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玉木宏
『すべては君に逢えたから』
キャリアの出発点として思い入れのある場所
『すべては君に逢えたから』玉木宏 単独インタビュー

取材・文:那須千里 撮影:高野広美

クリスマスの東京駅を舞台にしたロマンチックなラブストーリーが登場。遠距離恋愛の恋人同士、余命わずかな父親とその家族、約50年の時を経て完結する大恋愛まで、6本のエピソードが、クリスマスという特別な一日のもと展開する。メインの舞台は2014年に開業100周年を迎える東京駅! 中でも本編の最初と最後を飾る「イヴの恋人」編で、若くして成功した敏腕社長の和樹を演じたのが玉木宏。クリスマスの思い出やコアな映画の好みからうかがえた、その意外な素顔とは?

■感情はできるだけストレートに

Q:本作にはラブストーリーだけでなくさまざまなクリスマスが登場しますが、「イヴの恋人」は全編を代表するような、最もオーソドックスな柱となるエピソードでした。

このエピソードはどちらかというとラブストーリーが始まるまでの物語だと思うんです。僕の演じた和樹と高梨臨さんの演じた玲子という、一組の男女が出逢って恋愛が始まるまでの時間が描かれています。二人が最初に顔を合わせたときの印象は良くないのですが、その後再会を繰り返して、最後に意外な事実が判明します。そのときに、やっと自分のことを理解してくれる人が見つかったという思いが、和樹の心を動かして背中を押したんだと思います。

Q:仕事ができてリッチなセレブである一方、女性には偏見を持っている和樹という役を演じるに当たって気を付けたことは?

この映画は6つのストーリーがそれぞれ交錯していくので、一つのストーリーの中でその役柄をじっくりと見せるのではなく、僕の役の登場シーンも要所要所で断片的なんですね。だから限られた情報からでも観ている人が和樹という人間をイメージしやすいように、仕事への厳しい姿勢や玲子へのおわびの気持ち、彼女にだまされた怒りや真実に気付いたときの喜びまで、一つ一つのシーンで彼の感情をストレートに見せることにこだわりました。そこは監督とも話し合って演じましたね。

■下積み時代はクリスマスもアルバイト!

Q:2012年に「復原」が完了した東京駅の新しい駅舎がキースポットとなっていますね。

僕が18歳で地元の名古屋から上京してきて、東海道新幹線で着いて初めて降り立ったのが、東京駅だったんです。当時はまだ品川駅には停車しなかったんですよね。そのとき住んだ部屋は東京駅からバスで一本のところにあって、劇中の玲子が実家に帰ろうと並んでいる高速バスのターミナルの辺りも通っていました。だから個人的にもこの仕事の出発点として思い入れのある場所なんです。

Q:玲子はアルバイトをしながら役者を目指す劇団員ですが、玉木さんご自身は下積み時代はどんなクリスマスを過ごしていましたか?

その頃はレストランとコンビニのバイトを昼と夜で掛け持ちしながらオーディションを受ける日々で、クリスマスももちろん例外ではありませんでした。当然デートでおしゃれなレストランに行くということもなく……。自分はむしろそういう人たちに食事をサービスする側だったので、働いていた思い出しかないですね(笑)。

■初デートで観る映画の基準は?

Q:今までのクリスマスのプレゼントで心に残っているものはありますか?

小学4年生のとき、地元にファストフードのお店が初めてできたんです。その年のクリスマスに自分で一つ210円のチキンを買って家族にプレゼントしたことがあります。毎月のお小遣いが500円だったので、それを貯めて家族4人分を買いました。

Q:小学生なのに!? 子どもの頃は自分が欲しいもので頭がいっぱいになりそうなものですが……!

どうしてだったんでしょうねえ(笑)。子ども心に何かプレゼントをしたいと思ったのかもしれません。

Q:クリスマスに初めてのデートで女性と観に行くとしたら、どんな映画を選びますか?

あまりラブストーリーを観に行った記憶はないんですよね。そういうときに自分が観たいものを選ぶという感覚はないかもしれません。それよりも相手の好みに合わせて考えると思います。クリスマスに観たい映画も、相手が変わればジャンルそのものまで変わってきますよね。もし結婚して子どもが生まれたら、やっぱり子どもと一緒に家族で観られるものという基準で選ぶと思います。

■好きな監督はポン・ジュノに園子温

Q:和樹の趣味はDVD鑑賞ですが、プライベートではどんな映画を観ますか?

俳優という職業柄、どうしても純粋な趣味として楽しむことができないんですよね。常に「勉強」している感じがあるんです。やっぱり芝居を意識して観ますし、「このシーンをワンカットで撮るのはどれだけ大変だろう!」などと考えてしまって……。和樹のように映画に「泣ける」とか「笑える」ということを求めたり、観て感動したいと思うわけでもないんです。感動という意味では、映画よりも大自然を見たときの方があるかもしれません。

Q:では映画には何を求めますか?

観る人に強烈なメッセージを投げ掛ける作品には惹(ひ)かれますね。人間の本質的な部分が描かれている……例えば人をあやめるシーンでも、芝居であって芝居じゃないような生々しいリアル感で描かれているものが好きです。

Q:監督で言うと例えば?

ポン・ジュノやラリー・クラーク、園子温監督の作品です。ちょっとハードな作風なので、女性にはお薦めしにくいですね(笑)。

Q:今回の役は、リアルな生々しさとはまた違うタイプのアプローチを求められるキャラクターだったと思います。玉木さんご自身には和樹はどんな人間に見えましたか?

彼は孤独だったと思うんです。社長という立場上、素の自分を見せたり、胸の内をさらけ出して相談できる相手が周りにはいないんだと思います。その閉じた心を開いてくれたのが玲子だったと。だから和樹が玲子と出逢って受け取った何よりのクリスマスプレゼントは、「ぬくもり」だったのではないかと思っています。

抜群のスタイルと優雅なポージングで、インタビューでの撮影現場の空気を終始リードしていた玉木。自宅でのDVDの鑑賞も好きだといい、一癖も二癖もある国内外の監督名が次々と飛び出すほどの映画好き。その口調には演じることに対する強い向上心とストイックな姿勢がにじむ。これまでにもコミカルなものからシリアスなものまで広い演技の幅を見せてきた彼が、さらに新しい役と出逢ったときに見せてくれるであろう、新しい顔が楽しみでならない。

映画『すべては君に逢えたから』は、11月22日より新宿ピカデリーほか全国にて公開

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