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日本映画界を担う個性派男優五人衆・再会スペシャル 衰えていく体力……自己と闘い

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日本映画界を担う個性派男優五人衆・再会SPECIAL

11年前と比べて確実に落ちている体力や記憶力。自分の体力と闘いながらも、さまざまなスタイルを持つ監督、スタッフとどう仕事をして行くのか。演技に対する姿勢と新たな葛藤とは?

俺たち“ガンズ”です

――不安って何ですか? 寺島 :俺、この中で一番年下なんですけど記憶力が落ちてきたんですよ。最近は自分のセリフを書いて覚えるようになってね。この11年間、そんなことしたことなかったのにね。 遠藤 :俺もあるなぁ。 ――光石さんは、膝に水が溜まるようになったんですよね?

新宿中央公園前にて

光石 :一度回復に向かったんですけど、春先からどうも調子が悪くてね。 大杉 :それはキツイなぁ。あれは水を抜いた方がいいとか、抜かない方が良いとか人によって言うこと違うよね。 光石 :病院も行ったけど、どっちが良いのか分からないんですよ。 寺島 :あと何が変わったって食欲。食べないと体力が持たないんですよ。 大杉 :寺ちゃん。睡眠時間は短い? 寺島 :普段は短いけど、寝るときはガーッと寝ますね。 大杉 :睡眠時間が短いと食欲が上がるそうですよ、医学的に。あと性欲も強くなるそうです。だから、食欲と性欲を強くしたければ寝るな! と言われました。 遠藤 :俺も、翌日に仕事があるときは、深酒するような無理はしなくなったね。昔は二日酔いで仕事に行ってもテンションがいい感じだったけど、今は体がだるくなっちゃってダメ。大杉さんは50歳になって変わったことってあります?

「ただ楽しいだけじゃすまなくなって……」遠藤 憲一

大杉 :求めなくなったかな。嫉妬や人の仕事を羨ましがったりね。でもガツガツせず、今やっていることをやり続けていれば何かに結びつくと思うようになりましたね。(思考が)シンプルになってきたんですね。そしていま僕は、いい俳優になりたいと思ってます。遠藤 :僕の場合、年を重ねるにつれて何が大変って、ただ楽しいだけじゃすまなくなってきていて……そう思いません? 関わる全作が楽しいワケじゃなく、心の中でときめかなくてもやらなきゃいけないモノってあるじゃないですか。それが50歳になって増えてきたんですよね。

大杉 :すごくリアルに聞こえるね。でも仕事だからね。 遠藤 :そう、仕事なんです。 寺島 :世帯じみたことを言うのもなんだけど、養うために我慢してやらなきゃいけないこともあるよね。 遠藤 :いいこと言うね。さすがお父さん。 寺島 :自分一人のときは好きな事がやれたけどね。 大杉 :ただ考え方だと思うんだよ。それは自分がこれまでどういう勝負をしてきたか!? ということであって。さっきの不安という話にしてもさ、諸先輩諸氏に聞くと皆、同じように不安だって言うよね。それは宿命としか言いようがない。

遠藤 :(心身共に)壊れていく自分と闘っていくしかないですね。 大杉 :ああ、闘いだね。 遠藤 :さっきの記憶力の話で言うと、昔は2、3回読んで覚えられたものが、今や10回ぐらい繰り返さないとダメ。今、NHK大河ドラマ「平清盛」に出ているけど、「~でござります」みたいな言い慣れない言葉だらけだから、数行のセリフも出てこない。 寺島 :独特のリズムがあるからね。 大杉 :でも研ちゃんは(セリフ覚えは)早いでしょ? 「ハングリー!」にゲストで来られたときに「すごいなぁ」と思ってさ。

「近眼で老眼、微妙なんです」光石 研

光石 :いやいや。トモロヲさんは『あぜ道のダンディ』で見ていらっしゃったから知っていると思うけど、僕、撮影直前までブツブツとセリフを覚えていましたよね。それと目。老眼が始まっているから、台本を読むときなんてこう……(と、メガネをおでこに上げて、目を細めて文字を読むふりをする)

「俺たちガンズ!」田口 トモロヲ

大杉 :近視? 老眼? 光石 :近視で老眼。微妙なんですよ。 大杉 :この中で老眼がきているのは誰なの? 田口
光石
寺島 :
 
 
はい!(と手を挙げる)
遠藤 :俺、乱視。 大杉 :僕ね、まだきていないんですよ。近視が強すぎて、老眼がくるのが遅いの。 遠藤 :文庫本は読める?

光石 :すっごくイラつきますね。脚本はちょうど良いです。 大杉 :脚本が読めるか否かが基準になるよね。 田口 :僕、ナレーション用の脚本は文字を大きくしてもらっていますよ。拡大コピーして。一応、今掛けているのも老眼鏡ですね。老眼ズ。略して眼ズ(ガンズ)と言っています。ちょっとバンドっぽくてカッコイイかなと思って。 遠藤 :いいねぇ~、ガンズ。

俺たちもトキメキが欲しい

――皆さん、いろいろご苦労があるのですね(涙)。逆に、心をときめかせるためにも仕事をしてみたい監督や俳優はいらっしゃいますか? 遠藤 :それは誰と……というより、そのときの出会い方次第かな。いろんな人と仕事をしてみたいけど、実際にやってみないとわからないからね。ただ昔は現場で、「こういうのはどうですか?」とか監督に言っていたんだけど、最近は言われた通りにやってみるの。最初は(生理的に)気持ち悪いなと思っても、やってみたら新しいモノがポコンと見えるときがたまにある。そういう監督と出会ってみたいですよね。 光石 :ただ最近は新しい方がどんどん出てくるので、僕らも追い切れない。だから遠藤さんが言うように、出会うべき人とは出会うだろうと思っています。ただ、志だけは常に、どんな現場に入っても真面目にやろうと思っています。『あぜ道のダンディ』石井裕也監督のときも、石井さんの指示通りに動こうと心掛けていましたね。 田口 :彼は完璧に世界観を持っていますから。お若いのにビックリするほど明確でした。セリフとセリフの間も「ここは2秒半空けてください」とか。 大杉 :彼の作品はリズムがありますよね。光石さんとトモロヲさんが居酒屋にいるシーンとか、すごい好きでしたね。テストは何回もするの? 光石 :しますね。その上で「これは外しましょう」とか、「代わりにココを何秒空けましょう」とか。だから、こっちはだんだん記憶力も瞬発力もなくなっているので、いつもオタオタと対応しています(苦笑)。「ちょっと待ってください」と言いながら、反覆してセリフを覚えましたよ。 大杉 :笠智衆さんが書かれた書籍「俳優になろうか 私の履歴書」と「あるがままに」を読んだときにね、小津安二郎監督から「なんで君はそんなに下手なんだ!?」と言われ続けたと書かれていた。それを読んですごく意外だったし、救われたところもあったんです。あれほど僕にとって自然な演技をしている方はいないんだけど、その方が死ぬまでもがき苦しんだと知ってね。その思いに触れたとき、俳優として勇気というか、励みをもらった気がしたんですよ。この仕事は、もがき苦しみがいがあるんじゃないかとね。 寺島 :それはありますね。

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