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柴咲コウ×真木よう子×寺島しのぶ
『すーちゃん まいちゃん さわ子さん』
みんな少しずつ傷ついている
『すーちゃん まいちゃん さわ子さん』柴咲コウ×真木よう子×寺島しのぶ 単独インタビュー

取材・文:浅見祥子 写真:高野広美

益田ミリによる4コマ漫画「すーちゃん」シリーズを映画化した『すーちゃん まいちゃん さわ子さん』は、恋に仕事に迷う女性たちの現実をリアルに、そして温かく描いた作品。自分の世界をきっちり持ちつつ恋には臆病なカフェ店員のすーちゃん、上司や部下の心ない言葉と戦う一方で妻子ある男との不毛な恋愛に悩む会社員のまいちゃん、祖母の介護で恋とは無縁の日々を送っていたウェブデザイナーのさわ子さん……。それぞれを演じた柴咲コウ、真木よう子、寺島しのぶの三人が、役柄を通して感じたことを語り、ガールズトークを繰り広げた。

■柴咲コウ&真木よう子&寺島しのぶの豪華初共演

Q:お三方とも初顔合わせということで、会う前のイメージと、初めて会ったときの印象では、何か違いがありましたか?

柴咲コウ(以下、柴咲):お二人とも、事前に思い描いていたイメージと初めて会ったときの印象はほとんど同じでした。自立していて、キチっと自分の意見を言う方だなって。

真木よう子(以下、真木):わたしも。お会いする前後でイメージにギャップがなくて……。

寺島しのぶ(以下、寺島):わたしも同じ!

柴咲:それに撮影では、無駄な気遣いは要らず、するんとその世界に入っていくことができました。お二人のおかげで、とても楽に撮影を進めることができたのかもしれません。

真木:わたしもそうでした。現場にいる間は、柴咲さん、寺島さんではなく、すーちゃん、さわ子さんだったので、すごくやりやすかったです。

寺島:三人がそろうシーンはあまりなかったんですけど、三人でさわ子さんの家で鍋会をするシーンの撮影は、本当に楽しかった。

■きちっと“今”を捉えた原作

Q:原作はどのタイミングで読まれましたか?

真木:お話をいただいてから読みました。漫画は好きなのですが、これは読んでいなくて。読んでみたら、味わったことのない新しい面白さを感じて、とても好きな漫画になりました。

柴咲:わたしも楽しかったです。今を生きている人を捉え、それをきちっと描いているなと。素直に女性が抱える不安や葛藤が描かれていたので、本当に共感しました。

Q:それぞれのキャラクターが、心の中でこっそり毒を吐くのがいいですよね!

柴咲:女性って、どこか頭の中で毒を吐いていたりすると思うんですよ! 自分の頭の中が全て外に漏れていたら悲惨なくらい。だから、ああ見えて彼女たちの毒は、まだかわいらしいものなのかもしれません。でも、この物語には、そういった女性たちの毒の部分が、表面より一歩踏み込んだところまで描かれているので、そこがいいのかなと思いました。

寺島:実はわたし、原作を読んでいないんです。原作はどの作品もあまり読みません。人間が演じるのだから漫画の通りにはならないし、撮影後に読もうと思います。

柴咲:わたしも読みやすかったから読めてしまったという感じですよ! でも今回、原作に縛られることもなく、お芝居することもできました。

■共感を呼ぶ登場人物たち

Q:それでは、それぞれが演じたキャラクターについてお話を聞かせてください。すーちゃんは、自分の世界をきっちり持ち、変わらないでいられる道を選択する人に見えました。

柴咲:わたしは、すーちゃんが変わっていく可能性もあると思っています。仕事でも責任が増していく中で、新たなエッセンスが彼女の人生に運ばれてくるはず。そうしたささやかな積み重ねが大きな変化につながることだってあるのだから。特にすーちゃんは、恋愛に関してはかなり受け身だけど、それだって新たな出会いも経て変わっていくんじゃないかなあ? という希望を持っています。

Q:さわ子さんは、久しぶりに出会った恋愛対象の男性に言われるセリフが、あまりに現実的で衝撃でした。

寺島:でも、そういう現実的なことに踏み込んでくる男性って多いんじゃないかって思いました。それを聞いて、「はい、さようなら!」と言うか、従うかは、その男性への愛の大きさにもよると思うんです。さわ子さんの好きになった人は、ちょっと情けなかったですけど……。

Q:キャリアウーマンだったまいちゃんは、変化を選びつつ、その変化に戸惑っている姿が印象的でした。

真木:わたしは、こういうことを考え、迷う人もいるんだなと新鮮に思いながらまいちゃんを演じていましたね。

寺島:この映画には、結婚、出産といった女性の人生の大きな転換も描かれていますが、それって、女性の生活のプライオリティーを何もかも変える選択ですからね! それ以前は自分の好きなことができていても、子どもが生まれれば、子ども中心の生活になって、子どものスケジュールに親が合わせていくことになりますから、戸惑うのも当然かもしれません。

真木:でも実際には、そういうことを考えている暇はないのかもしれないとも思いますね。

■結婚・出産という経験がもたらすもの

Q:これから結婚や出産を経験するかもしれない柴咲さんに、何かアドバイスはありますか?

寺島:アドバイスって、何か悩んでいる人にするものだと思うんです。でも、彼女は今、輝いていて、自分の時間を大切にしていて楽しそうで、すてきだなって思う。今自分がやるべきことをしっかりと持っているように見えて、それはそれでうらやましいです。小さい子どもを持つ今のわたしにはできないことだもん。

真木:わたしも、寺島さんの言う通りだと思います。結婚も出産も、無理してすることじゃないだろうし。

柴咲:やだ、絶対そんなの(笑)。でも、その質問自体が不思議です。女性の幸せはそこにあるという考えが透けて見える気がして。結婚のタイミングや適齢期って、人それぞれだと思うんです。でも「平均は何歳」とか言われて、みんながしているからってあせってきたりする。それが世間の良識になっていることが、その質問の裏側に見える気がして。そういう社会がちょっと……疎ましいです(笑)。

Q:すみません!

柴咲:いやいや(笑)。

寺島:でもそれが、この映画のバックボーンだよね。

柴咲:そう。誰だって敏感なところがあるから、面と向かって言われなくてもそれを体で感じて、少しずつ傷ついている。そういうことが、この映画に描かれている気がします。だからみんなには、まず心の声を聞いてほしい。本当に今それを選択したいの? あせらされているだけじゃない!? って。

柴咲コウ、真木よう子、寺島しのぶ、三者三様の華やかさを身にまとった三人が現れた途端、取材の場となったホテルの一室が、ぱっと華やいだ。そして、そんな雰囲気とは裏腹に、話し出すとしっかりと芯の通った言葉を返してくる三人。あいまいな質問はスパッと一刀両断にされてしまうほどに。傷ついた3人の女性たちが懸命に毎日を過ごしていく姿が女性たちの共感を呼ぶ『すーちゃん まいちゃん さわ子さん』。映画を観ているときは、自分もすーちゃん、まいちゃん、さわ子さんのように静かに傷付いている側だと思っていたが、インタビューを通して、同時に傷付ける側でもあることに気付かされた。

(C) 2012 映画『すーちゃん まいちゃん さわ子さん』製作委員会

映画『すーちゃん まいちゃん さわ子さん』は3月2日より全国公開

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