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天海祐希
『ゲキ×シネ「蒼の乱」』
プレッシャーがあっても口には出さない
『ゲキ×シネ「蒼の乱」』天海祐希 単独インタビュー

取材・文:小島弥央 写真:高野広美

2014年に上演された劇団☆新感線の舞台「蒼の乱」。天海祐希を座長に、松山ケンイチ、早乙女太一らが集結し、平将門をモチーフにした壮大な愛の物語を描いたこの舞台が、映画『ゲキ×シネ「蒼の乱」』となってよみがえる。同劇団の舞台には4年ぶり3回目の出演となり、将門を愛した女性・蒼真を演じた天海が本作への思いを語った。

■文章が立体になっていく面白さ

Q:とても激しくて、悲しい、だけどすがすがしい愛の物語でした。「蒼の乱」の台本を読んで、天海さんはどんなことを思われましたか?

すごくすてきな言葉やシチュエーションがいっぱいあって、これをこのメンバーでできるんだ、これを面白くしていくんだと、すごく楽しみでした。まだ歌も入っていない、踊りも入っていない、文章だけだったものが、お稽古で動いて、セリフをしゃべって、徐々に立体的なものになっていくのは「ああ、こうなっていくんだ」と思いますね。

Q:劇団☆新感線の作品に出演されるのは、これで3回目。前作「薔薇とサムライ」から4年ぶりの出演となりましたが、作品への意気込みはいかがでしたか?

意気込みは毎回ありますが、どの作品も同じように頑張らないといけないと思っているので、「蒼の乱」だから、劇団☆新感線だからという特別な意気込みはなかったですね。激しい舞台ですし、期間も長いので、体調管理など、常にやっていることをきちんとやって臨みました。

Q:今回は座長としての参加となりましたが、プレッシャーはありませんでしたか?

あっても言いませんよ(笑)。わたしたちは「何でもないですよ」「全部できますよ」という顔をしてやるのがお仕事なので。でも、大きなお仕事を頂いたら必ず責任は伴うし、プレッシャーだってあってしかるべきだと思います。ちゃんとしんどい思いをしなければ、お客様から拍手をもらっちゃいけないんです。きちんとしんどい思いをして、プレッシャーを感じ、責任を感じながらやるからこそ、それと引き換えにいい思いをさせていただけているんじゃないかと思っています。

■松山ケンイチにほのぼの

Q:相手役の松山ケンイチさんは劇団☆新感線に初参加でしたが、共演されていかがでしたか?

ケンちゃんは、舞台に出演するのがこれで2本目なんです。その舞台に慣れていない感じが、朴訥(ぼくとつ)とした将門にぴったりで、一生懸命に頑張っているひたむきな姿が将門に重なりました。そういった意味でケンちゃんのお芝居とご自身が持っているカラーが、将門という役にすごく反映されていたと思います。

Q:松山さんだったからこそ生まれたもの、松山さんで良かったと思ったことはありましたか?

いっぱいありますね。ケンちゃんは素朴で飾り気がないので、みんなのオアシスみたいでした(笑)。大きなおにぎりを食べているだけでほのぼのします。「俺、たらこが嫌いなんですよ!」と言いながら、たらこが入ったおにぎりを食べていたときは「えっ!」となりましたけどね(笑)。あと、(演出家の)いのうえひでのりさんの演出は「はい、そこで動いて振り向いてセリフを言って。それから3歩動いて……」というように、動きから何からいろいろ決められるんです。それに慣れるのに大変な思いをされる方も多いのですが、ケンちゃんは「全部言ってくれるからラクですよ~!」なんて言っていて、「いいな、この人。なんかいいな」と思いましたね(笑)。見ているだけでほのぼのとしました。

Q:松山さんの存在は大きかったんですね。

観に来てくださった方、特に新感線のファンの方にも、ケンちゃんとわたしが出させていただいたことによる変化は、感じていただけたのではないかと思います。ただ、わたしたちはお芝居をしている側で、それを映像のように1シーン1シーン外から観ることはできないので、明確に分析することはできないですけど……。

■ゲキ×シネになって一番うれしいのは自分たち

Q:そういった意味では、出演されている方にとっても、客観的に観ることができる「ゲキ×シネ」は魅力的ですね。

そう、だから「ゲキ×シネ」になるのって、わたしたちが一番うれしいかもしれない(笑)。でも、反省ばっかりですよ。自分が思う以上の形に見えていたり、もっとやっても良かったかなと思ったり……。ただ、「何でこうしたんだろう……」「こういうふうに見えていたのか……」と悔しく思ったり、「もっとこうしたかった」と後悔するのって必要なことだと思うんです。それは次につなげていくための糧だから。そう思わないと成長しないでしょ?

Q:周りの方からの感想や反響はお聞きになっていますか?

「気持ちいいでしょ!」と皆さんは言いますね。「いいなあ~! わたしも風を受けたい!」って(笑)。

Q:草原に立って風を受けるラストシーンは本当にすがすがしいですよね!

そうですよね! でもわたしは、「蒼の乱」というタイトルがバーンと出てくる、星が降るようなところがすごく好きだったなあ。ただ、あそこはすごく大変なシーンでもあったんです。歌いながら登場して、そこからずっと走って走って、汗はかくし、大変でした。でも、観に来てくれた役者さんもお友達も「スカッとした!」「楽しかった」「気持ちよさそうだった!」と言ってくれて。「わたしも劇団☆新感線に出たい」とみんな言っていましたね。

■これだけ激しい舞台を終えたあとは……

Q:ただ、これだけ激しい舞台をやると、そのあと一体どうなってしまうんだろうとも思うのですが……。

疲れますよ、ものすごく(笑)。でも、逆に疲れ過ぎてテンションが上がっているときもあるんです。そんなときは、ご飯を食べに行くときまではすごくテンションが高いんですけど、おなかがいっぱいになると急に電池が切れます(笑)。

Q:日常に戻るために何かをしたりといったことは?

役に入り込んじゃって? ないない(笑)。わたしはそんなにすごい役者さんじゃないから、もうカーテンが閉まった瞬間には普通に戻っていますよ。それに、舞台袖にいるときも全然、(普段の)天海祐希です(笑)。

Q:そうなんですか!

中には役に入り込んで集中している方もいますけどね。でも、わたしの場合は、衣装を脱いで化粧を落とせば、完全に役から離れます。ただ、舞台に立ったあとってすごく神経が高ぶっているから、クールダウンするまでにすごく時間がかかるときもあるんです。それで次の日が早いと、だったらこのまま起きていた方がいいなと思ったり……でもやっぱり体力的にしんどくなるから、とにかく少しでも寝なければと思ったり(笑)。そのせめぎ合いですね。男の人だとお酒を飲んでクールダウンすることも多いみたいですけど、わたしはそこまで飲めないですから、家に帰ってなるべく湯船につかってリセットするようにしています。

今回、天海が演じた蒼真は、まさに人々を一瞬にして惹(ひ)き付ける魅力と、圧倒的な存在感を兼ね備えた彼女にぴったりの役どころであった。自身の思いを的確に表す言葉を一つ一つ丁寧に探しながら答えようするその姿勢、紡ぎ出される言葉の端々からは、舞台に懸ける真摯(しんし)な思い、そして、プロ意識の高さがひしひしと伝わってきた。

スタイリスト:えなみ眞理子 ヘアメイク:林智子

(C) 2015 ゲキ×シネ『蒼の乱』/ヴィレッヂ・劇団☆新感線

映画『ゲキ×シネ「蒼の乱」』は5月9日(土)より全国公開

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