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『BORUTO -NARUTO THE MOVIE-』岸本斉史インタビュー 漫画作りの参考書は映画だった

大ヒット漫画「NARUTO-ナルト-」の新作映画『BORUTO -NARUTO THE MOVIE-』。新時代開幕プロジェクトとして、シリーズの主人公だったナルトの息子のボルトの活躍が描かれる。脚本・キャラクターデザイン・製作総指揮で関わった原作者の岸本斉史が、「NARUTO-ナルト-」や同作の外伝漫画の連載を終えた今、映画や漫画で語られてきたナルトたちの物語と自身の今後について語った。
取材・文:編集部・井本早紀

漫画制作にも影響を与えた映画
『BORUTO -NARUTO THE MOVIE-』

Q:『THE LAST -NARUTO THE MOVIE-』が昨年12月に公開された時点で、『BORUTO -NARUTO THE MOVIE-』の脚本作業は開始していたそうですね。4月には本作の外伝である短期集中連載(「NARUTO-ナルト-外伝 ~七代目火影と緋色の花つ月~」)もスタートしていましたが、どのようなスケジュールだったのでしょう?

映画の脚本を書き終わったのは、1月の終わりくらいですね。その後修正等が入ったんで、脚本の作業が全部終わったのは2月末くらいでしょうか。でも僕の中では、2月初めには映画の作業はひと段落していたので、2月には並行作業で短期連載の絵を描き始めていたと思います。短期連載は、まずキャラクターを決めるところから始まりました。キャラクターを作らないと話を練ることができないので。全体の構想を決めた後は、その週ごとに考えていました。

『BORUTO -NARUTO THE MOVIE-』
本作の主人公ボルト

Q:これまでにも映画作品の監修やストーリーを手掛けていますよね。

ROAD TO NINJA -NARUTO THE MOVIE-』で構成を手掛けて、『THE LAST -NARUTO THE MOVIE-』はキャラクターデザインとストーリー総監修をしました。でもセリフも含めて一からきっちり全部書いたのは、今回が初めてですね。

Q:映画と漫画の違いはありましたか?

僕としては、根本的には変わらなかったです。僕自身新人のころは、映画脚本の書き方の本を読んで勉強していたので。

『BORUTO -NARUTO THE MOVIE-』
アクションシーンを描くために中忍試験を描いたというほど、映画はアクション満載の仕上がりに

Q:漫画作りに映画を参考にされていたんですね。

参考にした映画はいっぱいありますね。構成上一番影響を受けたのは『ザ・ロック』ですね。好きな映画は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『ネバーエンディング・ストーリー』です。それとヒーロー物も好きで、『スパイダーマン』も参考にしました。でも参考にした作品は多すぎて、すぐに思い浮かばないです(笑)。

Q:映画からどのような影響を受けましたか?

漫画には昔から起承転結という描き方があるのですが、僕は3幕構成を意識していることでしょうか。昔から雑誌の映画のコラムを楽しみにしていて。漫画の参考書が少ないということもあって、映画で勉強しました。『ザ・ロック』からは、最初でキャラクターを理解させて、3幕できっちりと収めるという部分で影響を受けています。

ナルトは下忍から火影に!恋愛を含めたキャラクター裏話
『BORUTO -NARUTO THE MOVIE-』

Q:「NARUTO」も「BORUTO」も、主人公以外のキャラクターも魅力的な作品ですよね。

短期連載の外伝では、チョウチョウが担当さんやアシスタントの方や周りの方から人気でしたね。サラダが重いものを背負っている分、明るくしようと思って登場させたのですが、皆さんからの評判が良くて。そんなに人気が出るとは思っていなかったので、びっくりしました。「NARUTO-ナルト-」だとロック・リーですね。それと自来也も意識はしていませんでしたが、人気が出ましたね。キャラクター作りはなかなか難しくて、作家が狙って作ったキャラクターがあんまり人気が出なかったり、意識せずに作ったキャラクターが人気出たりと結構わからないものです。

『BORUTO -NARUTO THE MOVIE-』
短期連載「NARUTO-ナルト-外伝 ~七代目火影と緋色の花つ月~」ではサスケの娘サラダが主人公

Q:先生にとって動かしやすいキャラクターは?

「キャラクターをこう動かしたい」というものは状況によって変わってくるので、どのキャラクターも平等です。特別やりにくいというキャラクターはいませんでした。でもいろいろな状況を与えないと動かないという意味では、描くシーンが多いサスケは難しかったかもしれませんね。キャラクターの設定は最初から決めているので、キャラクターがやらないことは、させることはできないですし。

『BORUTO -NARUTO THE MOVIE-』
ナルトの永遠のライバル、サスケ

Q:具体的にはどういうことなのでしょう?

例えばサスケはお茶が好きなキャラクターなので、シーンの中でお茶を出されると飲みますが、ジュースだったら好きじゃないので飲まないと思うんです。でもジュースを飲まないとストーリーが進まないという設定にしていたら、お茶を出されたときとは違うパターンにしないと動かなくなる。けれども、ジュースを飲んじゃうと決められたキャラクター像が破綻する。多くのシーンに登場するサスケは、そういう無理な状況をたくさん与えてしまうことになるんです。

Q:なるほど。

そのことでいうと、ナルトも難しい言葉を言わせることはできない。ある程度経験していることであれば大丈夫だけど、急に大人っぽいことを言っても、彼が経験していないことだと、うその言葉になってしまいますし。キャラクターは最初に決めちゃうんで、素直には動いてくれないんですよね。

『BORUTO -NARUTO THE MOVIE-』
ボルトはナルトとヒナタの息子

Q:連載中はキャラクターの恋愛もあらかじめ決めて描いていたのでしょうか?

僕はあんまり意識していなかったです。流れに任せようと思っていたので。サスケとサクラはくっつくのかな、どうなのかなと思いながら描いていました。サクラをヒロインという位置で描いていませんでしたし。ナルトは主人公なので特別でしたが、それ以外のキャラクターは、誰がメインや脇役とかはなく平等でした。キャラクターたちが、ストーリーでどう動くかで決めました。でもナルトとサクラは途中で違うかなとも思いましたね。結構早い段階でなんとなく決めていました。

Q:キャラクターに任せていたんですね。

僕としては、なれ初めもあんまり意識しないようにするというか。描くと恥ずかしいですし、本当は描きたくない部分でもあるんです(笑)。『THE LAST -NARUTO THE MOVIE-』では、ナルトの恋愛を描いていただいたので、僕自身では描けない部分が映画で観られてうれしかったですね。

『BORUTO -NARUTO THE MOVIE-』
あいつら(ナルト&サスケ)、もうなんなんでしょうね(岸本先生談)

Q:ナルトといえば火影(忍者の里で一番偉い立場)の夢をかなえましたが、上忍(階級が一番上の忍者)の試験はいつ受けたのでしょうか?

ナルトは上忍になっていないんです。下忍(一番下の忍者)のまま火影になりました。サスケも上忍でも中忍でもないし、むしろ里を出ちゃっているから、抜け忍ですよね。あいつら、もうなんなんでしょうね(笑)。でも下忍のままでいきなり火影になった方が、ナルトらしくて面白いかなと思いました。

「NARUTO」の実写化には賛成!?
『BORUTO -NARUTO THE MOVIE-』

Q:新時代開幕プロジェクトには映画以外にも舞台化を含めて、たくさんの動きがありますよね。

舞台については、自分は詳しくないこともあって良い悪いというよりも感想しか言えないですが、今回の舞台は自分の作品そのままなのに、拝見していて面白くて、笑えて。自分の作品なのに泣いてしまいました。俳優さんが演じていると、感情とセリフがリンクするし、臨場感がある。絵での表現とはまた違う。装置を使った忍術の見せ方も面白かったし、その場の空気感が伝わってくるので楽しかったですね。

Q:もしも「NARUTO」に、実写ドラマや実写映画などの話が浮上したら、先生としてはどのように思われますか?

それは大賛成ですね。アニメとはまた違うモノになると思いますし。役者の方が演じるということは、ファンの方も違う作品として捉えてくれると思います。舞台とは違って映像での実写は僕もまだ見たことのない世界になるので、もしそういう話が来たらうれしいなとは思います。

「岸本斉史」の今後
『BORUTO -NARUTO THE MOVIE-』
岸本先生の自画像

Q:『BORUTO』が公開され、「NARUTO」の物語もひと段落しますが、今の気持ちはいかがですか?

ちょっと解放されたかなという気持ちです。短期集中連載が終わって、小冊子用の漫画も描き終わって、かなり気持ちが楽になったというか。それまではやらなきゃというプレッシャーで、便秘やぎっくり腰じゃなくてぎっくり背中になっていたんですけど、それも治って体が解放の喜びを味わっていますね。心身共に健康になりました(笑)。

Q:連載のプレッシャーは相当なものだったんですね。

慣れてはいるんですけどね。大体ずっと追われている立場だったので。でも心の底からはゆっくりできないですよね。

Q:先生の今後は?

まずは子供と一緒に遊ぼうかなって、テニスをしようと思っています。それと新作映画をたくさん映画館で観たいですね。

取材後記
『BORUTO -NARUTO THE MOVIE-』

世界中で大ヒットを巻き起こしている漫画家でありながら、インタビュー中は常にほほ笑みを浮かべて、一つ一つの質問に真摯(しんし)に答える岸本。作品においてはキャラクターの成長は終着点ではなく、成長した彼らが次の世代に教えていく役割を担うことで物語は続いていくと語る。その岸本の思いを受け継ぎ開幕した「NARUTO」新時代は、15年にわたり魅了し続けてきた子供や大人たちの心を再び熱くさせることだろう。

映画『BORUTO -NARUTO THE MOVIE-』は8月7日より全国公開 <作品情報>
(C) 岸本斉史 スコット/集英社・テレビ東京・ぴえろ (C) 劇場版BORUTO製作委員会 2015

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