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水谷豊
『王妃の館』
日本ではNG!?「右京」の奇抜なファッション
『王妃の館』水谷豊 単独インタビュー

取材・文:高山亜紀 写真:高野広美

原作者の浅田次郎すら「映像化は無理」と言っていた『王妃の館』が映画化された。邦画初のヴェルサイユ宮殿ロケをはじめ、ルーヴル美術館やヴォージュ広場などでも撮影を実施。パリロケは20日間以上にも及ぶというからなんともゴージャスだ。右京は右京でも、このたびは天才小説家「北白川右京」にふんしたのが主演の水谷豊。夢のようだったというパリ撮影と絶品スイーツ、そして公開前から話題の奇抜な右京ファッションについて語った。

■日本映画初のヴェルサイユ宮殿ロケ

Q:原作を読まれてすぐ映画化したいと思ったそうですね。

「次の作品は何をやりましょう?」と話し合っていたとき、最初にプロデューサーから提案された小説がこの「王妃の館」でした。ベースに笑いがあり、とにかく北白川右京が面白い。自分の作品には必ずどこかにユーモアを取り入れたいぐらい、若い頃からコミカルな作品が好きでした。「チャンスがあったら、いつかコメディーをやりたい」と思い続けていたんです。

Q:浅田次郎作品は初めてだとか?

こればかりはタイミングと縁がないとできないですよね。作品を読んで、「これは映画でやったら面白いな」と思うものはどんどん映画になってしまいます。でも、今回は違いました。浅田さんも自分が書いた中で、これだけは映像にはできないだろうと思っていたそうです。おそらく映画関係者が読んでも、普通、映像化は無理だと思うでしょう。だって、ヴェルサイユ宮殿は借りられないし、ルーヴルだってわからない。しかも、17世紀のパリの話をどう作るのか。考えれば考えるほど、映画化しようとは思わないはずです。

Q:そして、誰もが無理と考えた映画が出来上がりました。

日本に帰ってくる飛行機で、あれは夢だったんじゃないかと思ったぐらいです。パリに22泊! ルーヴル、ヴェルサイユ、王妃の館のモデルになったホテルやその正面にあるヴォージュ広場、郊外にあるルイ13世のお城も巡って撮影しました。今思えば、楽しかったはずです。というのは、そのときはやるべきことをやるだけで、自分の状態は日本と変わらないんですよね。ただ、背景が違うと、自然とそういうムードに包まれて、気持ちもできていたと思います。

Q:ヴェルサイユ宮殿ロケは日本映画初だとか?

「日本の映画で初めて許可が下りた」と聞いてはいたので、そのときは「うわ、すごい」と思うんですが、いざやっているときは一切、感じないんですね。ただ、ちょっとした空き時間にマリー・アントワネットの寝室やダイニング、ルイ14世の部屋などを見られたのは良かったです。まるでその時代に居るような気持ちになりました。特に僕が演じる北白川右京はその時代の小説を書きますから。

■パリの街に調和していた奇抜な右京スタイル

Q:その「右京」さんですが、独特なスタイルですね。

僕は小説を読むとき、頭の中で映像になっているんですが、僕の中での右京さんはまさにあの感じでした。天才小説家ということで、普通ではない人だろうと思っていましたし、まして場所がパリとなると、あのスタイルになる。衣装合わせでは、みんな大爆笑でした。日本ではおそらく、あの格好で歩けないと思いますが、パリでは全く違和感がなかったです。ロケの合間に街を歩いても、すっかり風景に溶け込んでいました。

Q:流暢(りゅうちょう)なフランス語を披露していましたが、どれくらい学習したのですか?

実はフランス語でしゃべる船上での撮影は、パリに着いて2週間後くらいにやる予定だったんです。だから、向こうで勉強しようと思っていたんですが、それが撮影の都合上、初日になってしまった。大変でしたよ。着いて翌々日の撮影と聞いて、慌てて間に合わせました。しかも、あの船はセーヌ川をぐるっと一周しているんですが、カメラマンの撮りたいポイントがあって、NGを出すとまた1時間半かけて戻らないといけない。日中に撮れるかどうかわからなくなるから、1発でOKを出す必要がありました。

Q:フランス語がペラペラなのかと思いました。

Non(笑)。

Q:劇中、パリの天気は変わりやすいというセリフがありましたが、お天気はどうでしたか。

基本的には恵まれていましたが、あの場面だけ、たまたま雨が降りだしたので、急きょ、セリフを入れました。パリだって、晴天の日もあれば、曇りもあり、雨もある。そこに生活があるのですから、その方がいいんじゃないかということになったんです。傘は急きょ、買ってきてもらったものですが、画になっていましたよね。かえって良かったなと思っています。

Q:右京さんが食べるスイーツがどれもおいしそうでした。

実際にどれもおいしいんですよ。今は日本でもいろいろなスイーツが食べられますが、フランスは特に充実していましたね。滞在中もいろんなレストランやカフェに行きました。以前、僕が住んでいた街に(サロン・ド・テ)アンジェリーナがあったんですが、パリには本店があったので、そこにも行ってきました。

■水谷とカエル、パリとの不思議な縁発覚

Q:食べる芝居は難しいといわれますが?

僕はなぜか昔から食べる芝居が好きなんです。確かに口に物を入れてしゃべるのは、タイミングを合わせるのが難しい。うまく話せなかったり、頬張り過ぎてもダメだし、いろんな条件が必要になってきます。でも僕は食べながら何かをする芝居は結構、好きですね。

Q:今回は水を飲む場面もありました。

僕の中でなぜか、水のイメージが浮かんだんですね。右京さんが何かひらめいて書くとき、その前に儀式的なものが欲しかった。それで水を一気に飲むことにしたんです。

Q:右京さんのカエルグッズは水に合わせたのですか。

実はあのカエル、美術さんが偶然用意していたものなんです。僕はカエル好きなんですが、そのことは誰にも言っていなかった。もっと偶然なのが、あの万年筆。メーカーさんからお借りしたものなのですが、そのキャップにもカエルが描かれているんです。それで「これは使える」と思って、普段からやっているカエルの物まねを取り入れました(笑)。

Q:不思議なことがあるんですね。

そういう偶然ってあるものなんですね。実は僕の誕生日が7月14日。パリで革命の起きた日でもあり、パリ祭の日でもあるんです。パリとは縁があるのかもしれませんね。

いつも礼儀正しく、謙虚で、穏やか。スチール撮影中はカメラマンがリクエストしなくても、おどけた表情をしてみせる。人を楽しませたい、もてなしたい。根っからのエンターテイナーとはこういう人を指すのだろう。だからこそ、出来上がった作品は誰からも愛される、誰もが楽しめる、エンターテインメントになる。人がやったことのないことをやりたい。観たこともない映画を届けたい。これからもきっと彼の挑戦は続いていくだろう。

映画『王妃の館』は4月25日より全国公開

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