカデミー賞監督になる以前のイーストウッドの足取りをたどったものだが、作品一つ一つに対する解説は愛情たっぷり。スターではなく、映画人であろうとしたイーストウッドの姿勢を伝える好編だ。

日本映画にスポットを当てたものでは、「映画監督 深作欣二」。500ページにも及ぶ故・深作欣二監督のインタビュー本で、映画作りに“熱”が不可欠であることを教えてくれる1冊。そのインタビュアー山根貞男氏、ほか関根忠郎氏、山田宏一氏による「惹句術―映画のこころ」は、逆に映画を売る側に目を向けたもの。東映映画のキャッチコピーを多数手掛けてきた関根忠郎のインタビュー集で、宣伝マンの仕事のスキルはもちろん、コピーが生まれる際の熱気も伝わってくる。

いずれも絶版になっている可能性大だが、古書店で見かけたらぜひ一度手にとってみてほしい。

その昔、背伸びして読んだ思い出深いお勉強本

「映画について」

ざっと本棚を眺めて、これは背伸びしてお勉強本として読んだなあと思い出深いのは「ヒッチコックを読む―やっぱりサスペンスの神様」 「映画について」 「フェリーニを読む―世界は豊饒な少年の記憶に充ちている」などなど。中でも、学生時代に付せんをはり、書き込みまでして読み込んだ入魂(?)の1冊はエリック・ロメールの批評集「美の味わい」(訳/梅本洋一・武田潔)。今ではすっかり色あせた付せんを見るたびに笑ってしまうと同時に、本書で取り上げられている名画を批評と照らし合わせて観たりしたころの初心を思い出させてくれる。ちなみに作家になりたかったが才能がなくあきらめたというロメール。唯一の短編集「六つの本心の話」は味のある短編映画にもなっているが、翻訳の問題もありつつ、戯曲を読むようにセリフの多いロメールの妙味は映像でこそ生かされることがわかって面白い。

映画ではないが、このところ人気の海外ドラマ。アメリカのテレビ界は日本のテレビの常識とはかなり違うのだが、基本ルールをわかった上でドラマを見ると面白さも倍増するはず。とはいえ、映画に比べると書籍は少なく、岩井田雅行氏の「ここまで知れば面白いアメリカンTVドラマ120%ガイド」はマスト。目からウロコの基礎事項&裏話を教えてくれるし、読み物としても面白く、資料として仕事でもよく活用したものだ。もっとディープにアメドラを楽しみたいなら、やはりクリエイターに注目するべし。「TV Creators」(by James L. Longworth, Jr.)は、ディック・ウルフトム・フォンタナジョン・ウェルズといった大物たちへのインタビュー集。米テレビ界への興味をそそられる&理解が深まること間違いナシだ。

最後に自伝本も興味深いものが多いが、個人的に思い入れが深いのは筆者にとって永遠のアイドル、マイケル・J・フォックス「ラッキーマン」。パーキンソン病を公表して第一線を退いてからも、時折ドラマにゲスト出演しては世界中の難病に苦しむ人々を勇気づけてくれるマイケル。本書では、いつも明るい彼の弱音やかっこ悪い自分も赤裸々に語られており、表紙を見るだけで元気をくれる大切な1冊だ。

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