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ブラッドリー・クーパー
『世界にひとつのプレイブック』
このダイナミックな役柄を演じるのはすごく怖かった
『世界にひとつのプレイブック』ブラッドリー・クーパー 単独インタビュー

取材・文:編集部 森田真帆 写真:吉岡希鼓斗

心に深い傷を負った2人の男女が、ダンスコンテスト出場を通して人生をやり直そうと奮闘する姿を描いた映画『世界にひとつのプレイブック』。第83回アカデミー賞で2冠に輝いた映画『ザ・ファイター』のデヴィッド・O・ラッセルが脚本と監督を務めた異色のラブコメディーだ。本作で繊細過ぎる主人公のパットを熱演し、第85回アカデミー賞主演男優賞にノミネートされたブラッドリー・クーパーが役柄への思い、そしてハリウッドでの成功秘話を語った。

■感情がジェットコースターのように変化する主人公・パット役への挑戦

Q:この映画のパットは、今まであなたが演じてきた役柄とは全く違う印象を受けました。

そうだね。パットは今まで演じた役柄のどれにも当てはまらなかった。『ハングオーバー!』シリーズのパーティー野郎でもないし、女にモテるプレイボーイタイプでもない。とにかく人生に絶望している男なんだ。だからこそ、この役はとても楽しかったし、同時に多くのことを学べたと思っているよ。

Q:演じることに大きな勇気が必要だったのではないですか?

何よりも、自分の演技が正しいのかどうかが一番不安だった。最初に脚本を読んだとき、パットの人格はとても細かく描かれていて、念入りに作り込まれた役柄だったんだ。泣いたり、叫んだり、彼の激情や衝動、そして精神状態はジェットコースターのように変化していく。確かにこのダイナミックな役柄を演じるのはすごく怖かったよ。

Q:こうして目の前で話しているあなたはとても冷静で落ち着いています。あれほどの激情はどのようにして作り上げるのでしょう? あなたのどこかにあるものなんですか?

このような役柄を演じるときは、自分のどこかにある火種を探すようにしているんだ。今回も、パットと同じような激情の要素を自分の心の奥底から探して引っ張り出してきた感じだよ。僕がアクターズ・スタジオにいた頃、ロバート・デ・ニーロが講演に来て、そのときに『レナードの朝』の役づくりについて質問をしたんだ。そのアドバイスがとても役に立ったよ(笑)。

■オスカー俳優部門全ノミネートの快挙!

Q:あなたとジェニファー・ローレンスの相性もバッチリでしたね!

ジェニファーは最高の女優だよ。彼女はすごく若くて、現場に入る前は少しだけ心配な部分もあったんだけど、すぐに素晴らしい雰囲気を作り上げることができた。

Q:二人のダンスシーンが、何よりもステキでした。

僕もあのシーンがとても好きだよ。ダンスは心が傷ついたパットとティファニー(ジェニファー)にとって最高のセラピーになる。そして不思議なことに、自分自身パットとしてダンスを踊っているうちに、自分の心がとても癒やされていくのを感じたんだよ。あのシーンはこの映画にとって最高の鍵となるから、ぜひ観客の皆さんも楽しみにしてほしいね。

Q:ジェニファーをはじめ、メインキャスト全員がアカデミー賞にノミネートされるなんて快挙ですよね。

ありがとう。ジェニファーはもちろん、デ・ニーロも、母親役のジャッキー・ウィーヴァーも本当に素晴らしかった。ジャッキーは『アニマル・キングダム』でもアカデミー賞にノミネートされているけど、そっちじゃものすごく怖い母親を演じているから、この映画の母親役との違いにびっくりするだろうね。でもとにかく、4人のみならず、ほかの役者たちも全員が素晴らしい演技をしていて、これほどの高い評価をもらえているのも彼らやスタッフたちのおかげだと思っているよ。

■2作目の共演、デ・ニーロとは大の仲良し!

Q:映画で描かれていたパットと家族の姿は、観客の誰もが温かさを覚えると思います。

ああいう関係ってすごくリアルだよね。不器用な父親と、おせっかいで息子が大好きな母親ってどこにでもいるでしょ? 僕の父は2年前に亡くなったから、この映画で久しぶりに父との関係を思い出すことができた。父は映画が大好きだったから、僕の父親をデ・ニーロが演じたことを知ったらきっとすごく興奮したと思う。

Q:あなたのお父さんもデ・ニーロに似ていたんですか?

似ていたって言ったら、天国で喜んでくれるだろうね。でも、結構似ているんじゃないかな。どちらも素晴らしい性格をしているところは似ているね。

Q:デ・ニーロとはこの映画が2作目の共演ですが、もうすっかり仲良しとか。 彼があなたの犬に何かをプレゼントしたという話をどこかで読みました。

それ知っているよ! なんだかピンクの服か何かを僕の愛犬にくれたって話でしょ? あれは完全な作り話だよ。どこからそんな話が出てくるのか、本当にびっくりするんだけど、デ・ニーロから物は何ももらっていないよ。彼からもらったのは、最高の演技アドバイスだけだね!

■今も大事にしている、新人時代の思い出の品とは?

Q:役者としての転機はいつ訪れたと思いますか?

『ハングオーバー!』シリーズって言う人が多いんだけど、自分の中ではドラマシリーズの「エイリアス」、映画『ウエディング・クラッシャーズ』に出演したことも大きな転機だったと思う。もちろんこの作品も。そうして少しずつ変わってきたから、一気に大スターになったっていう自覚はないんだよね。もし、役者として「成功した!」と感じた瞬間を強いて言うならば、自分の欲しいものを買えたときかな(笑)。

Q:ハリウッドじゃギャラの差もすごそうですものね!

大好きなバイクを買ったよ(笑)。バイクは正直何よりもうれしいんだ。昔はよくパーティーに行ったりしていたけれど、年のせいで夜中まで暴れられなくなったから、今は休日にバイクに乗ることが一番の楽しみなんだ! でも俳優の仕事を始めて、初めて買った革のソファは今でも大事に使っているんだ。あれだけは、いまだに捨てられない大切なものだね。

■夢を追う若者たちにアドバイス!

Q:先ほどあなたが話したアクターズ・スタジオの生徒だった頃から約10年の間に、ここまでの大スターになりました。当時、今の状況を想像していましたか?

当時の僕がアカデミー賞主演男優賞にノミネートされるかってことを? とんでもない! まったく想像していなかったよ。あの頃は、まだ学生ローンも払えていなかったと思うし、とにかく日々を生き抜くことで必死だったよ。いつまで俳優が続けられるかビクビクしていたんだ。

Q:役者としてブレイクするまで、辞めたくなったことはありましたか?

何度もあったよ! お金もそんなになかったし、絶望的になってギブアップしたくなったことは何度もあった。でも僕は映画が大好きだったし、幸運にも仕事が全くなくなってしまうことはなくて、少しずつだったけれども映画の現場の仕事はあった。だからつらくなると好きな映画を何本も観るんだ。そうすると突然、自然に「だめだ、こんなところで諦めちゃ……」って気持ちになれたね。

Q:夢をかなえたあなたから、夢を追う若者たちにエールをお願いします。

好きなことを続けるというのは、とても大切なことだと思う。僕が本当に幸運だったのは、自分が大好きな芝居をずっと続けてこられたことなんだ。そして、若い子たちにぜひ言ってあげたいのは、夢を追い掛けていたり、夢を持とうとすると必ず「やめておけ」と言う大人がいるんだ。彼らの言葉を聞いちゃいけない。自分の力を信じるのではなくて、自分が追い掛けていることや続けていることが「好き」という気持ちを信じて頑張ってほしい。

来月からは、ラッセル監督の最新作の撮影に入るというブラッドリー。その後はブロードウェイで舞台も控えており、今や引っ張りダコの人気俳優だ。「世界一セクシーな男」という肩書について、「ちょっと恥ずかしいけど、光栄だよ」とはにかんだ彼はとにかく自然体。大好きなバイクの話になると生き生きと話し出すところがまるでティーンエイジャーのようで好感度アップ! とっても「イイやつ」なブラッドリーの活躍に今年も期待したい。

映画『世界にひとつのプレイブック』は全国公開中

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