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シネマトゥデイが選ぶ 今月の5つ星

アカデミー賞作品賞に輝いた無声モノクロ映画『アーティスト』、同賞でイラン作品として初めて外国語映画賞受賞の快挙を果たした『別離』、浅野忠信のハリウッド進出第2作『バトルシップ』など、ゴールデンウイークに観られる話題作が勢ぞろい!

4月7日公開 ハリウッド黄金期へのリスペクトと、「映画への愛」に感動 『アーティスト』 作品情報

今年のアカデミー賞は、フランス映画へのオマージュをささげた作品『ヒューゴの不思議な発明』がノミネートされていたり、授賞式でハリウッドスターたちが印象に残った映画を語るVTRが流れるなど、映画賛歌をテーマにしていたのが印象的だったが、そのテーマに色を添えたのがこの『アーティスト』だ。本作は、ご存知のように第84回アカデミー賞で作品賞含む5部門を受賞するという快挙を成し遂げた。芸術性の強い作品が好まれるアカデミー賞だけに、日本人の好みに合うのか(ましてやモノクロ・サイレント)と思う人も多いだろうが、この映画には泣かされてしまった! それはコメディー界の元祖といわれたビリー・ワイルダーの作品を思わせるような、ところどころに盛り込まれた笑いや、アルフレッド・ヒッチコックの作品へのオマージュとされる音楽、ラストのタップダンスなど、古き良きハリウッド黄金期の映画へのリスペクトと、「映画への愛」が詰まっていたからだ。サイレントからトーキーへ、モノクロからカラーへ、そしてモーションピクチャーやCGが主流になった映画界。CGを多用したハリウッド超大作や「ラストのドンデン返し」的な展開で目が肥えてしまった人こそ、この映画を観るべき。セリフと色彩の排除によって俳優の演技から五感をフル活用することで、計り知れないアツい感動が生まれるだろう。助演男優犬(?)アギーの存在もお忘れなく!(編集部・山本優実)

『アーティスト』©La Petite Reine - Studio 37 - La Classe Americaine - JD Prod - France 3 Cinema - Jouror Productions - uFilm
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4月7日公開 愛する者を守ろうとする二家族の善悪を超えた心理描写が圧巻 『別離』 作品情報

「愛する者を守る」という普遍的なテーマをめぐって、登場人物それぞれの感情がぶつかり合い、幸せを手にすることを阻むかのような人間の複雑な心を浮かび上がらせた秀作。アルツハイマー病の父の面倒を見る父親、娘の将来を思い海外移住を計画した母親、意見の食い違う両親の離婚を阻止したい娘。そこに、夫が失業中で妊娠中ながらも、幼子を抱え自ら働きに出る女性の家族が絡み合い、事件が起こる。この事件から、本来達成したい「愛情」や「幸福」が無残にも崩れ落ち、容疑を掛けられた父のためにウソをつく娘の心情を思うと、切なくて仕方がない。俳優たちの演技の素晴らしさはもちろんだが、冒頭からラストまでスクリーンから目が離せないのは、訴えたいメッセージのために緻密(ちみつ)に練られたアスガー・ファルハディ監督の演出と脚本があってこそ。ベルリン国際映画祭で史上初めて主要3部門を独占、イラン映画として初めてアカデミー賞最優秀外国語映画賞受賞という栄冠に一切の遜色はない。(編集部・小松芙未)

『別離』©2009 Asghar Farhadi
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4月13日公開 緊迫感と興奮がほどよくブレンドされたポップコーンムービー 『バトルシップ』 作品情報

浅野忠信が出演する、ユニバーサル映画100周年を記念したハリウッド製のSF超大作。ハワイで合同演習中のアメリカ海軍と日本の自衛艦が、謎のエイリアンとその母船に遭遇し、大バトルを繰り広げる。自衛官の艦長ナガタを演じる浅野は、主演のテイラー・キッチュの向こうを張り、主役級の大活躍。ハリウッド進出作『マイティー・ソー』における、かなり少なめの出番に不満を抱いていたファンも、今回は大満足できること必至。海軍VS宇宙人というプロットから、ありがちなハリウッド大作と思われがちだが、マイケル・マンが製作した『キングダム/見えざる敵』『ハンコック』などで鍛えられたか、ピーター・バーグ監督が地に足の着いた演出力を発揮。緊迫感と興奮がほどよくブレンドされた、スカッと楽しめるポップコーンムービーのお手本のような作品になっている。監督は実際に軍事オタクでもあるらしく、登場する戦艦や海軍兵たちの装備品、エイリアンの兵器までも魅力的に描かれており、男の子心を刺激する。歌姫リアーナも普段のセクシーさを封印し、男勝りな魅力を振りまいており、まさに男女共に楽しめる娯楽作として、ぜひ劇場で楽しんでいただきたい。(編集部・入倉功一)

『バトルシップ』©2012 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.
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4月21日公開 二度と取り戻すことのできない「あのころ」の輝きが胸に染みる 『ももへの手紙』 作品情報

父親を亡くした少女・ももの成長を描いた本作で中心となっているのは、何でもない日常の積み重ねだ。妖怪である「見守り組」が登場してもそこは崩れず、一大事件として描かれている台風もそこで暮らしている人にとってはただの日常の出来事に過ぎない。それでも、瀬戸内の豊かな自然がこれほどまでに輝いて見えるのは、すべてが新鮮に映るももの目を通しているからだろう。そうした子どもならではの、日常に潜む驚きが本作にはあふれている。その一方でストーリーは安易な方向に流れず、ももと「見守り組」が真の意味でわかり合うこともなければ、ももと母親が抱える喪失感も平癒には至らない。どちらもただ、受け入れるすべを学んでいくだけなのだ。だからこそラストにおける、ももの成長に、子ども時代との決別を思わずにはいられない。成長とは時に残酷なものだと突き付けてくる本作は、もう決して取り戻すことのできない「あのころ」を描いたアニメーション作品に仕上がっている。(編集部・福田麗)

『ももへの手紙』©2012『ももへの手紙』製作委員会
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4月28日公開 「自分に同情するな」辛口のメッセージがガツンと響く 『ブライズメイズ 史上最悪のウエディングプラン』 作品情報

メリッサ・マッカーシーがアカデミー賞助演女優賞にノミネートされ、一躍注目を集めた本作は、婚活中の独身女性にハッパを掛ける辛口のラブ・コメディー。ヒロインのアニー(クリステン・ウィグ)は、ケーキ店を開業するも失敗、恋人に捨てられて心ないセックスフレンドとズルズル関係を続ける、絵に描いたようながけっぷちのアラサー独身女性。スレンダーなスタイル、不器用だけど気取らず愛嬌(あいきょう)があって友達思い。特に「問題」があるわけではない彼女が、なぜ幸せになれないのか……? 結婚の決まった親友から花嫁介添人のまとめ役を依頼され、失敗続きのうちに公衆の面前で「負け組」の自分をさらけ出すアニーと、決して自分の弱さを人に見せない花ムコの妹メーガン(メリッサ・マッカーシー)のキャラクターが対照的で面白い。メーガンが、介添人をクビになり家に引きこもるアニーを「一生、泣き寝入りをして生きていくのか」としかる場面には「幸せになれない自分に同情するな」という教訓、エールが込められているかのようだ。「負け組ヒロイン」といえば『ブリジット・ジョーンズの日記』が筆頭に挙げられるが、先ごろ公開された『ヤング≒アダルト』しかり、いまやラブコメの「努力は報われる」という単純明快なお約束が封印されつつある傾向に、現代女性の新たな試練がうかがえる。(編集部・石井百合子)

『ドライヴ』© 2011 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED
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