シネマトゥデイ

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ロバート・デ・ニーロ
『マラヴィータ』
クレイジーな一面を引き出せるからマフィア役は面白い
『マラヴィータ』ロバート・デ・ニーロ 単独インタビュー

取材・文:シネマトゥデイ編集部・森田真帆 撮影:奥山智明

元大物マフィアの一家と殺し屋たちの壮絶な戦いを、マーティン・スコセッシ製作総指揮の下、リュック・ベッソン監督が描いたクライムコメディー。FBIの証人保護プログラムを適用されてフランスに身を隠すことになりながらも、事あるごとに昔の血が騒ぎ、凶暴性を発揮してしまう元大物マフィア・フレッドをブラックユーモアたっぷりに演じたロバート・デ・ニーロが、マフィア役の魅力、そして映画への思いを語った。

■作品選びの決め手は、一に脚本、二に監督!

Q:怖くて面白くて、とても楽しい映画になりましたね! 撮影はいかがでしたか?

最高に楽しかったよ。リュック(・ベッソン監督)は本当に賢くて、素晴らしい監督だからね。原作と脚本を読んですぐに演じたいと思ったから、撮影が待ち遠しかった。その当時はまだ、リュックはプロデューサーだけをする予定だったんだ。随分と監督を探していたんだけど見つからなくてね。最終的に、長年の友でもあるマーティン(・スコセッシ)が製作総指揮を務め、リュックが監督することに決まった。最高にうれしいニュースだったし、彼らと一緒に仕事ができたことは一番の喜びだった。

Q:あなたの出演作は、新人監督のものからベテラン監督のものまで実にさまざまです。たくさんの脚本が届くと思いますが、その中から出演する作品をどのように決めていらっしゃるのですか?

たくさん脚本が届いていると思う? 僕もたくさん届くのならもちろんうれしいけれど、そんなにたくさんではないんだよ(笑)。出演する映画を選ぶときに一番大切にしているのは、脚本を読んだときの面白さだ。それから監督だね。マーティンはもちろん、映画『世界にひとつのプレイブック』のデヴィッド・O・ラッセル。興味を持っている監督たちとの仕事はいつも楽しいから。脚本と監督が良ければ、自分が主役なのかそうでないのかということには全くこだわらないんだ。たとえルーキーの監督でも、脚本が面白ければ「現場に行くよ」と返事をするようにしているよ。

■デ・ニーロ流「ファック!」の表現は無限?

Q:この映画は一般的なマフィア映画と違って、思わず笑ってしまうようなシーンがたくさんありましたね。

原作から脚本になった時点で、この映画にはリュックならではのユーモアがたくさん詰まったものになっていた。だからこそ、リュックが「今、監督を探している」と言ったときにとても心配になったんだ。あのユーモアは、リュックしか演出できないと思っていたからね。とても見つからないだろうと思っていたよ。バイオレンスの中に、思わず笑ってしまう要素をミックスできたのは、全てリュックのおかげだと思っている。

Q:ミシェル・ファイファーふんする妻マギーとの掛け合いも最高でした!

ミシェルと夫婦を演じられたことは、とても幸せだった。この年になって夫婦のラブシーンを演じるとは思っていなかったけどね(笑)。マギーのタフさというのは、男にとってすごく刺激的だろうね。日本の女性はとてもおしとやかだと思うけれど、時代が変わるにつれて、ああいうタフな女性はきっと増えていくんじゃないかな? 僕は、犯罪行為は困るけれど、ああいう奥さん嫌いじゃないよ。

Q:映画にもありましたが、あなたほど「ファック!」という一言のセリフでいろいろな感情を表現できる人はいないんじゃないでしょうか? おいしいときの「ファック!」や怒り狂ったときの「ファック!」など、一体何パターンあるのでしょう?

うーん、15パターンぐらいかな(笑)。一つ、二つ……数え出したら切りがないね。リュックも随分と面白がって、いろんなパターンをやらせたんだ。フレッドの怒りが最高潮に達したときに言う「ファック!」ってシーンは楽しかった! でも、日本の皆さんはあまりこの言葉をまねしないように、気を付けて! って警告しておかないといけないね。

■マフィア役の醍醐味(だいごみ)とは?

Q:映画『グッドフェローズ』についてフレッドが語るエピソードがとても面白かったです。あれは実話なのでしょうか?

あれはウソだよ。原作では、あそこまで細かく語っていないんだ。でも、せっかく『グッドフェローズ』を語るシーンなんだからってことで、リュックと二人でああいうエピソードを考え付いてね。一人の俳優を指して、「あいつは本物だ」って言ったら面白いんじゃないかなって作ったセリフなんだよ。

Q:あなたが徹底した役づくりを行う人だということは広く知られています。マフィアを演じる前には、実際にマフィアと交流したりするのですか?

マフィアを演じたことは何度もあるけれど、彼らと食事をしたことは一度もないよ(笑)。でもマフィアのリサーチは、ニューヨークにいれば簡単にできるんだ。どのエリアに行けばマフィアがいるかわかっているからね。だからわざと彼らがたむろするようなレストランにこっそり行ったことはある。それにマフィアを演じるときは、有名なマフィアの映像を観たり、文献を数多く読んだりすることが多いよ。ただ映画『グッドフェローズ』のときは、モデルにもなったヘンリー・ヒルとよく話をした。現場でアドバイスが必要になったときに彼と電話で話したりしたんだけど、僕自身は番号を知らなくて、スタッフがどこからともなく彼につないでくれたんだ。あのときは「こんな演技を入れようと思うけど、それはマフィアから見て自然かな?」とか、そういう演技プランのことを話したね。

Q:これまでいろいろな役柄を演じられてきましたが、特にマフィアを演じる楽しさはどういうところにありますか?

この映画で『グッドフェローズ』のことを随分と思い出したんだけど、やっぱり自分のクレイジーな部分を引き出せるところかな。それでいうと、リュックは役者の心の内側にあるものを引っ張り出すことがとても上手だから、今回も楽しく演じることができたよ。

■デ・ニーロ70歳の意外な目標!

Q:役者として今の目標は何かありますか?

人生の目標は、年齢に応じてどんどん変わっていくものだろ? 今の目標は……、そうだな。最近は随分父親を演じることが多くなってきたから、次はおじいちゃん、ひいおじいちゃん、できることならひいひいおじいちゃんぐらいも演じることができればいいなと思っているよ(笑)。

Q:息子役のジョン・ディレオもそうですが、若い世代の役者と共演するとき、どんなアドバイスをするんですか?

若い役者にアドバイスするのはすごく好きだ。彼らが壁にぶち当たったときの助けになればいいなといつも思っているよ。若いときは、ただただその困難に耐え抜かなければいけないときもある。でも自分で思い悩んで無駄な時間を過ごすよりは、誰かのアドバイスを聞いて、話をすることの方が大事なんだってことは確かだと思う。だから迷ったときは臆せず周りの人間に助けてもらいなさいって言っているよ。

取材当日の明け方に日本に到着したにもかかわらず、疲れを一切見せずに鼻歌を歌いながら取材に応じるデ・ニーロはとにかくチャーミング! 日本で起きた東日本大震災に触れ、「ニューヨークでもテロという悲劇で多くの人が悲しんだけれど、映画は人に生きる力を与える特別なパワーがあるんだよ」と語って最後に浮かべた笑顔がとても優しく印象的だった。70歳のデ・ニーロはいまだ演技を心底愛し、映画の力を誰よりも信じている。スクリーンで縦横無尽に暴れ回るデ・ニーロの姿から、熱いエネルギーを思い切り感じてもらいたい。

(C) EUROPACORO - TF1 FILMS PRODUCTION - GRIVE PRODUCTIONS Photo:Jessica Forde

映画『マラヴィータ』は11月15日よりTOHOシネマズ有楽座ほかにて全国公開

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