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三谷幸喜監督&深津絵里&西田敏行
『ステキな金縛り』
一瞬の面白さが永遠に残る。それが映画
映画『ステキな金縛り』三谷幸喜監督&深津絵里&西田敏行 単独インタビュー

取材・文:斉藤由紀子 写真:吉岡希鼓斗

三谷幸喜監督が、映画『ザ・マジックアワー』以来3年ぶりに完成させた新作映画『ステキな金縛り』。俳優たちから絶大な信頼を集める三谷監督だからこそ実現できるオールスターキャストで話題の本作は、とある殺人事件の担当となった三流弁護士のエミが、無実を主張する被告人を弁護するために、彼のアリバイを証明できる唯一の証人として、落ち武者の幽霊・六兵衛を法廷に引っ張り出すというユニークな設定の法廷ミステリー。エミを演じた深津絵里と、六兵衛役の西田敏行、そして三谷監督の三人が、撮影時の裏話を明かした。

■まるでテーマパーク!ザ・三谷ワールド

Q:『ザ・マジックアワー』に続く顔合わせですが、三谷監督は、前作のときから「次の映画は深津さんと西田さんを中心に撮る」と考えていたのでしょうか?

三谷監督:『ザ・マジックアワー』を撮っているときに、深津さんはコメディエンヌだと感じたんです。深津さんって、子どもみたいな面白い歩き方をされるんですよ(笑)。その姿を見ていて、次は深津さんでコメディーが撮りたいと思いました。西田さんは、前回はストイックなギャングのボス役だったので、アドリブを封じてしまい、とてもストレスをお抱えになっていたと思うので、次は西田さんが思いっ切り遊べるような設定にしたいと思ったんです。それがずっと温めていた法廷モノで幽霊モノという設定と合致しました。

西田:僕は、『ザ・マジックアワー』は『ザ・マジックアワー』で楽しかったですよ。

Q:深津さんと西田さんは、本作のオファーを受けてどう感じましたか?

深津:『ザ・マジックアワー』のときに、コメディーの難しさを実感して、いつかきちんとやりたいと思っていたんです。そんなときにいただいたのが今回のお話。しかも、西田さんとまた共演させていただけるということで、撮影中にコメディーの神髄を学ぼう! という気持ちで挑みました。

西田:僕は、三谷さんの世界観が大好きなんです。現場にいるだけで、いろんな楽しいアトラクションがあるテーマパークを、グルグル回っている少年のような気持ちになるんですよ。役者としての魂を躍らせてくれる監督なので、今回もすごく楽しみでした。

■撮影後のお楽しみは、おいしいビール!

Q:ダメ弁護士と落ち武者の幽霊という組み合わせがとても斬新でした。

三谷監督:最初は男性弁護士の設定だったんですけど、深津さんに決まったので女性弁護士に書き換えて、女性の成長物語としての要素も加えていきました。僕は、女性が主人公の作品を今までやったことがなかったんです。深津さんがいてくださったからこそ、作ることができたのだと思います。

深津:今の監督のお言葉を事前に聞いていたら、プレッシャーでお芝居ができなかったかもしれません(笑)。今回は、エミの心情がキチンと見えないと、いくら周りで面白いことが起きていても全部が台無しになってしまう。とにかくエミという女性として生きることを心掛けました。

西田:六兵衛は、とにかく楽しい役でしたね。フィクションの役はどんなうそでもつけるから、イメージを膨らますことができるんです。「上杉謙信と同い年です!」というセリフだけで、ワクワクしました。謙信と友人だったなら、「謙ちゃん! 六ちゃん!」って呼び合っていたのかな? とか、想像するだけで楽しい。落ち武者の格好って夏だとキツイし暑いんですけど、全然苦じゃなかったです。

三谷監督:実は、六兵衛のよろいは簡略化しているんです。フル装備だともっと重くなってしまうので、なるべく動きやすいように工夫して。それでも大変だったと思いますけどね。

西田:撮影が終わってカツラを外すと頭から湯気が出ているんですけど、とても心地良い解放感があって、撮影後のビールはうまかった!

深津:わたしも、今回の撮影は、とても充実感がありました。三谷監督の現場は、台本に書いていないことがどんどん撮影の中で生まれていくので、一緒に作っている実感があって、すごく楽しかったです。

Q:今回の映画で、監督がその場で思い付いたのは、例えばどんなアイデアなんですか?

三谷監督:そうですね。裁判長には六兵衛の言葉が聞こえないので、エミが通訳をするという場面があるんですけど、リハーサルのときに急に思い付いて、「西田さんの言い方をマネして、同じようにしゃべってください」と深津さんにお願いしたんです。それを深津さんが瞬時にやってくださいました。よくあんなふうにマネができるなあと思いましたよ。

西田:いや、本当に素晴らしかった!

深津:……光栄です(照れ笑い)。

■三谷監督がジェラシー!?西田敏行のアドリブにも注目!

Q:今回は西田さんのアドリブ禁止令が解除されたそうですが、その結果はいかがでしたか?

三谷監督:僕は台本を書くときに、西田さんが言いそうなアドリブもセリフとして入れていくんですけど、それを超えることをおっしゃるんですよね。六兵衛が検事(中井貴一)の犬を天国から連れて来るシーンで、西田さんが「すぐに見つかりましたよ! ハチ公の隣にいました!」というアドリブをされたのですが、悔しいくらい面白かった。でも、観客の皆さんは僕が書いたセリフだと思ってくださるので、得をしているような気もするんですけどね(笑)。

Q:ちなみに、深津さんが入れたアドリブなどもあるんですか?

深津:わたしのセリフはほぼ台本通りです。

三谷監督:基本的に、西田さん以外の方は台本通りです(笑)。

深津:みんなが言いたいことをしゃべったら、大変なことになっちゃいますからね(笑)。

Q:幽霊が見える人と見えない人がいる設定なので、西田さんの存在感でご苦労される「見えない人役」の方も多かったのでは?

西田:僕は重量感もありますからね(笑)。特に中井貴一さんが大変だったと思います。見えているのかいないのか、という芝居がすごく良かった! 彼の表情を見ているだけで面白かったです。

三谷監督:西田さんは中井さんを本気で笑わそうとしていましたよね!

西田:そう、どうにかして笑わそうと思ったんだけど、手ごわかったなあ。笑いをこらえている中井さんの顔がなんともチャーミングでした(笑)。

■未来の観客の笑い声が聞こえるとき

Q:コメディー映画を撮影していく中で、見えない観客の笑い声を感じる瞬間ってあるんですか?

三谷監督:なるべくそれを感じようとしながら撮影しているんですけど、なかなかそうもいうかなくて……。でも、たまにお客さんの笑い声が聞こえるときがあるんです。例えば、先ほどお話したエミが六兵衛のマネをしているシーンは、モニターで見ていて、未来のお客さんが映画館で笑っている姿がハッキリ浮かびました。そんなときは、「この面白さを永遠にスクリーンに残せるんだ!」って、すごくうれしくなります。舞台と違って、映画は一瞬の面白さが永遠に残るところが楽しいし、だからこそ、ちゃんと撮らなくちゃいけないとも思いますね。

Q:深津さんと西田さんにとっても、お客さんの笑顔が浮かぶ作品になったんじゃないですか?

西田:そうですね。こんな時代ですから、何にも考えずに三谷さんの世界に浸って心を動かしていただいて、気持ちを豊かにしていただけたらうれしいです。

深津:タイトルからはなかなか想像できないかもしれませんが、とても温かい気持ちになれる、心の芯がほぐれるような作品になりました。ぜひ多くの方に観ていただきたいです。

共に作品を作り上げた喜びを分かち合い、お互いをたたえ合う三人の姿を見ていると、映画っていいなとしみじみ感じる。インタビュー中は、ずっこけ陰陽師を演じた市村正親、タップ好きの弁護士を演じた阿部寛についてなど、共演者のエピソードも次々と飛び出し、出演者全員が本作の撮影を心から楽しんでいたことがうかがえた。思い切り笑って意外なほど泣けてしまう三谷監督ならではのハートフルなコメディーに仕上がった本作は、観客の心を幸せな気持ちで満たしてくれることだろう。

(C) 2011 フジテレビ 東宝

映画『ステキな金縛り』は10月29日全国公開

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