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ダニエル・ラドクリフ
『ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館』
新たなキャリアの幕開けとして完璧な作品
映画『ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館』ダニエル・ラドクリフ 単独インタビュー

取材・文:シネマトゥデイ編集部・市川遥

若くして世界的なスターとなったダニエル・ラドクリフが『ハリー・ポッター』シリーズ後の新たなキャリアの幕開けに選んだのがこの英国ゴシックホラーだ。本作でダニエルは、呪われた館を訪れたことで恐るべき呪いの連鎖に巻き込まれていく、愛妻を亡くした子持ちの主人公アーサーを熱演。見事にこれまでのイメージを払拭(ふっしょく)したダニエルが、本作に懸けた思いや13年に及ぶ役者人生を語った。

■魔法使いの少年とは百八十度違う役柄

Q:本作の脚本は『ハリー・ポッターと死の秘宝』の撮影終了後、飛行機の中で読んだそうですね?

そうだよ。初めて『ウーマン・イン・ブラック』の脚本を読んだのは、『ハリー・ポッター』での最後のシーンを撮影してから5時間もたたない飛行機の中でのことだったと思う。本当に思いがけない出会いだったよ。

Q:新たなキャリアの幕開けになぜ本作を選んだのですか?

みんなが僕が出ているのを見たいと思うような、今までとは全く違ったタイプの映画で、とても独特であると同時に多くの人を引き付けることができる作品だったからさ。ストーリーをすごく気に入ったしね。ページをめくる手を止められなかったよ。脚本のジェーン・ゴールドマンと仕事をするということも刺激的だったし、ジェームズ・ワトキンス監督に会うと彼がこの映画に対する本物のビジョンを持っていること、そしてホラーというジャンルに対する完璧な理解があるとわかった。そういったことを全部含めて、当時の僕にぴったり合った作品だと感じたんだ。

Q:亡くなった妻の面影に取り憑(つ)かれるアーサーという役には自然と入り込めましたか?

僕は幸運にも妻や子どもを亡くした経験がないから、そういった部分ではアーサーの人生と直接の関わりはない。あと僕はアーサーよりかなりエネルギッシュな性格だから、妻の死に取り憑(つ)かれて生きる気力を亡くした人物になるため、そういったエネルギーを抑える必要があった。だけど彼の性格には確かに僕が理解できる部分があると思うんだ。僕らがそんなに違っているとは思わないよ。

Q:実際にどんな役づくりをしたのですか?

悲しみを専門とするカウンセラーと話をして、こういった状況に陥った青年がどういったことを感じるのかという情報を集めて理解するよう努めたよ。後は、脚本を何度も何度も読んで完璧に把握しようとした。自分が演じる人物が何を望んでいるのか、全てのシーンにおいて理解しておくためにね。

Q:息子を演じたミーシャ・ハンドレイとは現実でも特別な関係なんですよね?

そうなんだ! ミーシャの母親は僕が出演した舞台「エクウス」の監督で、僕は彼の名付け親なんだよ。彼はとってもかわいくて一緒に映画を撮影するのは本当に楽しかった。もともと仲が良かったから、映画での父親と息子という関係もたやすく築くことができたのだと思う。

■実はホラー映画が苦手!

Q:なぜアーサーは呪われた屋敷にとどまるのでしょう?

(笑)。いい質問だね。実際僕がジェームズ(監督)にした最初の質問と同じだ(笑)。ジェームズはスタンリー・キューブリック監督の「どんなゴースト・ストーリーも内在的に慰めがある。なぜならそこには死後の世界が存在するからだ」という言葉を引用していたよ。僕はこの引用こそ、本作でのアーサーのキャラクターに近いものだと思う。愛する妻を亡くしたアーサーは屋敷を訪れて、そこで死んだ女性と思われるゴーストの姿を目にする。彼は死んだ妻か何かが自分にメッセージを伝えようとしていると考えると思うんだ。だから屋敷を歩き回って彼が見たものがゴーストなのか確かめようとする。もし彼女が本当にゴーストだったのなら死後の世界が存在するということで、いつの日か愛する人と再び会える日が来るという望みができるからね。

Q:撮影中、怖かったシーンなどありましたか?

怖いと思ったシーンは特になかったな。体力的にきついと感じたのは映画の終わりの方の沼地に入るシーンだよ。すごく寒かったし、撮影するのも楽じゃなかった。でも結果的に素晴らしいものになっていたから報われたよ(笑)。

Q:ジェーン・ゴールドマンは本作の脚本を執筆する際にいくつかの日本のホラー映画を繰り返し観たそうですが、ご自身は何かご覧になりましたか?

僕はジェーン・ゴールドマンやジェームズ・ワトキンス監督ほど日本のホラー映画に詳しくないんだ。実を言うと、僕は臆病すぎてホラー映画を観られないんだ。もし出演していなかったら、怖いから『ウーマン・イン・ブラック』も観ていないと思う(笑)。でも日本のホラー映画には多くのファンがいて、本作に多大な影響を与えていることは知っているよ。

■イギリスの老舗「ハマー・フィルム」という存在

Q:ハマー・フィルムは本作の続編を作ると発表しましたね。

いいニュースだよね! 僕が知る限り、脚本を担当している人物はとても頭が良い人だから、素晴らしい仕事をすると確信しているよ。僕は続編には出演しないだろうけど、すごく怖くていい作品になるだろうし彼らはまた新しいことをやるはずだ。

Q:本作の製作がハマー・フィルムだったことは、出演の決め手の一つになりましたか?

もちろん! ハマーはイギリス映画業界の影響力を象徴する存在で、当時は最も優れたホラー映画の製作会社だった。その血筋を受け継ぐ作品に参加できたことをとても光栄に思っているよ。

Q:イギリス映画とハリウッド映画には違いがあると思いますか?

ユーモアのセンスに違いはあるけど、それ以外は特に違っているとは思わないな。映画がどこで作られるかはそんなに重要じゃない。つまり、ハリウッドには素晴らしい大作を作る人々がいて、それはイングランドやほかの映画業界にとってもいいことだと思う。ただ僕は、イギリスのインディペンデント映画はハリウッド映画と比べると、より社会派リアリズムの傾向があって少しだけエッジーだと思う。例えば暴力的な少年グループを描いた、ジェームズ・ワトキンスの監督第1作『バイオレンス・レイク』は、ホラーでありながら超社会派リアリズムの映画だ。イギリス人の監督は複数の映画ジャンルを統合することによりオープンなんじゃないかな。

■本当の意味で役者を志したのは14歳のとき

Q:10歳の頃から役者の仕事をしていると思いますが、何か転機となることはあったのでしょうか?

何だろう、わからないな……。ただ正直言って13年もこの仕事を続けてこられたのは、信じられないほどの幸運が続いたからだということはわかっている。特に今年関わった作品には満足しているんだ。年末にはジョン・ハムと共演したテレビシリーズ「ア・ヤング・ドクターズ・ノートブック(原題) / A Young Doctor's Notebook」の放送が始まるし、来年にも何本か出演作が公開される予定だ。みんながこれらの作品を観るのが待ちきれないよ。

Q:ではいつ役者を続けていくことを決めたのですか?

たぶん14歳のときだと思う。シリーズ第3作『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』の半分と4分の3を過ぎたくらいの頃だね。その頃からより良い演技をするためにどうすべきか真剣に考えるようになって、僕は本当に意識的に『アズカバンの囚人』に打ち込んだんだ。素晴らしい役者たちと働くことが僕にインスピレーションを与えてくれたんだけど、特にゲイリー・オールドマンの存在が大きいね。

Q:最後に日本のファンへメッセージをお願いします。

ずっと応援してくれてありがとう! 『ハリー・ポッター』シリーズと同じくらい『ウーマン・イン・ブラック』を楽しんでくれたらいいな。もちろん『ハリー・ポッター』とはかなり違うタイプで怖い映画だけど、とてもいい作品になったと思うから気に入ってくれたらうれしいです。日本のみんなからのファンレターはいつでも素晴らしいから、どうかこれからも書き続けてね!

作品について言葉を選びながら信じられないほど真摯(しんし)に語るダニエルからは、彼がずっと前から子役としてではなく一人の役者として確実に歩を進めてきたことが感じられた。今年から来年にかけて出演作が続くダニエル。次はどんな新たな顔を見せてくれるのか期待は高まるばかりだ。

(C)Warwick Saint
(C) 2011,SQUID DISTRIBUTION LLC, THE BRITISH FILM INSTITUTE

映画『ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館』は公開中

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