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小栗旬
『映画ドラえもん 新・のび太の大魔境 ~ペコと5人の探検隊~』
最後にクレジットを見て驚いてくれたらうれしい
『映画ドラえもん 新・のび太の大魔境 ~ペコと5人の探検隊~』小栗旬 単独インタビュー

取材・文:進藤良彦 撮影:近藤誠司

春休み恒例の『映画ドラえもん』シリーズ。原作者の藤子・F・不二雄生誕80周年記念作品となる最新作は、1982年公開の『のび太の大魔境』のリメイク版『映画ドラえもん 新・のび太の大魔境 ~ペコと5人の探検隊~』。夏休みに地球最後の秘境を探してアフリカ奥地のバウワンコ王国までやって来たのび太たちの冒険を描く本作に、のび太を追い詰める剣の名手・サベール役で、小栗旬が声優として出演。以前から『ドラえもん』の大ファンで、中でも旧作の『のび太の大魔境』が一番好きな作品だという小栗が、その思いを語った。

■『のび太の大魔境』のセリフを全部憶えていた!?

Q:小栗さんは、一昨年の『映画ドラえもん のび太と奇跡の島 ~アニマル アドベンチャー~』にも参加されていますけれども、その時はワンポイントのゲスト出演でしたね。

そうです。“甘栗旬”という人気アイドルの役で(笑)。テレビアニメにも出させてもらったので、今回のお話をいただいた時も最初は「また甘栗旬ですか?」って思ったんですけど、マネージャーが「今回はちゃんと役があります」と(笑)。しかも『のび太の大魔境』のリメイクだと聞いて、さらにびっくりしました。

Q:『ドラえもん』の映画の中で『のび太の大魔境』が一番好きだということを、小栗さんは以前からおっしゃっていたようですけれども、『のび太の大魔境』は小栗さんが生まれた1982年に公開された作品ですよね?

はい。もちろんビデオで観たんですけど、『ドラえもん』に限らず、もともと僕がアニメーションを好きになったのは、ほとんどが6歳年上の兄貴の影響なんです。兄貴は漫画やアニメが好きで、しかもその中身を分析するのが大好きな人だったんですね。このアニメはこういうところがこんなふうに秀逸だから面白いんだ、みたいなことを、僕に一生懸命教えてくれる。そして、自分が面白いと思ったものを「旬、これは観たほうがいいぞ」って薦めるわけです。兄貴は『のび太の魔界大冒険』が大好きなんですけど、それも兄貴がビデオを借りてきてくれて一緒に何度も観ましたね。

Q:そんな中で『のび太の大魔境』が特に好きだというのは、何か理由があるんですか?

これは本当にたまたまなんですけど、ちょうど『のび太の大魔境』のビデオを借りていた時に、ウチが家族でよく通っていたレンタルビデオショップが潰れてしまったんですよ。それで返すことができなくて、それからずっと『のび太の大魔境』のビデオが家にあったんです。風邪ひいて寝込んだ時とか、繰り返し何度も何度も『のび太の大魔境』を観ていて、それこそ子どものころは全てのセリフをそらんじることができるくらいにまでなっていたんですよね。

Q:なるほど。そういう体験があると、どこが好きとかいう理屈じゃなくなりますよね(笑)。

そうなんですよ、本当に。前に“甘栗旬”で出させてもらった時にも『のび太の大魔境』が一番好きだという話をしていたので、スタッフの方がそれを覚えていてくれて、今回、声を掛けてくださったのかなあ、と思います。

■『ドラえもん』に参加できるのはシビれる体験

Q:それほどの思い入れがある『のび太の大魔境』の新作に出演するというのは、どんなお気持ちでしたか?

それはもう、光栄でした。『ドラえもん』という作品自体、日本中で知らない人はいないというくらいすごいものですし、“甘栗旬”の時ですら、こんなにも全ての人に自慢できる仕事はないと思いましたから、本当にうれしかったですね。小学校に入る前から観ていた『ドラえもん』の世界に自分が入り込んで、そこでしゃべっているのって、やっぱりシビれますよ(笑)。しかも今回は、サベールという悪役のポジションで参加できることが、なおさらうれしかったというか。悪役やってみたいなって、ちょうど思っていたところだったんです。

Q:サベールを演じるにあたって、特に意識されたことはありましたか?

あまり、わかりやすく悪役っぽい感じにはしないほうがいいかなと最初は思っていたんですけど、いざ録音スタジオに入ったら、テストを聞いた音響監督の方が「もう少し、悪い男の感じを入れましょう」と。僕の中では、自分の声じゃないような聞こえ方をしたらいいなというのがあって、ちょっと低く声を出すことを意識していたんですけど、この前にやった『キャプテンハーロック』との違いをどう出していくかも悩んだところです。何とか差別化を図りつつも、僕の技術不足もあって、どうしてもハーロックと同じようなトーンになってしまったと反省している部分もありますね。もともとサベールという人は、正義とか悪とかそういうことにはあまり興味がなくて、ひたすら剣の道に生きて、それを極めるために相手と剣を交えることが大切なんだと思っている人なんじゃないかなと、僕は思ったんです。だから、(大臣の)ダブランダーがバウワンコ王国を支配しようとして悪事をたくらんでいるのもわかっているんだけど、割とそこはどうでもいいと思っているんじゃないか、と。そのサベールが最後は一対一でのび太と戦うことになるというのが面白いですよね。映画を観たお客さんが小栗旬の声だと思わずに、最後にクレジットを見て驚いてくれたらいいなと思っています。

■アニメの声の仕事は断ったことがない!?

Q:同年代の俳優さんと比較しても、小栗さんは声の仕事が割と多いですよね?

そうかもしれないですね。基本的にアニメの声の仕事に関しては、ほとんど断っていないと思います。もちろん最初のころはすごくヘタクソだったし、実写の仕事とは求められるお芝居のタイプが全然違うので大変でしたけど、初めのころに出会った音響監督の方がすごく鍛えてくれる人だったので、いろんなことを相談しながらやっていったり、『鋼の錬金術師』の劇場版(『シャンバラを征く者』)で朴路(※王へんに路)美さんと共演した時に「超ウメーな」と思って、負けたくないという気持ちに火が付いたり。アニメに関しては本当にスケジュールが許す限り、オファーがあったものは全部やりたいんです。

Q:本数もさることながら、テレビの連続アニメで主役までやられている俳優さんって、そうそういないんじゃないでしょうか。

いないかもしれないですね(笑)。2010年に放送したテレビアニメ「RAINBOW 二舎六房の七人」なんて周りのキャストがすごい人たちばかりだったので、その人たちと毎週一緒にやっているというだけで常に興奮状態というか、本当に楽しかった。声の仕事を始めたころにすごくお世話になった音響監督の三間(雅文)さん、朴さん、あと高山みなみさんにもいろんなことを教わって、そういう人たちに褒められたいと思いながら、ずっとやっているところはありますね。いつかあの人たちに「良かったよ」と言わせたいというか。以前は声の仕事があっても、普段の小栗旬の声を求められることが多かったんですけど、最近はそうじゃなくて、色をつけられるようにもなってきたので、そこでもっといろいろ遊べたらいいなと思ったりしますね。

■待機中の実写版『ルパン三世』と連続ドラマ

Q:4月からは主演される連続ドラマ「BORDER 警視庁捜査一課殺人犯捜査第4係」もスタートしますね。

これは、金城一紀さんの脚本がとにかく面白くて、今のところ何の不安もない状態です。観てもらえさえすれば、文句なく面白いドラマになっていると思いますので、ぜひ多くの方に観ていただきたいです。

Q:その先、夏には『ルパン三世』の実写映画版の公開も控えていますよね。それこそ『ドラえもん』に負けないくらい、国民的作品の『ルパン三世』の世界に入り込んでルパンを演じているというのは、ものすごいことなんじゃないですか?

そうですね。『ルパン三世』は2か月ちょっとかけてタイで撮影したんですけど、何かあまりにも無我夢中で、ずっと夢を見ているような時間でした(笑)。日本でアクション映画を作るのはとても難しいチャレンジなんだということは常々実感していますけど、今回はタイで撮影する選択をしたことで、日本では実現不可能だったこともたくさんできたと思います。集まったチームの力は本当に素晴らしかったし、みんなが共有している『ルパン』の世界観に少しでも近づくことができる映画になっていればいいなと思っています。

小栗旬の発言からは、俳優がちょっと片手間に声の仕事もしています、というような空気はみじんも感じられない。やるからには声優の一人として参加し、声の芝居を認められたいのだという気持ちがひしひしと伝わってきた。本作ではサベールの出番はそれほど多くないが、だからこそ、その少ない登場場面で観る側の印象をさらっていくような、実写で言う性格俳優的な趣もある。悪役での出演を喜ぶ小栗も、どうやらその立ち位置を楽しんでいるようだった。

(C) 藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK2014

『映画ドラえもん 新・のび太の大魔境 ~ペコと5人の探検隊~』は全国公開中

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