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高月彩良&有村架純
『思い出のマーニー』
一生に一度の思いで挑んだジブリ作品
『思い出のマーニー』高月彩良&有村架純 単独インタビュー

取材・文:斉藤博昭 写真:奥山智明

毎回、キャスティングが話題を集めるスタジオジブリ作品。この夏の新作『思い出のマーニー』には、300人ものオーディションの結果、高月彩良と有村架純がWヒロインの声に抜てきされた。療養のために都会から海辺の村へやって来た12歳の少女・杏奈と、誰も住んでいないはずの古い屋敷で彼女が出会う謎めいた金髪の少女・マーニー。ジブリ作品らしい繊細なタッチの映像でつづられる二人の友情ストーリーに、共に初の声優をこなした高月と有村はどんな思いで向き合ったのだろう。完成作を観た彼女たちが語り合う。

■並々ならぬオーディションへの意気込み

Q:オーディションには、どのような気持ちで臨んだのでしょうか?

高月彩良(以下、高月):これまでのオーディションでは自信が揺らぐことが多かったのですが、今回はジブリ作品ということで「絶対、受かりたい」と強く思っていました。マネージャーさんにも「わたし、絶対に受かります」と宣言しちゃったくらいです(笑)。それくらい気持ちは高まりつつも、やはりオーディション本番を終えた時は、自信がなくなって……。しかも決定までに時間が空いたので、一度は落ちたと諦めていました。だから受かったと聞いた瞬間は、夢みたいな気分でしたね。

有村架純(以下、有村):実を言うとわたしはスタジオジブリ作品のオーディションは、今回が2回目でした。最初に受けた時はデビュー当時でしたし、演技経験も少なくて、ただ緊張して終わってしまったという感じでした。だから今回は特別な思いがありました。でもオーディションに行ってみたら、初日で、しかもトップバッター! さすがに緊張しましたが、思い切って挑み、わたしの全部を出し切った感覚はあります。オーディションでは、杏奈とマーニーの両方を演じました。

Q: スタジオジブリの作品に参加するのは、やはり女優として特別な思いがあるわけですね。

高月:それはもう、ジブリ作品ですよ! 一生に一回、できるかどうかわからないじゃないですか(笑)。

有村:わたしもジブリ作品は小さいころから観ていましたので。『となりのトトロ』が一番好きですね。初めて夢を見させてくれた作品です。

高月:わたしは『千と千尋の神隠し』ですね。あの独特でファンタジックな世界のとりこになりました。心の奥からゾクゾクさせられる。その感じが、大好きです。

■成長する杏奈と不思議なマーニー

Q:声優自体初のチャレンジですよね。声だけで役を表現するにあたって、苦心した点はありますか?

高月:物語が進むにつれて杏奈は成長していくので、その流れに沿って声を変化させるように意識しました。最初は心を閉ざしているので、できるだけ感情を内側に抑え、泣き方にしても「ウウウッ」とこらえる感じで。後半になると、明るい雰囲気を出していったんです。それは米林(宏昌)監督からの指示でもあり、自分から意識して演じた部分でもありました。

有村:わたしが演じたマーニーは正直難しい役どころでした。テンションがよく変わるし、突拍子もないセリフもある。でもそれが、マーニーの個性なんです。不思議な要素も詰まっているので、ちょっとイタズラ心や、小悪魔な部分も入れつつ、かといって瞬間的に感情を変えるのではなく……。あまり深く考えすぎないように心掛けました。

Q:実写作品での演技のアプローチとは、やはり違いましたか?

有村:実写だと、体全体を使って表現できますが、声だけで伝えるとなるとまた違う難しさがありました。プロの声優さんではないので、技術で乗り切れるとは思えなかったので、とにかくわたしはナチュラルに演じようとしました。

高月:アニメの場合、実生活で使わないリアクションも表現するのだと学びました。この『思い出のマーニー』は全体的に静かな作品なので、なおさら音が大切なんです。「マーニー」という一言にしても、何十通りもの細かい表現があって、あるシーンでは「マーニー」と言うだけで30分以上かかりました。

Q:実際に二人で一緒に録音したのですか?

有村:そうなんです。杏奈がその場にいる感覚だったので、演じる上ですごく助けてもらいました。「もう1回、やってもいい?」みたいに、お互い言い合ったよね?

高月:わたしは初日が一人だけの演技で苦労したのですが、2日目から有村さんと一緒になって、すいぶん助かりました(笑)。そこに話す相手がいると、役としての気持ちもずいぶん変わるのだと実感できました。

■感情移入して思わず涙が……

Q:完成した作品を観て、お互いの声の演技をどう受け止めましたか?

高月:マーニーは、誰もが憧れる声の持ち主だと実感しました。だから有村さん以外には考えられないです。

有村:いや、そんなことは……(笑)。わたしは、自分のパートをなかなか客観的に判断できなくて、「ここはこうした方がよかった」とか反省ばかり。その反面、杏奈のパートは声とキャラクター、そして絵が融合していたので、感情移入してボロボロ泣いちゃいました。高月さんの声にはピュアさと透明感があって、聴いていて心地いいんです。物語にスッと入り込めた感じです。

Q:作品全体の印象はどうでしょう。

有村:1回観ただけでは足りないような作品かなとわたしは思います。大人っぽいストーリーですけど、実際にわたしが小学生だったころを思い出すと、大人向けのドラマや映画を観て、いろいろ感じていた気がします。何となく理解して泣いたりもしていたので、きっとどの世代でも楽しんでもらえると思います。

高月:わたしが印象に残ったのは、作品の中の音や匂い、風を肌で感じたことです。例えば杏奈が草の上に足を踏み出す「ザッ」という音が、静寂の中で敏感に伝わってきて、自分と近い場所にある作品だと感じました。

Q:自分たちが演じたキャラクターにも共感できたわけですね。

有村:わたしは杏奈とマーニーの両方に共感できました。気持ちを伝えられず、自分の殻を破りたい杏奈の心もすごくわかるし、マーニーはマーニーで、自分の苦しさを隠して心配させないようにしている。そういう思いは誰でも共感できるんじゃないかと思います。

高月:12歳って微妙な年代で、「わたしも複雑な感情を抱いていた」と、杏奈を見ながら思い出しました。杏奈は何をやるにも不器用で、「わたしはわたしが嫌い」というセリフがあるんですが、そんな杏奈の秘めた思いがわたし自身に似ていたんです。杏奈と出会って、わたしも成長し、一歩踏み出せた気がします。

■とにかく優しかった米林宏昌監督

Q:映画が完成して、周りの反応も気になりますね。

有村:オーディションに受かって、一番喜んでくれたのが家族でした。これから家族や親友にも観てもらいますが、作品の世界に浸ってもらい、そして感想は率直に言ってもらいたいですね(笑)。

高月:うちは弟が一番興奮していました。「ジブリ? すごい!」って、食いつきがスゴかったです(笑)。友達からもやたら「おめでとう」と言われました。

Q:完成後、米林監督からはどんな声を掛けられましたか?

有村:演じる前に監督から「優しい声で」と指示を受け、そこに集中して演じたのですが、終わった後に「本当にマーニーだったよ」と声を掛けてくれたんです。うれしかったです!

高月:わたしも「あなたが杏奈でよかった」と言われました。

有村:厳しく指導されるかと思っていたんですが、とにかく優しかったです(笑)。

高月:本当に! 監督、優しすぎです。

初めての声の演技。しかも多くの人々が注目するスタジオジブリ作品。計り知れぬプレッシャーと共に挑んだ大役だが、高月と有村の言葉の端々から、彼女たちが完成した作品を観て心から満足し、安心していることがうかがえた。この日の取材は、劇中の美術を再現した「思い出のマーニー×種田陽平展」のセットで行われたのだが、作品の世界に溶け込み、夢見る少女のような表情に変貌する二人が印象的だった。一瞬、『思い出のマーニー』が実写になったと錯覚するほどで、そこまで完璧なキャスティングだったのかもしれない。

(C) 2014 GNDHDDTK

映画『思い出のマーニー』は7月19日より全国公開

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