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こはたあつこのうわさの現場潜入ルポ
3D映画の次は何が来る? の巻

取材・写真・文:こはたあつこ(LA)

ジェームズ・キャメロン監督の『アバター』の公開で、一躍話題となった3D映画。じゃあ、3Dの次は何が登場するの? そんな疑問に答えるべく「イマーシブ・テック・サミット(没入型テクノロジー・サミット)」というイベントがロサンゼルスのダウンタウンで開催。「イマーシブ」というのは「実際にその世界に入りこんだように体感できるリアルな体験」のことで、最近ゲームの世界でよく耳にする言葉。そんなリアルな体感をより追求しようと、デジタル映像技術やバーチャル技術を研究する企業や科学者が集まり、各研究分野についてプレゼンや展示をするとのこと。さっそくホーモーン!

ゲームやドームの中でくらくら~

近代的なビルが立ち並ぶダウンタウン。そのビルの一角でイベントが開催された。会場に入ると、さまざまな展示が並んでいます。一度に9個のカメラで360度のアングルから撮影できるカメラや、3Dメガネなしでも見られる3Dテレビ。そして、140人が座れる直系50フィートの小型ドーム型映画館も。また、映像メガネをつけ、大きな球の中でモルモットのように走ると、映像世界の中であたかも走っている感覚になる体感型ゲームも。

階下のホールでは、研究者や企業のプレゼンが行われ、ホログラムを使って会議やコンサートに人物を映写する方法や、手を使わず脳波だけでゲームを操作できるヘッドギアの説明もあり、まるで近未来の会議に出席しているかのよう!

『マトリックス』や『アバター』の世界が到来!?

ところで、3D映画の次は何が来るのか? 今回の展示物の目玉である小型ドームなど、大型没入型エンターテインメント空間の開発を手掛けるVortex Immersion Media社の代表で、この分野での第一人者エド・ランツさんに話を聞いてみました。

「未来の映画は、よりイマーシブになり、その形態は多様化すると思います。例えば、このドームのように360度のスクリーンで観る映画館。そこにホログラムを映写して、より体感型になるかもしれません。あるいは、『マトリックス』のように一人一人がヘッドセットを着けて映画の世界に入っていくというもの。この場合、ストーリーは個人に合わせて多種多様に変わっていくし、それを別のプレイヤーたちと楽しむこともできるでしょう。

インタラクティブなゲームに慣れている若い世代は、一つの物語が進行する映画では物足りない。もちろん、監督の視点だけで語られる従来の「映画」の形態は残るでしょうが。でも未来のエンターテインメントは映画やゲームがドッキングされた、よりインタラクティブで体感型のものになるのでは? いずれにしても、僕らの世代の想像もつかないような新しい形態を若い世代が考えてくれると思う。未来の映画はハリウッドからではなく、ゲームやイマーシブなエンターテインメントの世界から誕生するでしょうね」と、エドさん。

何だかSFの世界みたいだなー。ぼう然としながら階下のホールに降りると、そこでは新ヘッドギアのレクチャーが。それを着けて映画を観ると、その人の脳波をヘッドギアがキャッチし、それに合わせて映画のエンディングが変わるシステムを検討中だとか!? つまり観ている人が悲しんでいれば最後はハッピーエンドに変わる!? そんな映画の形態が近い将来に可能なんだそうです!

撮影方法自体も変わる!

3D映画の撮影には3D用のカメラが必要なように、インタラクティブな映像を作るには、それなりの撮影方法が必要だそう。プレイヤーが映像空間を自由自在に動けるように、撮影する場所の前、後、横、斜め、地面、頭上のすべての映像が必要。そこで登場! 「Google Earth 6」で使用された立体撮影&3Dモデリング方法を開発したカリフォルニア大学バークレー校電気工学部教授Avideh Zakhor氏のレクチャー。彼女が今回開発したのは、建物の中を瞬時に3Dモデリングできる撮影技術。野外の地図撮影と違って、GPSを使用できないため、ミサイルなどで使用するレーザーを使うそう。

使用するのは、4つのカメラと4つのレーザーを収納し、頭上、地面、両脇を映せるようにしたバックパック。これを背負って歩くと、レーザーがバックパックの位置を正確に捉え、4つのカメラが壁や天井などの映像を映す。それだけで、瞬時に建物内の3Dモデリングしてしまうそうなんです! つまり、ゲームなどでリアルな建物内の3D映像が簡単に作れちゃうってこと! これはゲーム界にとってうれしい! また、近い将来、海外の建物内の映像も簡単にグーグルできる日が来るそうですよ。

このイベント会社を立ち上げたのは3人の脱サラ青年!

ところで、このイベントを立ち上げたのは、大学時代からの友人同士という3人組のアジア人。3人とも「技術系」というよりは、アーティスト風の雰囲気。そのうちの一人は、何とネーサン・牧野さんという日本人。「さまざまな分野のイマーシブ・テクノロジーのスペシャリストたちが、それぞれの技術を自由にシェアし合って、新しいものを生み出してほしかった」と流ちょうな日本語と英語で、このイベントを立ち上げた理由を語ってくれました。

まだまだチャレンジは残るけど……

さて、最後にトライしたのが球状型の体感ゲーム「バーチャスフィア/The Virtusphere」。2メートルほどある球形の中に入り、映像メガネを掛け、モルモットのようにカラカラ走ると、映像世界の中で走っている感覚が味わえるという体感型ゲーム。さっそくメガネを掛けてトライ。メガネに映るのはロシアのような海外の街の広場。これが自分の視界になっていて、球の中を歩くと、どんどん前に進んでいくように感じるんです。でも、球の地面が湾曲しているので、メガネの中の世界を見ながら歩くのは、ちょっと難しい。エイリアンが攻めてきたときは、四方八方にマシンガンを撃ちまくってスリリングだったけど、改良の余地はまだありそうです。

~あとがき~

といわけで、さまざまなジャンルの没入型テクノロジーが、産声を上げたばかりの状態でプレゼンされた今回のイベント。今後、各分野の専門家たちが情報交換することで、どんどん新しいものが誕生していくことでしょう。そんな未来に向けてのエネルギーが感じられるイベントでした。

映像が映るメガネを掛けたわたしと、バーチャスフィアの開発者。
バーチャスフィアを日本に輸出したいそう。
3Dメガネが必要ない3Dテレビ。でも、ある一定の場所からじゃないと3D映像に多少のずれが出る。まだ開発の余地あり。
ホログラムのレクチャー。右が本物の人間。アイアンマンがホログラム。
大型没入型エンターテインメント空間の開発を手掛けるエド・ランツさん。
エド・ランツさんの会社で作っている小型ドーム映画館&エンタメ空間。ナイトクラブのようなことも考えているそう。
レーザーとカメラ付きのバックパック。これを背負って建物内を歩くと、瞬時に建物内の3Dモデリングができる。
九つのアングルでいっぺんに写せる映像カメラ。
今回のイベントを立ち上げた3人。それぞれ会社を辞めて未来のために結束した友人同士。
半ドーム型の小型スクリーン。ここに道路が映り、プレイヤーは車のハンドルを操作する。
バーチャスフィアに挑戦!
バーチャスフィアの映像メガネに映る映像。この広場の中を歩くと景色のアングルが変わっていく。
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