シネマトゥデイ

シネマトゥデイ
ヘレン・ミレン&イ・ビョンホン
『REDリターンズ』
言葉ではなく本能的につながり合えた
『REDリターンズ』ヘレン・ミレン&イ・ビョンホン 単独インタビュー

取材・文:須永貴子 撮影:高野広美

CIAを引退した伝説のスパイチーム、コードネーム:RED。その意味は、Retired Extremely Dangerous(=引退した超危険人物)。ブルース・ウィリスをはじめ、そんな彼らの活躍が痛快な『RED/レッド』は日本でも2011年にヒットを記録。その続編『REDリターンズ』でMI6の元スパイ・ヴィクトリアを演じたヘレン・ミレンと、世界最強の殺し屋ハンを演じたイ・ビョンホンが魅力を語り合った。

■レジェンドとの共演は忘れられない

Q:かっこよくて、笑えて、そしてエレガント。最高の続編でした!

ヘレン・ミレン(以下、ヘレン):ありがとう。

Q:続編のオファーが来たときの率直な心境はいかがでした?

ヘレン:『RED/レッド』の撮影がとても楽しかったから、前作に関わっていた人たちは誰もが興奮したわ。またみんなで集まって映画を作るというのは素晴らしいアイデアよね。ブルース(・ウィリス)は俳優としてはもちろん、人間としても心が広くて素晴らしいの。大スターのような振る舞いをせず、みんなを温かく迎えて楽しませてくれたわ。

イ・ビョンホン(以下、ビョンホン):僕は『RED/レッド』の大ファンだったので、お話をいただいたときはワクワクしました。ただ、アメリカ的なコミカルな作品に自分が溶け込めるだろうか、もしも自分が浮いてしまったらどうしよう……という心配がありました。でも、素晴らしい経歴の先輩方が温かく迎え入れてくれたおかげで、無事に撮影を終えることができました。韓国では自分が最年長の現場に慣れていたこともあり、僕にとってレジェンドたちと一緒に時間を過ごすことができたこの仕事は、一生忘れられません。

Q:お互いにどんな印象を抱いていましたか?

ビョンホン:僕はヘレン・ミレンさんの作品を観て育ったようなものなので、ずっと尊敬してやまない女優さんです。彼女は冷たく、強く、強烈なキャラクターの女性を演じることが多かったですが、実際にお会いして感じたのは、言葉では言い尽くせない内面の美しさです。彼女に会った人で彼女に惚(ほ)れない人はいません。お話するたびに魅力を感じます。

ヘレン:欧米でも韓国映画は人気ですし、愛されています。韓国映画の強い伝統の中に生きる素晴らしい大スターであるビョンホンと会うまでは臆してしまったわ。

ビョンホン:まさかあなたが!?

ヘレン:本当よ。共演シーンでは割と長い時間を共有することがわかっていたので、「いったいどうなるかしら?」と思ったけれど、実際に会ってみると、ある直感的なつながりをすぐに感じることができました。これは彼に言ったことがないから初耳でしょうし、しかもこんな公の場所で言っちゃって恥ずかしいんだけれど(笑)。

ビョンホン:(笑)。

ヘレン:彼と一緒にいることがとても心地よかったの。わたしは韓国語を全く話せないし、彼の英語も完璧ではない。わたしたちは人間が持つ本能的な理解に頼らなければいけなかったのだけど、何か不思議なつながりがわたしたちの間にはあるということをいつも感じていたわ。だから彼と現場で一緒の時間を過ごすことが楽しみだったの。もしかしたら、パラレルワールドで通じ合っていたこともあるかもしれないって思うほどのつながりを感じたわ。

■エピソード満載の共演シーン

Q:二人の共演シーンといえば、青いスポーツカーをハンが運転し、ヴィクトリアが拳銃を撃ちまくるシーンが最高です!

ヘレン:さっき彼と話していて思い出したことがあるの。あくまでも技術的な制約から、わたしはハンがズボンのおなかあたりに入れておいた拳銃を抜き取らなければいけなかったの。

ビョンホン:(笑)。

ヘレン:なぜなら彼は運転していて、車が猛スピードで動いているから、膝の上に置いておくと落ちてしまう。だからハンはズボンの中に拳銃を挟んでおいたのよ(笑)。それをヴィクトリアが抜き取って、撃ちまくる。わたしは間違ったところを握ってしまわないように、正確に狙わなければいけなかったの(笑)。

ビョンホン:アハハハハ(笑)。あのシーンで僕が思い出深いのは待ち時間です。実はあのシーンを撮るまで、なかなかゆっくりお話をする時間がなかったんですが、このシーンの撮影時は車の中で待ち時間が割とあったんです。そこでますますミレンさんのことを知り、仲良くなることができたと思います。一つ、とても記憶に残っているのはこんな会話です。「旅行先ではどんなところに行くの?」と聞かれたので「帽子が好きだから帽子屋に行きます」と答えました。するとミレンさんが「わたしは初めて行った国では、どんなに安いものでもいいから、のみの市などで絵を買うの。そうして世界各国の絵を集めているの。おすすめよ」とおっしゃったんです。これはいいアイデアだと思いましたし、このお話で彼女の人となりや何を大事にしているかがわかった気がします。

ヘレン:映画に出演するたびに、世界各地に行くことができる。その土地土地で小さな絵画を買うことで、すてきな思い出を記憶にとどめることができるの。うちには買い集めた小さな絵を壁一面に飾った部屋があるの。すごくいい思い出よ。わたしよりもはるかに若いビョンホンはこれから世界のいろいろな場所に行くことになるでしょうから、思い出をたくさん持ち帰ってほしいわ。

ビョンホン:絵を持ち帰っても、あなたのように大きな家ではないので、全部飾る壁がうちにはないのが問題ですが(笑)。

■ビョンホンのコメディーセンスに脱帽

Q:ミレンさんが演じるヴィクトリアが腹ばいでライフルを撃つシーンで、恋人のアイヴァンから「引き金を引くたびに爪の先がちょっと曲がるところがキュートだ」と言われるシーンもいいですよね。キャラクターでもご本人でもいいので、お互いにキュートだと思う部分を教えてください。

ビョンホン:ヴィクトリアは世界で一番恐ろしい元スパイ。ハンは世界一の殺し屋。二人は意識し合っていますから、当然けん制し合います。それが成り行きで一つのチームにならなければいけなくなった。青い車に一緒に乗るときに、ヴィクトリアがハンに「あなた運転できるの?」とちゃかします。ハンはいら立って「銃をちゃんと撃てるのか?」と切り返す。あのやりとりはちょっと痴話ゲンカのようでかわいいなと思います。あれは監督が現場でせりふを変えたんですが、ミレンさんの勝ち気な感じがすごくかわいかったですね。あと、恋人のアイヴァンと会うシーンでのヴィクトリアも本当にセクシーでキュートです。

ヘレン:現実世界と映画で起きることは、時としてパラレルになるの。ヴィクトリアとハンは、最初は文化の違いや育った国が違うことによってお互いを完全には理解できないけれど、お互いを受け入れ尊敬し合わないといけない。それは、わたしとビョンホンが経験したことでもあるの。文化背景が違うとわかっているとはいえ、愚かだと思われたらどうしようとか、彼の発言の意図を理解しないままコミュニケーションが行き違ってしまったらどうしようと不安だったけれど、短い時間に自然にお互いを理解することができました。それは彼の人間性のおかげ。すごく心が広くて、他者を支えることを惜しまない。何よりも彼は素晴らしい役者です。彼はこの作品で、母国語ではない英語で演技をしています。その難しさはわたしもよく知っています。そして何といってもコメディーですからね。

ビョンホン:とても難しかったです。コメディーはその国の文化に基づいて作られているから、俳優にとって母国以外の国でコメディーをやるというのは実は最も難しいことの一つです。その点については監督と事前にみっちり話し合いをして、僕がさまざまなパターンを演じ、それを監督が編集の際にチョイスすることになりました。

ヘレン:あなたのせりふのタイミングの計り方は素晴らしかったわ。

ビョンホン:褒めすぎです(笑)。

ヘレン:だって本当のことだもの。それにあなたは普段からとてもユーモアがある。生来のコメディアンだと思うわ。あなたの語り口には、コメディーのタイミングを感じるの。

ビョンホン:ありがとうございます。

ヘレン:二人だけでお芝居する映画をやりたいわね。きっと楽しいわよ。

ビョンホン:韓国映画でぜひやりましょう。

ヘレン:わたしの次の仕事は韓国語への挑戦ね(笑)。ぜひ実現しましょう!

カメラマンから「見つめ合ってください」といったリクエストを受けるたびに「Easy!(おやすいご用よ)」とユーモラスに応じるヘレン・ミレン。Dameの称号を冠された大女優だけに、笑顔と単語一つで場の空気を和ませるのはさすが。撮影終了後も、「あ、この感じでもう一枚撮ってくれない?」とビョンホンとの2ショットをリクエスト。お互いへの尊敬と愛情に満ちたインタビューでは、ヘレンの発言に真剣に耳を傾け、英語でリアクションするビョンホンが印象的だった。

映画『REDリターンズ』は全国公開中

[PR]

この記事を共有する

映画アクセスランキング
  • Loading...
»もっとランキングを見る«
スポンサード リンク
スポンサード リンク