シネマトゥデイ

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INTERVIEW@big apple

今月は、名女優ジェーン・フォンダのイベント、キーラ・ナイトレイ主演の『シーキング・ア・フレンド・フォー・ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド(原題)/ Seeking a Friend for the End of the World』、そして今年30周年を迎えたリチャード・ギア主演の『愛と青春の旅だち』の取材を紹介。

6月2日長年のブランクについて明かしたジェーン・フォンダ(リンカーン・センターにて)

ジェーン・フォンダの過去の作品と私生活

ヘンリー・フォンダの娘として生まれたジェーン・フォンダが映画界に入った経緯や過去の作品、そして私生活について語ったイベント。普段、あまりインタビューを受けない彼女が、当時の思い出を振り返った。

ジェーン・フォンダ

ウイットに富んだジョークで記者陣を大いに沸かせたジェーン・フォンダ (Donna Ward/Getty Images)/とても74歳とは思えぬ若々しさ!

普段、リンカーン・センターで行われるイベントに関しては、パブリシストにチケットを確保してもらうのだが、今回はプレス用のチケットが限定されていたようで、自分で購入して参加することになった。当日は、イベント開始40分前に現地に到着したのだが、すでに長蛇の列になっていた。当然、いつもなら余裕で確保していたフロント席も確保できず、2列目の端に座ることに。今回のイベントの司会者は、リンカーン・センターの名物司会者スコット・ファンウンデスではなく、ニューヨーカー・シアターの黒人批評家ヒルトン・アルズ。彼が、あの歯に衣着せぬジェーン・フォンダにインタビューすることになった。が、僕は「この批評家で大丈夫だろうか?」と少し懸念した。というのも、ヒルトンにとって相当なプレッシャーだったのか、質問内容を書き記したノートを持参し、それを見ながら質問するという、あまりリンカーン・センターで見かけない光景を目にしたからだ。

まずヒルトンの「先ごろのカンヌ国際映画祭には、どのような理由で参加したのか?」と問いかけに、ジェーンは「単にたくさんのお金をもらっているからよ!」と笑って答えた。実際には、70歳を超えたジェーンが同映画祭のスポンサーであったロレアルのスポークス・ウーマンとして選ばれ、その他に選ばれたエヴァ・ロンゴリアフリーダ・ピントらに会いたかったから、とのこと。続いて、『アイリスへの手紙』以来主演作が少なかったことについては、「別に、元夫(CNNの創立者テッド・ターナーに拘束されていたわけじゃないわよ!」と返したのが彼女らしいユーモアだと思った。同時に、それまで元夫との関係で精神的に参っていたときに、テッドにだいぶ助けられたことを告白した。それと、当時彼女が出したワークアウトのソフトがヒット商品となり、金銭的な余裕があったため無理に働く必要もなかったそうだ。そして、彼女が通っていたアクターズ・スクールの創始者で、演技指導者のリー・ストラスバーグに、「君には才能がある」と言われたことが、女優として生きていこうと決意した理由になったそうだ。現在74歳のジェーンは、今のハリウッドに不満があるらしく、年配者向けの映画をもっと製作すべきだと主張していた。彼女がアクターズ・スタジオにいたときは、ヴァネッサ・レッドグレーヴマーロン・ブランドが即興的な演技をしていて、何をしているかよくわからないものの、それでも彼らの演技に魅了されていたそうだ。

『黄昏』で共演した女優キャサリン・ヘプバーンからは、演技よりも人生を学んだという。その際、キャサリンの震えた声をまねしていたのがおかしかった。ちなみにこの『黄昏』の撮影時に、マイケル・ジャクソンがセットを訪れたらしいが、キャサリンは最初彼が誰なのかわからず煙たそうな顔をしていて、あとで彼が歌手のマイケル・ジャクソンだとわかった途端、おべっかを使っていたそうだ。ジェーンは映画だけでなく舞台にも挑戦していて、かつて女優ジェラルディン・ペイジと舞台「ザ・ドールメイカー」で共演した際に、「あなたもジェラルディンと同様に素晴らしい評価を批評家から受けていましたね」と司会者が言ったところ、「その批評家たちが今も生きていて、わたしを評価してくれたらいいのに!」と彼女らしいジョークを飛ばした。最後に、彼女は「死ぬ前に再び舞台に立ちたい、それは父親が何よりも舞台を愛していたから」と締めくくった。「ジェーン・フォンダの特別イベントで、たったの20分?」と首をかしげたが、短時間で潔く終えてしまうのもまた、彼女らしいのかもしれない。

6月9日スティーヴ・カレルが終末に行きたいのはディズニーランド!?(ウォルドフ・アストリア・ホテルにて)

『シーキング・ア・フレンド・フォー・ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド(原題)』

地球に惑星が接近し、多くの人々は間近に迫る地球の終末におびえていたが、逆に残りの人生を謳歌(おうか)する者もいた。そんな中、パニック陥った妻に置き去りにされたドッジ(スティーヴ・カレル)は、恋人と別れたばかりのご近所ペニー(キーラ・ナイトレイ)と親しくなり、2人はドッジの高校時代の恋人に会いにいくことを決意するが、道中でお互いが惹(ひ)かれ始めていくというドラマ作品。

キーラ・ナイトレイ、スティーヴ・カレル、ローリーン・スカファリア

先ごろイギリスのロックバンド・クラクソンズのキーボード、ジェイムス・ライトンとの婚約が報じられたキーラ・ナイトレイ/スティーヴ・カレル&キーラ・ナイトレイの2大スター共演作で華々しく監督デビューしたローリーン・スカフェリア

僕は取材が行われる前日までこの映画のことを忘れていて、友人からこの新作を観るかという電話を受けて、ようやく取材があることに気付いたのだった……。運良く取材前日に試写があり、取材に入れてもらえることに。当日、現場に行くと顔なじみの友人記者がそろっていて、取材前に共に昼食をとってから取材部屋に移動したところ、その部屋にいたのはほとんど見たことのない記者ばかりだった。すぐに、相当な数のラウンドテーブル(7、8人が座れる大きいテーブル)が用意されていることに気付いた。ロサンゼルスにいるスティーヴ・カレルがSkypeでインタビューに応じることになっていたのだが、用意されたのはテレビ画面ではなく、パソコン。8人の記者が見るには、ちょっと小さすぎるのだが……。

インタビューは、映画の中で一番面白かったシーンについてから始まった。スティーヴは、「チェーン店のレストランで乱交パーティが行われるという奇抜な設定が面白かった」そうだ。この映画では犬が重要な役を担っていて、スティーヴは「すべてのシーンにおいて僕より演技が良かったよ!」と言った。とはいうものの、スタッフやキャストの要求になかなか応えてくれず、大変だったらしい。「でも、犬だから八つ当たりできないよね」と言っていたのがおかしかった。ちなみに、オープニングでスティーヴの妻役を演じているのは、実際生活でもスティーヴの妻である女優のナンシー・ウォールズだそう。また、撮影を行ったのがスティーヴとナンシーの結婚記念日で、「結婚記念日に別れるシーンを撮影したのは皮肉だったよ」と記者たちを笑わせた。さらに彼は、「もしこの映画のように地球の終末を迎えるとしたら、ディズニーランドに行って、さらに減量のためにこれまで抑えていた食べ物を、死ぬほど食べたい」と語った。しばらくすると、レコーディング用に置いたiPhoneがパソコンの前で鳴り始めた。スティーヴはそれに気付かなかったようだが、そのせいで録音データに聞き取れないところがあるかもしれないと、僕は不安になった。インタビューが終わり、iPhoneの持ち主が判明すると、ベテラン記者がその若い記者に注意していた。

次にキーラ・ナイトレイ。先ごろ婚約した彼女に、ある記者が「婚約おめでとう!」と言葉をかけ、リアクションを期待したのだが、キーラは「ありがとう!」と返しただけだった。今年で50歳になるスティーヴと共演した感想について尋ねると、「彼はとてもそんな年には見えないわね、どんなお肌のケアをしているのかしら? 使っている製品を知りたいわね」と言い、笑わせた。この映画で初めてメガホンを取ったローリーン・スカファリア監督については、「彼女は何をすべきかちゃんとわかっていて、とても初監督とは思えなかった」とのこと。あるファッション雑誌の記者が彼女に、「結婚式に着るウエディングドレスは誰がデザインするのか」と質問したところ、彼女は「秘密よ~!」と笑って流した。ちなみに、年末に公開される『アンナ・カレーニナ(原題) / Anna Karenina』は、英語で撮影されているそうだ。

6月12日リチャード・ギアの今だから言える『愛と青春の旅だち』撮影秘話(ニューヨーク アカデミーシアターにて)

『愛と青春の旅立ち』

すさんだ生活から脱却するために海軍士官養成学校の飛行士過程を志願したザック(リチャード・ギア)が、仲間や恋人ポーラ(デブラ・ウィンガー)に支えられ、鬼教官フォーリー(ルイス・ゴセット・Jr)の厳しい訓練を乗り越えていく青春映画の金字塔。

リチャード・ギア

急きょ不参加となった鬼教官役ルイス・ゴセット・Jrとの撮影中のバトルなど、ビックリ発言を連発するリチャード・ギア/リチャードが『愛と青春の旅だち』を観るのは30年ぶり!

以前、『HACHI 約束の犬』リチャード・ギアに単独インタビューしたことがあった僕は、アカデミーシアターで『愛と青春の旅だち』が特別上映されると知り、パブリシストに連絡し、イベントの前にリチャード・ギアとルイス・ゴセット・Jrの単独取材をさせてもらえないかと相談したところ、同日二人は忙しく、Q&Aだけに参加することになっているから無理だと断られてしまった。そして当日、午後7時開始のイベントの50分前に駆け付けたのだが、すでにアカデミー会員のメンバーが列を作って並んでいた。開場は6時30分だったが入れたのは、イベント開始10分前だった(どうやら遅れてきたリチャードを待っていたらしい)。

初めに、アカデミーシアターのディレクターが、残念ながらルイス・ゴセット・Jrが不参加となったことをアナウンスした。本編が上映され、リチャードがクライマックスでデブラ・ウィンガーをお姫様抱っこする名シーンが映し出されると拍手喝采となり、やがてリチャードが登壇した。まず彼は、これまでテレビで同作が放映されたときに1、2シーン観ることがあっても、全編を観るのは30年ぶりだったらしく、今回は緊張しながら鑑賞したそうだ。彼が俳優を目指してニューヨークにやって来たのは20歳のころだったが、初めて映画に出演したのは、テレンス・マリック監督の『天国の日々』だった(『ミスター・グッドバーを探して』が『天国の日々』よりも先に公開されているが、撮影は『天国の日々』が先だったようだ)。『愛と青春の旅だち』の脚本を読んだ第一印象は、少し感傷的すぎると感じたが、脚本を改稿する条件で出演を決めたという。

本作にはデブラ演じるヒロインが父親の写真を見せるシーンがあるが、その写真は実は脚本を執筆したダグラス・デイ・スチュワートの顔写真であると話した。さらに、ルイス・ゴセット・Jrが演じた鬼教官役には、最初は白人を起用するつもりだったという意外な事実も明かした。ちなみに、本作を制作するにあたって海軍にも協力を求めたらしいが、「リチャードの父親のキャラクターが酔っぱらいではなく、障害者の子どもの世話をしているという設定なら協力しても構わない」という無理難題を提示され、結局海軍の協力は実現しなかったんだとか。撮影中は、劇中で対立しているリチャードとルイスのキャラクターにリアリティーを持たせるため、オフのときも二人は距離を置いていたそうだ。また、二人が空手で戦うシーンでは、準備万端で臨んだリチャードが、ルイスを思い切り殴ってしまい、キレたルイスは2日間も撮影現場に戻ってこなかった。そんな窮地に陥り、一度は教官役に代理の俳優を起用することも考えたという。

また、ザックが腕立て伏せを100回するシーンを撮影する際、最初はリチャードも何十回でもできていたらしいが、何度もリテイクを繰り返すうちに疲労困憊(こんぱい)してしまい、結局(劇中では)98回から数えて100回に達するというシーンに変えたそうだ。配給会社パラマウントの幹部は、試写を観て映画の出来に満足したものの、スター俳優がいなかったために、あえて劇場公開の2週間前に無料の試写会を行い、口コミ効果でヒットを狙おうとした経緯があったという。最後にリチャードは、「エンディングのシーンは感傷的で、初めは抵抗があった。でもテーマ曲が加わったことで素晴らしいシーンになった」と満足げに語った。

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