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松嶋菜々子、ソン・スンホン
『ゴースト もういちど抱きしめたい』
言葉が通じなくても、思いは伝えられる
映画『ゴースト もういちど抱きしめたい』松嶋菜々子、ソン・スンホン 単独インタビュー

取材・文:斉藤由紀子 写真:吉岡希鼓斗

1990年に公開され、世界的な大ヒットを記録した映画『ゴースト/ニューヨークの幻』が、松嶋菜々子とソン・スンホンの初共演でアジア版『ゴースト もういちど抱きしめたい』として新たに生まれ変わった。舞台を日本に移した本作は、ある事件によって命を落としてしまう日本人女性・星野七海と、陶芸家を目指す韓国人青年キム・ジュノとの切ない恋を描いたファンタジックなラブストーリーだ。七海を演じた松嶋とジュノを演じたソンが、撮影の裏話やラブストーリーについて思うことなど、作品にまつわるエピソードを語った。

■ヒロインがゴーストになってしまうアジア版『ゴースト』

Q:女性がゴーストになって男性を守るという、オリジナル版とは逆の設定でも話題ですが、演じてみていかがでしたか?

松嶋:やはり、「男性が女性を守る」というのが一般的な感覚だと思うので、「女性が男性を守る」というのは、表現をする上で難しい部分もありました。特に、男性側の方が難しかったのではないでしょうか。女性の場合は、もともと母性という守る力がありますけど、男性が守られる側の心情を表現するのは、簡単なことではなかったと思うんです。ジュノの役はソンさんでなければ演じられなかったでしょうし、お相手がソンさんで本当に良かったと思います。

ソン:男女の立場は逆転していますが、ゴーストになっても、お互いを愛する気持ちは今回のアジア版も同じなんです。愛する七海がこの世を去り、残ったジュノの立場で、いとしい気持ちを演技で見せようと思っていたのですが、現場で松嶋さんと演技をするとき、そんなジュノの喜びや悲しみ、恋しさといった感情が自然と表現できるように、松嶋さんが導いてくださったように思います。

Q:ヒロインの七海が、総資産数億円の女社長という設定も新鮮でした。

松嶋:七海は会社で闘う女社長なんですけど、ジュノと出会ったことで一人の女性として甘えられるようになるんです。ですから、社長としてというよりも、七海の素直な女らしい一面を大切に演じました。

Q:ソンさんは初の日本映画への出演ということで、戸惑うこともあったのでは?

ソン:最初にこのお話を聞いたときは、本当にうれしかったのですが、その一方で不安もありました。松嶋さんをはじめとする全てのキャスト、スタッフの方々が温かく接してくれ、また撮影に集中できるよう配慮してくれたので、本当に助けになりましたし、気分良く撮影することができました。もちろん、現場で繊細な気遣いをしてくださった松嶋さんには本当に感謝しています。

■この作品に出演するのには勇気が必要でした

Q:シリアスな作品が続いていた松嶋さんにとって、本作は久しぶりのラブストーリーですね。

松嶋:そうですね。ラブストーリーというのは、ドラマの「やまとなでしこ」以来なので、10年ぶりになるんです。かなりブランクがあったので、この作品に出演するのには勇気が必要でした。

Q:勇気が必要だったというのは、ちょっと意外ですね。

松嶋:わたしが20代のころに演じたラブストーリーは、コメディー色が強かったり、障害がある恋であったりと、どこかヒネリのあるものが多かったんです。今回の作品のように、本当に純粋なラブストーリーというのは初めてかもしれません(笑)。しかも、20代のような体当たりの恋ではなく、30代の大人の恋。どう演じたらいいのだろう? と思うこともあって、すごく勇気が必要でした。

Q:ソンさんも、最近は恋愛ものよりアクション作品への出演が多かったですよね?

ソン:僕の出演した「秋の童話 オータム・イン・マイ・ハート」や「夏の香り」といった、純粋に一人の女性を愛する、そんな役を覚えてくださっている方が多いのですが、その後は「エデンの東」や『無籍者』など、少しタフで男らしい作品にも出演しました。最近は男くさい作品が多くて(笑)。ファンの方からも僕のラブストーリーが観たいという声をたくさんいただいていて、こうして久しぶりに感傷的なラブストーリーで演技をしたことで、また恋愛ものをやりたいという気持ちが強くなりました。

■お気に入りの日本語は「しっかりしろ!」

Q:今回、日本語と韓国語を含む難しいお芝居に挑戦されたお二人。特に、ソンさんは日本語のセリフが多かったので、ご苦労もあったのでは?

ソン:この作品に出演が決まってすぐに日本語を勉強したのですが、「母国語である韓国語すら100%ちゃんと話せないのに、日本語はどうしようか?」と思っていたんです(笑)。でも、キャストやスタッフの皆さんのおかげでなんとかやり遂げることができましたし、日本語に対する興味がずいぶんわきました。また日本の作品に出演できる機会があったら、もっと頑張って勉強したいですね。

Q:ちなみに、今回覚えた日本語の中で、これからも使えそうだなと思った言葉はありますか?

ソン:「愛している」と「しっかりしろ!」ですかね(笑)。

松嶋:「しっかりしろ」は、いろんなシチュエーションで使えそうですね(笑)。でも、誰かを助けるときにかける言葉と、応援するときの言葉、二つの意味がありますよね。

Q:例えば、日本語を勉強したいと思っているソンさんご自身に、「しっかりしろ!」と言うこともできますよね。

ソン:そうですね、もっとしっかり日本語を勉強したいと思います(笑)。

Q:松嶋さんも、今回の撮影で韓国語を覚えたそうですが……?

松嶋:わたしは、映画の中ではほんの少ししか韓国語を話していないので、ほとんど練習らしい練習はしていないんです。でも、ソンさんとコミュニケーションをとるために、「お疲れ様でした」とか、初歩的な韓国語をスタッフの方から教えてもらって、現場で言ってみることもありました。本当に簡単過ぎて、今ここで言うのが恥ずかしいほどなんですけどね(笑)。

■人を愛する気持ちは、どんな壁も越えてしまう!

Q:大谷太郎監督は、お二人のラブシーンがどれも美しいと絶賛されていましたが、特に印象に残っている場面があったら教えてください。

松嶋:そうですね……、二人が一緒に住むことになり、引っ越しをする場面があるんですけど、台本ではわずか2行で表現されているシーンなので、撮影に入る前は、七海がジュノに荷物を渡していくだけなのかなと思っていたんです(笑)。でも、監督がいろいろな荷物を用意して、その荷物の運び方もさまざまなパターンを考えてくださったんですね。細かい演出を入れてくださったことで、七海とジュノの関係をうまく表現できたような気がします。

ソン:僕は、七海とジュノが最初に出会う噴水のシーンが印象に残っています。また、七海がこの世を去ってしまった後半にも、二人がお互いを愛する気持ちを確認する、そんな描写がたくさんあります。もっと具体的にお話ししたいのですが、そこは映画を観て確認していただけたらと思います(笑)。

松嶋:わたしも、本当はもっと言いたいシーンがあるんですけど、ここではやめておきます(笑)。

Q:では、アジア版『ゴースト』を共に作り上げたお二人が、今回の現場で学んだこととは?

ソン:やはり、人を愛する気持ちというのは、国境や世代など、どんな壁も越えてしまうほど強い力を持っているものですよね。これまでも話では聞いていたのですが、今回の作品に出演したことで、体で感じることができました。

松嶋:ソンさんとの共演や、ジュノには見えないゴーストになってしまう七海を演じたことで、たとえ言葉が通じなかったとしても、思いは伝えられるのだと実感しました。今回のアジア版は、脚本の段階でわたしなりに意見をさせていただくなど、最大限の力を尽くした作品ですので、劇場でご覧になっていただけたらうれしいです。

松嶋とソンは、まさに絵に描いたような美男・美女。取材中、ほほ笑み合った二人が、映画の七海とジュノそのままで、思わずうっとりしてしまった。大谷監督が「二人のいろいろなラブシーンを撮りたい」と熱望した気持ちがよくわかる。そんな松嶋とソンが、言葉の壁を乗り越えて作り上げた『ゴースト もういちど抱きしめたい』は、観る人を感動の涙で包むことだろう。

(C) 2010「ゴ−スト」製作委員会

映画『ゴースト もういちど抱きしめたい』は11月13日より全国公開

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