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佐々木蔵之介&深田恭子
『超高速!参勤交代』
映画の中で走ることを描くのには理由がある
『超高速!参勤交代』佐々木蔵之介&深田恭子 単独インタビュー

取材・文:進藤良彦 写真:岡本武志

徳川8代将軍・吉宗の時代、江戸幕府から突然「5日以内に参勤交代せよ!」との命令を受けた1万5,000石の弱小貧乏藩・磐城国湯長谷藩の藩士たちが、奇抜な発想でこの無理難題に挑む姿を描いた異色時代劇『超高速!参勤交代』。時間も金も人も限られた中、知恵と勇気で実現不可能な任務に挑戦する実直な侍たちの矜持(きょうじ)に胸が熱くなる。お人よしだが愛すべき主人公の藩主・内藤政醇を演じた佐々木蔵之介と、男たちの熱いドラマに華を添える紅一点、宿場町の飯盛り女・お咲を演じた深田恭子が、作品の舞台裏を語った。

■畳み掛けるように物語が進む疾走感

Q:“参勤交代”という言葉自体は教科書にも載っていますし、誰もが知っていると思うのですが、その実態はよくわかっていなかったんだなと、この映画を観て気付かされました。

佐々木蔵之介(以下、佐々木):中身まではやっぱり知らないですよね。

深田恭子(以下、深田):わたしも言葉は知っていましたけど、実際に参勤交代するためにはこんなにお金が掛かるんだとか、こんなに大勢の人が必要なんだって驚きました。

佐々木:お客さんにも、そんなふうに「知らなかった」って思ってもらえると楽しいのかなと思いますけどね。

Q:最初に出演依頼を受けた時には、率直にどんな印象を持たれましたか?

佐々木:何といっても、まずタイトルですよね。“超高速!”って、なんとポップでパンチの効いたユニークなタイトルだろう、と。シナリオもその印象の通り一気に読めて、畳み掛けるように物語が進んでいく疾走感が感じられました。

深田:周りの人に説明する時に、すごくわかりやすいタイトルでしたよね。「今、どんな映画やっているの?」って聞かれて「超高速で参勤交代をする話」って言うと、みんな納得してくれて(笑)。わかりやすいし、でも意外性もあって、みんなが楽しめる作品になりそうだなと思いました。

佐々木:すごく自由な時代劇だなと思えたんですよね。でも、決してドタバタではない。しっかりとした時代劇を、こんな自由な発想で作ることができるんだというのが、僕らも驚きでした。

Q:どんな作品になるのかは、すぐにイメージできましたか?

佐々木:「超高速」というくらいなんで、やっぱり走るわけじゃないですか。映画の中で走るという行為を描くのには必ず理由があるわけで、それは急いでいるとか誰かを助けたいとか逃げたいとか、何か心が動いているからこそ走る。映画にとってとても大事なことなんです。その疾走感と心の動き、それが全編にある映画になるだろうなと思いました。本木(克英)監督にも「できるだけ走るシーンを多くしましょうよ」みたいなことも言ったんですけど、実際に走るのも僕らなんで、それはそれで大変でしたけどね(笑)。

■藩士たちがチャーミングに見えるいわき弁

Q:題材からしてちょっと変化球的な作品かなと想像していたんですが、完成品を観ると、実はすごくまっとうな娯楽時代劇だなという印象を受けました。立ち回りのシーンも多くて、撮影は大変ではなかったですか?

佐々木:クライマックスの立ち回りは、相当な期間をかけて撮影しました。本来は弱小貧乏藩VS江戸幕府で、とても勝負にならないだろうというところなんですけれども、僕らは数は少なくても一人一人が武芸にたけている精鋭なんだ、侮るな、と。そこがお客さんのカタルシスでもあると思うので、殺陣師さんも本気でやりたかったとおっしゃっていました。藩士たちも二刀流、鑓、弓など、それぞれの武器というか得意技があってバラエティーに富んでいるし、監督は「そこまでやらなくても……」と言っていたんですけど(笑)、火も使い、水も使い、馬も爆破もと、ここぞとばかりに時代劇のアクション要素を詰め込みましたね。まずしっかりした物語があって、それをつないでいった先にクライマックスの大立ち回りがあるという、非常によくできている時代劇になったと思います。

Q:殺陣以外で、何か大変だったところはありましたか?

佐々木:時代劇って、武士の所作であったり言葉であったり、もともと芝居のハードルが高いんですけど、今回はそこにいわき弁が加わって、さらに難しくなりましたね。ただ、いわき弁のゆったりした感じが、むしろ僕らのキャラクター作りの力になったところもあったと思います。いわき弁指導の女優さんが常に撮影現場にいらして、非常に細かく指導してくださったし、ここでもっとニュアンスを込めたいという時には「じゃあ、もっと濃い目のいわき弁がありますよ」ってすぐにその場で教えてくれたりしたので、とても助かりました。いわき弁の人間味のある感じが、藩士たちをすごくチャーミングに見せてくれたんじゃないかと思います。

■大勢の立ち回りを目の前で見る恐怖

Q:深田さんはそういうせりふのご苦労はなかったですか?

深田:わたしが演じたお咲のせりふは方言ではなかったので、それはなかったですね。

佐々木:お咲がいるのは茨城の宿場町なので、本当は茨城なまりじゃなきゃいけないんだろうけど、それだとわかりにくいかなということになったんだよね。

深田:でもなまり以前に、お咲は非常に口が悪いというか、口汚い言葉をいっぱいしゃべる役なので、そちらのほうが難しかったです。戸惑うこともいっぱいあって(笑)。

Q:クライマックスの立ち回りには、深田さんも少しだけ参加されていますね。

深田:蔵之介さんの演じた政醇(まさあつ)さんの後ろで守ってもらっているだけですけど、その空間に自分がいるというだけで本当に怖くなってしまって(笑)、一歩も動くことができない感じでした。

佐々木:あれは怖いでしょ?

深田:怖かったです。殺陣って、わたしなんかには想像がつかない動きだったりしますし、全員が一斉に動くじゃないですか。一瞬の隙も無駄もなく、全部の殺陣が出来上がっているので、びっくりしました。なんて男らしくてかっこいいんだろうと思いましたけど、怖くてあんまり見られないんです。ちょっとでもぼんやりしていたら斬られてしまいそうで、こんなに速く動く人たちを見たことがないと思いました(笑)。

佐々木:でも、僕らは何度か稽古をして、立ち回りの段取りとか殺陣の順番を知っているからこそ、やれるわけです。それがわからないまま「後ろに隠れていなさい」と言われても、それは怖いですよ。よう頑張ったね。

深田:いえいえ(笑)。

■11年ぶりの共演

Q:ちなみに、お二人は過去に共演されたことはあるんですか?

佐々木:実は1回だけあるんです。「ハコイリムスメ!」というドラマで。

Q:深田さんと飯島直子さんが姉妹役で主演された2003年放送のテレビドラマですね。佐々木さんは1話だけゲスト出演されていますが、実際に深田さんとお芝居するシーンもあったんですか?

佐々木:いや、そんなになかったと思いますけどね……。その収録の日がたまたま2月14日で、深田さんがチョコレートをくれはったんです。後でみんなに「深田恭子にチョコレートもろた!」って言うて、自慢したんですよ(笑)。もちろん、みんなに配ってはったんですけど。

Q:深田さんは、その時の佐々木さんのことは覚えていらっしゃいますか?

深田:(苦笑い)

佐々木:覚えてへんやろ(笑)。

深田:でも今回、その時にチョコをお渡ししたことを言ってくださって、うれしいです。

Q:今回、一緒にお芝居されてみてのお互いの印象はいかがでしたか?

佐々木:僕はもうメロメロですねえ(笑)。

深田:(照れ笑い)

佐々木:普段の深田さんのこのおっとりした感じが、お芝居になると、キッと鋭い目になってたんか切ったりするわけですよ。そのギャップがたまらないですね。

Q:深田さんから見た佐々木さんはいかがでしたか?

深田:ずっと京都で撮影していたんですけど、蔵之介さんが京都出身でいらっしゃるので、すごくおもてなしをしてくださったり、現場でもたくさんお話をして、みんながやりやすい空気を作っていただいたので、とてもありがたかったです。ずっと頼りっぱなしでしたし、蔵之介さんのおかげで京都が大好きになりましたね。

佐々木:よく書いといてくださいよ(笑)。

まるで映画の中の藩主・政醇そのままに、温かい場の空気を作っていく佐々木蔵之介の語り口。時に京都の言葉でいたずらっぽくしゃべるそのニュアンスが、文字からも伝わっているといいのだが。一方の深田は映画のお咲とは真逆で、物静かなお姫様のようなオーラを漂わせる。スクリーンでの豹変ぶりはさすがの女優魂だ。そんな二人の魅力が堪能できる『超高速!参勤交代』は、意表を突いた題材ながら、老若男女が楽しめる正統派の娯楽時代劇でもある。

(C) 2014「超高速!参勤交代」製作委員会

映画『超高速!参勤交代』は6月21日より全国公開

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