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マーティン・フリーマン&オーランド・ブルーム
『ホビット 決戦のゆくえ』
最終日には、胸がいっぱいになった
『ホビット 決戦のゆくえ』マーティン・フリーマン&オーランド・ブルーム 単独インタビュー

取材・文:編集部・市川遥

『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズの60年前を描いた『ホビット』シリーズ。ピーター・ジャクソン監督が2001年の『ロード・オブ・ザ・リング』から13年にわたって描いてきた“中つ国”における冒険も、本作をもって完結する。冒険嫌いでありながら、旅を続けるうちに思わぬ力を発揮するようになるホビット族の青年ビルボを演じたマーティン・フリーマンと、『ロード・オブ・ザ・リング』3部作に続きエルフ族のレゴラスを演じたオーランド・ブルームが完結を迎えての胸中を明かした。

■シリーズに参加して変わった点・変わらなかった点

Q:本作でいよいよ完結ですが、『ホビット』に主演したことで取り巻く環境や世間からの見られ方は変わりましたか? いい意味であまり変わらなかったのではないかと思うのですが。

マーティン・フリーマン(以下、マーティン):うーん、そうだったかもしれないね。このシリーズがどれだけ大きいもので、どれだけ多くの人々に観てもらったかというのを考えると……。僕がはっきり理解しているのは、映画そのものがスターであるということだ。ここ数年間、僕のことをあまり知らない人から、「ああ、そうだった。君はビルボ・バギンズだったんだ」と言われるようになり、それまでの認識を少し変えてもらう必要があるという状況になっていったわけだけど、そう思ってもらえるまでにかなり時間がかかったようなんだ。扉を開けて部屋に入っていったとき、「おい、ホビットが来たぞ」と思ってもらえるようになるには時間がかかったわけさ。面白いもので、ここまで有名で、いつも目にするキャラクターを演じたにもかかわらず、完全に匿名でいられるというほどではないけれど、僕の場合は、なぜかそれほど気が付かれなくて済むんだ。ホビットを演じているのはビルボ・バギンズだと思っている人が多いのかもしれないね。

Q:それはあなたがいかに見事に演じてきたか、ということだと思います。

マーティン:そう解釈するようにするよ。

Q:オーランドさんは『ロード・オブ・ザ・リング』(2001)からの出演です。シリーズ完結を迎えていかがですか?

オーランド・ブルーム(以下、オーランド):一つの時代が終わったと感じるよ。本当にそう思う。レゴラスというのは、あらゆる意味で、僕の今日に至るまでのキャリアを確立させたキャラクターだと思っている。最初に演じた大きな役柄だったし、(J・R・R・)トールキンのような素晴らしい作家が生んだキャラクターを演じることができる機会を与えてもらったわけだけど、僕がわずか21歳のときにその責任を課されたんだ。そのことを真剣に捉えていたし、それは今でも変わらない。それからまた、『ホビット』シリーズにさかのぼり、再びレゴラスを演じることができてとても光栄だ。彼の旅路というのは、『ホビット』の原作には出てこないが、彼が当時そこに居ただろうと考えるのは十分つじつまが合うわけだ。彼の目を通して、父との関係や、中つ国の他の種族とエルフとの関係を描き、映画の最後までにそれらのキャラクターのこと、『ロード・オブ・ザ・リング』3部作で孤立したエルフになった彼のことをより理解してもらえればと思っている。僕はとても楽しんだよ。

■かわいいホビットなだけでは面白くない

Q:第2部の終盤、湖の町に行こうとするスマウグの前に飛び出すビルボの行動には説得力がありました。ホビット庄に居たころにはちょっと考えられないような行為であってもです。ビルボの変化の過程をどのように捉えて演じたのですか? “最終的にこうなる”という部分に向けて変化させていったんですか?

マーティン:個人的には最終的な着地点は見ていなかった。そこに向かって行くための、わずかなステップだけを毎回演じていたわけだから。他の役者にとっては、そういうのが助けになるのかもしれないけれど、“最終的にこうなる”という姿を知っておくというのは僕の場合はあまり役に立たないんだ。僕にとっての“聖書”は原作ではなく脚本だから、参照するのは脚本。それこそが実際に僕たちが作っているものだからね。“そこ”に向かって彼が進まなければならないのはわかっているけど、もし誰かに「今そこに行け」と言われても「えーっと」となるし、プロセスそのものによって自然と導かれていかなくてはならない。もちろん、順番通りに撮影するわけではなく、今日のキャラクターよりももっと先のキャラクターを演じなければならないこともある。撮影では、ラブシーンなのか、死のシーンなのか、はたまた結婚のシーンなのかといった、どの時点のキャラクターを演じることになるのかがわからないこともあるから。そういうものに対して、常に準備ができていなければならないんだ。

Q:なるほど。

マーティン:ただし、君が言ったようなシーンに関しては、本作では撮影期間中、ずっと長い間、ビルボはさまざまな変化、さまざまな光と影を見てきたから、準備はできていると思ったね。どんな状況に置かれても、心の準備はできていると感じたんだ。自分のことを必要以上に重要な人物であるかのように語っていると聞こえるかもしれないけど、どの段階で純粋無垢(むく)な彼から脱皮するのか、いつスタン・ローレル(注:イギリスのコメディアン)的な目をくりくりさせて「今何が起こっているの?」と問うような彼から脱皮するのかということを知っておけばよかっただけだ。ちなみに、僕はスタン・ローレルが大好きだから、それをずっとやっておけと言われたら、喜んでやり続けただろうけどね。でも、単にかわいいホビットでずっと居続けるだけでは面白くないというのは、最初からわかっていたんだ。それは僕だけの意見でなく、他の誰もがそう思っていた。だから、監督にいつも「いつになったらダークに演じていいの?」と聞いていたよ。ある意味、監督が考えていた以前の段階で、僕はそれをやりたいと思っていた。“汚れ”に入っていくやり方を考えるというのは、僕が自然にやってしまうことなんだ。彼は実際、すでに恐怖を体験し、戦いの旅に出て誰かを殺していたから、“汚れ”の部分には入っていたんだ。

■マーティンも涙した撮影最終日!

Q:長いシリーズの撮影が終わる、最後の日のことについて教えてください。

オーランド:最後のテイクのことは覚えているよ。とても印象的だったんだ。(歌いながら)こんなふうにピーターが『ロード・オブ・ザ・リング』の音楽をガンガンかけて、その曲の中の「フェローシップ」の箇所がかかっていた。ネタバレになってしまうからあまり詳しくは話せないけど、僕はあるキャラクターに対して今まさに死の一撃を食らわせるというところだったんだ。突然その音楽が鳴り響き、「うわー」と思い、感極まったね。

マーティン:僕の最終日はリチャード・アーミティッジ(トーリン役)とグレアム・マクタヴィッシュ(ドワーリン役)と一緒だった。とても良いシーンだったんだけど、それについては話しちゃいけないことになっているんだ。とても厳かでエモーショナルな、心を動かされるシーンだった。派手に爆発するという類いのシーンではなかったよ。最終日には、みんなにお別れを言いながら、『ホビット』シリーズは僕たちの人生において大きな部分を占めるものだったと実感し、涙ぐんでしまったよ。僕は物事の終わりというのは好きで、「さあ、これでおしまい」と割り切るのはそれほど難しいと感じない方ではあるんだけど、それでもみんなの顔を見ると、「うわ、このような人たちとずっと一緒にこんな素晴らしいことをやってきたんだよな」という思いで胸がいっぱいになった。感無量だったね。

伝説的なファンタジーの完結は、スタッフ、キャスト、ファン、誰にとっても特別で、感傷的になってしまう出来事であることは間違いない。割り切ることが得意だというマーティンが、最終日に思わず涙してしまったということからもそれは明らかだろう。家族のもとを離れ、ニュージーランドの地で長い時間をかけて彼らが共に作り上げた“中つ国”のラストは人々の心を震わせるはずだ。

写真:(c) PA Wire / Press Association Images / amanaimages (c) Matt Crossick / Empics Entertainment / amanaimages

(C)2014 Warner Bros. Ent. TM Saul Zaentz Co.

映画『ホビット 決戦のゆくえ』は12月13日より全国公開

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