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菅田将暉&城田優&ムロツヨシ
『明烏 あけがらす』
現場で何をやるのか、試されているような気分だった
『明烏 あけがらす』菅田将暉&城田優&ムロツヨシ 単独インタビュー

取材・文:斉藤由紀子 写真:吉岡希鼓斗

映画『HK/変態仮面』やドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズなどで知られる福田雄一監督の最新作『明烏 あけがらす』。東京・品川のホストクラブ「明烏」を舞台に、売上最下位のホスト・ナオキと仲間たちが繰り広げる抱腹絶倒のシチュエーションコメディーだ。1,000万円の借金返済に追われるナオキを演じた菅田将暉、ナオキの同僚の人気ホスト・アオイ役の城田優、明烏の店長・アキラを演じたムロツヨシの3人が、笑いの絶えない撮影を振り返った。

■福田組の常連・ムロが菅田に与えた試練とは?

Q:「明烏」「品川心中」などの古典落語をモチーフにした、粋な香りのするコメディーですね。

ムロツヨシ(以下、ムロ):今回は友情とか人情が入っていたので、粋な感じがしたんでしょうね。福田作品にはあまり多く人間ドラマがないから(笑)。

菅田将暉(以下、菅田):福田作品って、俯瞰(ふかん)で作っているのに主観で笑えるところが好きなんです。僕は、自分の出た作品を「観てください」と言えないタイプなんですけど、これは「観てください」と前向きに言いたいです。

城田優(以下、城田):タイトなスケジュールの中、濃い時間で撮影した作品なので、ワンカットで撮ったシーンもたくさんあったんですけど、それがちゃんと成立していましたよね。編集されたものを観て、ああ、ここで切れちゃうんだとか、ここを残すんだとか、音を入れることでより笑えるようになっているんだとか、いろいろと発見があって面白かったです。

Q:主役のナオキを演じた菅田さんは、福田組に初参加されていかがでしたか?

菅田:自分の予想を超えてくるだろうな、というのは予想通りでした。ナオキは周りのみんなに振り回されていくキャラだったので、監督と全体の流れの中でのナオキのテンパリ具合だけを打ち合せして、あとは現場で起こったことに対応するという感じでした。

ムロ:僕は予定調和をなくすために、少しだけ福田組の先輩面をさせてもらったんですよ。菅田くんが独り言をしゃべってブワーッと動き、僕がそれを「オイ」って止めるシーンを、テストでは普通にやったんだけど、本番ではいつまでも止めに入らなかったんです。菅田くんは途中で、「これはムロの意地悪だ」って気付いたんでしょう(笑)。だけど、意地として芝居を続けるんです。それで、やり終えたときに「クソ、やられた!」って言ったんですよね。

菅田:あれは本当にうれしかったです。そこで僕が何をやるのか、試されているような気分でした。

■城田のアドリブに菅田が本気ビンタ!?

Q:菅田さん同様に福田組初参戦の城田さんも、おバカな人気ホスト・アオイ役で弾けまくっていましたね。

ムロ:城田くんとは学園ドラマで共演したことがあって、その頃から何かある人だというのはわかっていたから、福田作品では存分にやってくれると思っていたんですよ。

城田:でも、こんなにアドリブをやったのは初めてです。普通は、台本にないセリフや動きってやらないじゃないですか。

ムロ:まあ、そんなことをしたら現場で嫌われるからね(笑)。

城田:そう、本当に特殊な現場だと思うんですけど、菅田くんはすごく対応力があると思いました。ナオキに「5万貸してくれ」って言われて、僕が「ありますよ」ってすぐ言うところを、「5万ちょうどマジもってるんす。5万マジもってるんす……」とアドリブで引っ張って、「……1万しかねえっす」って言ったら、その瞬間に菅田くんが僕をビンタしたんです。あれは予定調和じゃなくて、本当にその場で生まれたアドリブなんですよ。

菅田:単純にイラッときただけです(笑)。

城田:僕のアドリブに対して、ちゃんと一番面白いリアクションで応えてくれたんです。いくらとっさとはいえ、自分だったらビンタはできないかもしれない。一応は先輩だし、事前に言っておくと思うんだけど……。

ムロ:わかる。城田くんなら事前に言っておくけど、菅田くんはやらなかった、と(笑)。

菅田:……なんか、すいません(苦笑)。

城田:いやいや、これは褒め言葉だから(笑)。遠慮を捨てるのって、役者同士で一番大事なことだと思うんです。だって、その現場の中では先輩後輩なんて関係ないから。

ムロ:信頼関係があったってことだよね。

菅田:城田さんの長ゼリフもすごかったです。ミュージカルの第一線でやっている方の言霊が、ものすごい近距離で全部こちらに来るので、とてつもない破壊力でした。もう、目を開けていられなかった(笑)。

■みんなの芝居が面白すぎてNG連発!

Q:終始、舞台を観ているようなライブ感がありました。長ゼリフでご苦労された部分もあったのでは?

菅田:僕が笑っちゃって先輩の芝居をつぶしてしまった瞬間が何度かありまして、本当に申し訳なかったです。あれは鍛錬しないといけないですね。たぶん、一番面白い瞬間を見ているのは僕なんですよ。

ムロ:それも、菅田くんは自分にカメラが向いていないときに吹くんだよね(笑)。誰かが笑っていると空気が伝染するんですよ。伝染が伝染を呼び、大変でしたね。

城田:現場も舞台のような臨場感がありつつ、それを超えてくる笑いがあるんです。例えば、(佐藤)二朗さんは自分で吹き出しても芝居を続けるから、もうおかしくて……。

ムロ:そう、二朗さんはすごい吹いてる! なのに、そこに芝居を足して「わたしは吹いていません」って顔をしてくるからズルイんですよ。その吹いたシーンを、福田さんは編集でしっかり使うしね(笑)。

菅田:いやあ、二朗さんの芝居は映画史を変えましたよ。

Q:佐藤二朗さん(ナオキの父親役)と対峙(たいじ)する場面が多かった菅田さんが、一番の被害者になってしまったんですか?

城田:まあ、被害者かもしれませんよね(笑)。もう、二朗さんをはじめとする全員が、ナオキを笑かしに掛かっているようなもんでしたからね。

ムロ:全キャラのベクトルがナオキの方を向いていたからね。僕と二朗さんは菅田くんに向かって全力で芝居をしました(笑)。

菅田:それをちゃんと受けなければいけない、というのが気持よかったです。

ムロ:でも、菅田将暉の役者人生として、この現場はぜひ忘れてほしい! なんのプラスにもならないから(笑)。

菅田:え、大事にしちゃダメなんですか(笑)。

ムロ:ダメダメ。城田優も、すでに捨てるべきところだとわかっていると思う。

城田:いやいや、僕はこの現場が大好きです(笑)。

■役者が自由に楽しめるのが福田組の魅力

Q:ムロさんふんする店長の、いい感じのセリフを言いながら無駄に細かく動くシーンも爆笑でした。

ムロ:あれは福田さんの演出です。僕はロボットのようにそのまま動いているだけで。

菅田・城田:またまたー(笑)。

ムロ:いや、事前に福田さんと相談しながら動いて決めたんです。本当は、あの間に「ジャケットを脱いでまた着る」という動きも入れてみたんですが、「それは要らない」って福田さんにはっきり言われました(笑)。僕は、福田さんが思い付いてないことを現場でやることが使命だと思っているんですよ。

城田:あのシーンは、本番では2倍くらいありましたよね。店長が「おい、聞け」って言って、僕が「おいっす! 聞きます!」って受けて、「おい、聞け」「あ、聞いてます聞いてます!」ってやりとりが15回くらいあったんだけど、そこは編集でバッサリ(笑)。

菅田:カットされた部分がもったいないですよね。お客さんに、あの空気感をそのまま観てもらえないのがもどかしいです(笑)。

ムロ:福田さんは、現場で役者が発信するものを信用して、何が生まれるか待っていてくださる方なので、思いっきり自由に楽しめる。そこが福田組の特色ですね。

インタビューをしたスタジオが本作の撮影現場だったこともあり、当時を思い出しながらノリノリで爆笑ウラ話を披露してくれた三人。ボケとツッコミが入り混じる巧みなリアクションで主役を演じ切った菅田、キレキレのテンションでチャラいホストを熱演した城田、まばたきをするたびに「シャキーン」と効果音が入る強烈キャラを作り上げたムロ。個性の異なる彼らの化学反応によって、また一つビビッドな福田作品が誕生した。

(C) 2015「明烏」製作委員会

映画『明烏 あけがらす』は5月16日より全国公開

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