シネマトゥデイ

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美山加恋&優香
『ももへの手紙』
美しい風景の中描かれる家族のきずなの物語
映画『ももへの手紙』美山加恋&優香 単独インタビュー

取材・文:永野寿彦 写真:高野広美

アニメとは思えないほどリアリティーあふれる人間ドラマを描いた、映画『人狼 JIN-ROH』の沖浦啓之監督が、7年をかけ完成させた最新作『ももへの手紙』。沖浦監督は今回その演出力を、自然豊かな瀬戸内の小さな島を舞台に、少女ももを軸とした家族の日常と、不思議な妖怪たちとの出会いをつづった心温まる物語に発揮。主人公ももとその母親・いく子の声優を務めた美山加恋と優香の二人が、声優を務めることの難しさ、そして、家族そろって楽しめる本作の魅力を語った。

■声だけで気持ちを作ることの難しさを再確認

Q:美山さんは『劇場版 NARUTO -ナルト- 大活劇!雪姫忍法帖だってばよ!!』、優香さんは『アイス・エイジ2』などで、これまでにも声の演技は経験されていますが、今回改めてなさってみて、いかがでした?

美山加恋(以下、美山):やっぱり難しかったです。普段の映像の仕事では、表情や動きを確認しながら自分の間で演技しているんですけど、アニメの場合だと絵の動き、カットのタイミングで間をとらなきゃいけないので。その気持ちの切り替えが大変でしたね。

優香:わたしの場合、今までやった声は動物系が多くて、マンモスとか猿とか。だから、結構テンション高く、大げさにやることが多かったんです。でも今回は人間ということで(笑)、そういう意味で言うと自然にやりやすかったなっていうのはありました。ただ、やっぱり口の動きに合わせるのは難しかったですね。

Q:動きという意味では、録音スタジオでの収録だと、動かずに声だけで表現するというのも大変だったと思うのですが。

優香:最小限は、(体を)動かしながらやっていますね。気持ちを入れるために、ものすごく力を入れてみたりとか。わたしは特に動くシーンもなかったんですけど……。

美山:わたし、走るシーンが多かったんですよ。

優香:そうだよね(笑)。

美山:やっているうちにテンションが上がってきちゃったりするから大変で。あとは、逆にテンションを上げるために本番寸前までジャンプしたりしていましたね。気持ちをどんどん上げてって、スタートって言われたら「ハア! ハア!」って息を切らせたり。

■演じる役への共感が生み出すリアルな演技

Q:母娘役を演じられていますが、お互いに話し合ったりとかされました?

優香:全然(笑)。

美山:していないです。

優香:一緒にお仕事するのは初めてだったので、「よろしくお願いしまーす!」って。

美山:それで二人でマイクの前に立ってね。

優香:声のお仕事のとき、今までは(アフレコは)一人だったから。一緒にできて良かったです。

Q:すごく自然に、良い関係の母と娘になっていましたよね。

優香:いく子さんはお母さんなんですけど、いかにもお母さんという感じにはならないようには意識しましたね。いく子さんは大事な人を亡くしてしまって自分も悲しい。ももが悲しんでいるのも全部わかっている。でも、だからこそ周りの人たちやお世話になっている人たちには、それを絶対に見せちゃいけないって常に思いながら明るく元気に振舞っている、そういう人だと思っていました。

美山:ももは、そんなお母さんの気持ちはわかっているんですよね。でも不器用なんです。お母さんのことも大好きだし、お父さんのことも大好き。なのに素直になれないから、お母さんとケンカしちゃう。こんなこと言っちゃいけないのにって言葉も、口に出しちゃったりする。ちょっとした一言にイライラしてしまう気持ちはわたしもわかるので。

Q:しかもお二人共、とてもリアルな演技でした。

優香:いく子さんと似ているところあるんですよ。わたしもつらいことがあったりしても、人に言わないタイプなんです。悶々(もんもん)と一人で考えてしまって。何かあっても「別に」みたいな(笑)。いく子さんの場合は、そうやって頑張っているんですね。わたしの場合は、そういうところを見られたくないって感じですけど(笑)。

美山:わたしも、ももほど不器用ではないですけど、彼女みたいに素直じゃないところはちょっとだけありますね。気持ちを素直に出せなくて、ヘンな態度を取ってしまったりとか。だから、気持ちは本当によくわかる。それに、今回はももから学んだところも多いと思います。自分も、もっと素直にならなきゃいけないなって。難しかったのは、ももは無駄なセリフがないところ。はしゃいでいるときでもあまりセリフがないんです。セリフがあるのは、お母さんとケンカしているときや、お父さんを思っているときだったり。だからそのセリフ一つ一つに気持ちを集中しなくてはいけないなって思っていました。

優香:わたしは、頑張っているだけじゃないいく子さんも意識しましたね。イヒッて笑ってしまったりとか、どこか子どもっぽいところも持ち合わせているので、そういうかわいいところもきちんと見せたい。うまくできたらいいなって思っていました。

■リアルな世界観から感じてほしい家族愛の温かさ

Q:沖浦監督が作る映像も、お二人の演技同様すごくリアルでした。完成した作品をご覧になって、いかがでしたか?

優香:単純に感動しちゃった。何度観てもまた感動して。物語が終わって原(由子)さんの主題歌が流れて……。

美山:そう!

優香:ね! 原さんの歌がすっごく良くて。とってもステキな温かい声で。

美山:本編にはとにかくビックリ(笑)。自分が演じていたシーンに、いろんな方たちの演技が加わって、どんどん深く色がついていったという感じで。すごくうれしかったですね。

優香:(共演者は)プロの方たちばかりですから、声を演じるのって怖いんですよ。じゃまにならないように、でも存在感があるようにとか、いろいろ考えてしまったりして。でも、出来上がったものを観て、本当にやって良かったって思いました。それに、景色が本当にステキ。こういう場所で育っていなくても懐かしく思えるし、こういうところで育った人は、故郷に帰りたくなるような。そういうところも楽しんでいただけるといいなって。

美山:(感想を全部)言われてしまった……(笑)。

優香:以下同文でもいいんだよ(笑)。

美山:その美しい風景の中で描かれている、家族のきずなの物語を楽しんで、家族愛の温かさとかを感じてくれたらうれしいです。

優香:そう。それがすごく大切ですよね。

一緒に演じたときのことを思い出しながら、本作のことを語った美山加恋と優香。時折、二人同時に相づちを打ったり、気持ちを確認し合ったりするその姿は、劇中のももといく子と同じく、まるで本当の母娘のよう。そんな二人の演技によって紡がれた母と娘のきずなは、妖怪たちも絡んでくる、本作のファンタジックな要素さえもリアリティーを持たせてくれる。日本ならではのクオリティーの高いアニメーション映像を、よりリアルなものにしている二人の演技をぜひ劇場で。

映画『ももへの手紙』は4月21日より全国公開

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