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竹野内豊・水川あさみ
『大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇』
地獄とは、大切なものを取り戻しに行く場所
映画『大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇』竹野内豊・水川あさみ 単独インタビュー

取材・文: 斉藤由紀子 写真: 吉岡希鼓斗

独自の世界観を持つ演劇界の鬼才・前田司郎が脚本を手掛け、竹野内豊と水川あさみの初共演を果たしたヒューマンコメディー映画『大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇』。新婚なのにすでに倦怠(けんたい)期の大木夫婦が、ひょんなことから地獄を旅行するハメになるという奇想天外な物語の中で、夫の信義をナチュラルに演じた竹野内と、妻の咲をキュートに演じた水川が、初共演の感想や爆笑エピソードを披露。まるで本当のカップルのように息の合ったトークを繰り広げた。

■完成度の高い脚本にビックリ! 試写で大笑い!

Q:お二人にとって初の本格コメディー映画ですが、オファーを受けたときのお気持ちから聞かせてください。

竹野内豊(以下、竹野内):とにかく脚本の完成度が高くて驚きました。説明セリフがまったくなくて、ほとんどが信義と咲の延々と続くとりとめのない会話なのに、それぞれの人間性や心の動きなどがきちんと見えてくる。それに、前田司郎さんの言葉の選び方やセンスがスゴイ。笑わせるだけでなく、その中にいろいろな感情が込められていて、コメディーなのに内容が深いんですよね。今までにない新しい作品だったので、ぜひやらせていただきたいと思いました。

水川あさみ(以下、水川):わたしも信義と咲のやり取りに面白さを感じました。非現実的なファンタジーの部分と、日常的な会話とのギャップが面白くて、仕上がりが想像できないんです。そこにすごく興味がわきました。

Q:登場人物たちのちょっとズレぎみの会話や、地獄のユニークな世界観など、独特な笑いが満載ですよね。

水川:完成した作品を観たときも、本当に面白かったです。竹野内さんと一緒に観たんですよね!

竹野内:そう、試写室で観たんですけど、水川さんが隣で声を出して笑っていました(笑)。誰よりも笑っていたんじゃないかなあ。

水川:純粋に楽しんじゃいました(笑)。

竹野内:地獄を描いたファンタジーなんだけど、CGをできる限り使っていないところも新鮮でしたね。地獄の一本道を樹海で撮影したり、奈落の底を採石所で撮ったり、実写にしたのがよかった。一本道のシーンなんて、2日かけて撮影したんですが、2日目に大雪が降ってしまったんですよ。普通、あんなに降ったらその日は撮影中止になるのに、本田(隆一)監督は登場人物のセリフを付け加えることで、逆に雪を生かしてしまったんです。そんな柔軟な発想も面白かったですね。

■竹野内と水川は、現場でも倦怠(けんたい)期カップルのようだった!?

Q:初共演とは思えないほど息がピッタリでしたね。

竹野内:水川さんは明るいし、一緒にいて本当に楽しかったですよ。周囲に気を使うというよりも、自然に気が付く人なんですよね。

水川:いいですねー! もっと褒めてください(笑)。

竹野内:水川さんとは、無理に話をしなくても自然体でいられるんです。だから、役づくりをする前からすでに倦怠(けんたい)期のような感じで(笑)、そのまま入っていけました。会話をしなくても一緒にいられる方って珍しいんですよね……。

水川:竹野内さん、無理して褒めなくてもいいですから(笑)。でも、本当にご一緒させてもらって楽しかったです。竹野内さんは、わたしがうるさくしゃべっていても何でも聞いてくれて……(竹野内の顔を見ながら)ね?

竹野内:いや、「ね?」って言われても(苦笑)。

Q:なんかいい雰囲気ですね! 劇中の信義と咲みたいです。

水川:竹野内さんの優しくてのんびりしているところは、信義に似ているなと思いました。もっとクールで硬派なイメージを持っていたので、意外でした。

竹野内:いや、自分は信義ほどユルくないと思います(笑)。

■怪優・荒川良々との共演で、まさかのNG連発!

Q:コメディーは感動ものよりも難しいと聞きますが、実際はいかがでしたか?

水川:セリフが多くて大変でした!

竹野内:でも、水川さんは一度台本を読んだら覚えちゃうんですよ。

水川:そんなことないですよー!

竹野内:いやいや、普通の人よりも早い(キッパリ)。

水川:そうかなあ(テレ笑い)。でも、台本に「あー」「ふうー」とか普通なら書かないことや、アドリブ風の会話もきっちり書いてあるので、どうやって表現したらいいのか、微妙な間合いを取るのに苦労しました。

竹野内:確かに、テンポや間の取り方が大変でしたね。本田監督は普通なら大きくするリアクションでも、「もっと淡々とやってほしい」とか発想がユニークなんです。意見のやりとりをしながら役をつくっていくのは、難しかったけど楽しい経験でした。

Q:地獄のホテルの従業員を演じた荒川良々さんとの絡みも絶妙ですが、現場で笑ってしまうこともあったとか?

竹野内:ありましたね。特に水川さんは笑いをこらえるのが苦しかったと思います。

水川:わたしって普段から笑い上戸なんです!

竹野内:それを見抜いた良々さんが、わざと笑わそうとするんですよ! 思いっきり顔を近付けてきたり、異常なくらいセリフの語尾を伸ばしてみたり、「フンッ!」って鼻息をかけてきたり(笑)。

水川:いきなり震えてみたりとか、毎回リアクションを変えてくるからビックリしちゃうんです。笑っちゃうから、カメラが良々さん側を撮っているときは、ずっと目をつぶっていました(笑)。

竹野内:自分は絶対に笑わないようにしていたんですけど、良々さんが自分で吹いちゃうんですよ! しかも、それをそのまま芝居に変えてくるんです。「うわ、そう来るんだ!」って、思わずNGを出してしまいました(笑)。

■映画の大木夫婦は、2人にとっての理想の夫婦

Q:信義と咲のような自然体の夫婦にあこがれる人も多いと思います。お二人はどうですか?

水川:信義のようなだんな様は、わたしの理想です。あの2人は倦怠(けんたい)期から始まりますけど、嫌なところもいいところも含めて一緒にいるのがうらやましいなと思います。それに、地獄に行くという非日常の中でお互いのいい部分を再発見するので、また新しいスタートが切れる。ずっと一緒にいる中でいくつものスタートがあるのがいいですよね。

竹野内:咲のような奥さんだったら安心しますよね。「地獄旅行だけど、どうする?」とか、まじめな顔をして聞いてくるところがかわいい。で、信義も、「ああ、地獄ね」と普通に一緒に行ってしまう(笑)。ああいう夫婦っていいなあと思います。

Q:最後に、これから映画を観る方へ、地獄旅行の良さをアピールしてください!

竹野内:地獄って、「悪いことをした人が裁かれる場所」というイメージがありますけど、この映画では、どこかに置き忘れてしまった愛情や、いつの間にかなくしてしまった大切なものを取り戻しに行く場所なんです。未熟な者同士が結婚して、地獄旅行を経験することで家族になっていくという発想が面白い。だから、ちょっと倦怠(けんたい)期だなと思っているカップルにおすすめしたいですね。地獄には斬新な住民が多いので、皆さんも楽しめると思います(笑)。

水川:竹野内さんのコメントが100点満点なので、言うことはないです(笑)。地獄を旅した信義と咲を観て、「本当に大切なものって、実は近くにあるのかもしれない」ということが伝わるといいなと思います。

素顔は意外なほどユーモラスな竹野内と、底抜けに明るい水川。「竹野内さんは石が大好きなんです!」「そう、大好物で……って、それは水川さんの誤解です!」と夫婦漫才のようなトークで、話が脱線してしまう場面もしばしば。そんな2人がリアルな夫婦を演じた本作は、ユル~い空気の中にハッとするほど深いメッセージが秘められた、実に濃厚な味わいのハートフルコメディーだ。樹木希林、片桐はいり、柄本明ほか、脇を固めた個性派俳優たちの細かいネタもお見逃しなく!

【竹野内豊】ヘアメイク:丹羽寛和(maroonbrand) スタイリスト:石黒亮一(太田事務所)
【水川あさみ】ヘアメイク:岡野瑞恵(STORM) スタイリスト:梶雄太

映画『大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇』は5月14日より新宿バルト9ほか全国公開

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