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押井守監督&真野恵里菜
THE NEXT GENERATION パトレイバー/第1章
撮影現場が特車二課と完全シンクロ
『THE NEXT GENERATION パトレイバー』押井守監督&真野恵里菜 単独インタビュー

取材・文:永野寿彦 写真:金井尭子

1988年から、漫画、オリジナルビデオ、映画、小説とメディアミックスの展開によって、空前の大ヒットを記録した『機動警察パトレイバー』シリーズ。その生みの親の一人である押井守を総監督に迎え、長年うわさされてきた夢の実写化がついに実現。シリーズ全7章を4月より順次2週間限定劇場上映し、2015年ゴールデンウイークに長編劇場版を全国公開というビッグプロジェクトだ。今回、第1章(エピソード0&1)の劇場上映に合わせ、押井守監督と、ヒロインの泉野 明を演じる真野恵里菜が、撮影現場での苦労や本作への思いを語った。

■実写版のヒロイン、泉野 明を創造する難しさ

Q:泉野 明役をオファーされた時、どう思われました?

真野恵里菜(以下、真野):正直、びっくりしました。そもそも、わたしはアニメ版の『機動警察パトレイバー』を知らなかったので調べてみたんですよ。そうしたら自分が生まれる前に作られていて、今もなお根強く愛されている作品だということを知って、わたしで大丈夫かなって(笑)。でも、今回演じるのはアニメ版のヒロインの泉 野明(いずみ・のあ)ではなく、泉野 明(いずみの・あきら)という新しいキャラクター。アニメを観るとしゃべり方とか変に意識してしまうかなと思ったので、あえて観ずに臨みました。

Q:押井監督から見て、そんな真野さんの泉野 明はいかがでした?

押井守監督(以下、監督):最初はちょっと困ったなって思ったんですよ。

真野:えっ?

監督:意外と、アニメ版の泉 野明(いずみ・のあ)に似ちゃったなって(笑)。制服を着たら思っていたよりも似ちゃったから、どうやって変えようかなと。アニメ版と同じにしちゃうと意味ないから。風貌とか名前とかは何となく似ているけど、中身は全然違う「三代目」としてのキャラクターを確立しなければならない。はしゃいでいて明るいだけでなく、ちょっと不機嫌な感じとか、自己主張強めでもいけるかなとか、いろいろ考えていましたね。男のキャラクターの場合は割と迷わないんだけど、女の子の場合は難しいです(笑)。

■押井監督が苦戦したのは女性のキャラクター

Q:それは意外ですね。

監督:例えば、一番わからなかったのが非番になった時は何をして過ごしているのかということ。男の場合は想像がつくわけ。飲みに行くんだろうとかパチンコ行くんだろうとか。でも、女の子はわからない。だから真野さんにお任せという感じ(笑)。

真野:任せていただけるのはうれしいんですけど、不安になったこともありました(笑)。撮影に入って1か月ぐらいは、どうやって明になればいいんだろうって悩んでいたんですよ。明になれたのは、スタッフや共演者の方々、皆さんのおかげです。自分の中でこれだって見つけたのではなく、他のキャラクターの濃い隊員たちと過ごすことで、その中で自分がどういうふうにいればいいんだろうって考えるうちに、自然と明が出来上がっていったんだと思います。

Q:役者自身がキャラクターに影響を与えているわけですね。

監督:泉野 明に関して言えば、真野恵里菜と別個ではあり得ないし、生活感覚みたいなものも端々に出てくる。物の持ち方一つにしても。そのあたりはスタッフもいろいろ考えてくれていて、例えばロッカールームも男性と女性では違うわけで、美術スタッフが意識して作ってくれました。

真野:オフィスのデスクもキャラクターごとに全然違うんですよ! 形からじゃないですけど、そういうディテールにはすごく助けられました。明はこういうモノが好きで、こういう色が好きなんだというのが、持ち物でわかったりするので。衣装にしても、普段は隊員服ですけど、非番の時に私服がちょっと映ったりすると、結構変わったTシャツを着ていたり。決しておしゃれとはいえないんですけど(笑)。明も普通の女の子なんだな、と親近感が湧きました。

■特車二課とシンクロしたハードな撮影現場

Q:撮影は全て終わったんですか?

真野:はい、劇場版も終わりました。

監督:とっとと終わらせないと、でかいセットとかレイバーとか、いつまでも取っておけないですから(笑)。

真野:去年の6月末にクランクインして、撮影自体は今年の1月いっぱいぐらいまで。わたしは12月には終わっていました。ほぼ毎日特車二課棟に通っていたので、職場みたいな感じでした(笑)。

Q:まるで特車二課そのものだったと?

監督:本当に二課に通っていたような感じだったよね。行ったら何時に帰れるかわからないし、待機していることが多いし(笑)。みんな同じものを食べているし、夏は暑いし、冬は寒い。その辺も似ている。特車二課にエアコンなんてないから。まさに、二課を地で行っていて、食べることぐらいしか楽しみがなかった(笑)。

真野:よく「今日のお昼は何だろう」とか話していましたよね。ケータリングだとすごくテンション上がって(笑)。

監督:制作部が頑張ってくれたんですよ。氷屋を開いたりとか。

真野:夏はカキ氷が大人気でしたね。

監督:そうやって四六時中、同じ場所で制服を着て一緒に過ごすのは役者さんも同じ。そういう人間関係の中で生まれてくるものが大きいわけで、それを見つけてあげるのが僕の仕事。こうしろああしろと指図するんじゃなくて、「今の感じがとっても良かった」と。隊員同士の距離感もそれぞれ違うから、それぞれの接し方からも発見がある。「演出する」というよりも「芝居を見つける」という感じでしたね。

■ここから始まる壮大なプロジェクト

Q:完成したエピソード0&1をご覧になってみていかがでした?

真野:客観的に観られないのが残念で。自分が出演しているのもあって自分の出演シーンにダメ出しをしながら観ちゃったり、懐かしいとかいう見え方になってしまうんですよ、どうしても。印象としては、カラフルな作品だと思いました。混じるとか淡くなるというよりは、パッパッパッと瞬間、瞬間で色が変わるので。もし、自分が出演していなかったとしても絶対観たいと思ったはずです。

Q:押井監督の手応えは?

監督:ほぼ狙い通りに撮れたと思います。多少実現できなかったこともあったんだけど、機動隊員2,000人とか(笑)。世の中に出たら半分は喜んでくれるだろうけれど半分はたたきにくると思う。それは、こういう作品の宿命だから覚悟は必要。やっぱりアニメの方が良かったっていう人は必ずいると思うから。でも、そう言いながらも見終わった時には「これはこれでなかなか面白い」と思ってもらえるような作品になっているはずです。

真野:取りあえず、まず1章を観ていただきたいですね。全てはここから始まるわけですから。

本シリーズの撮影にあたって、約半年間という長い期間を共に過ごした押井守監督と真野恵里菜。取材中も、千葉に作られたという特車二課棟のセットについての思い出話がついつい飛び出す。「二課棟ってどうなったんですか?」と心配そうに尋ねる真野に対し、「もうほぼバラしている」と答える押井監督の言葉から、まだここでは明かせない長編劇場版のクライマックスまで話が転がっていくことも。かつてのアニメ版を意識させながらも、実写映画という新しい形に仕上がった、新世代の『パトレイバー』に衝撃を受けること必至だ。

(C) 2014 「THE NEXT GENERATION -PATLABOR-」製作委員会

『THE NEXT GENERATION パトレイバー/第1章』は4月5日より公開

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