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園子温監督&染谷将太&池田エライザ&真野恵里菜
『映画 みんな!エスパーだよ!』
「賞、返せ」って言われるんじゃないかと思った
『映画 みんな!エスパーだよ!』園子温監督&染谷将太&池田エライザ&真野恵里菜 単独インタビュー

取材・文:森直人 写真:平岩亨

2013年4月よりテレビ東京の「ドラマ24」枠で放送され、大反響を呼んだ連続テレビドラマ「みんな!エスパーだよ!」が装いを新たに映画化された。突如として超能力に目覚めた平凡な高校生・嘉郎と、彼を取り巻くエスパーたちのおバカな戦いと友情を描く、ちょっとエッチな青春コメディーだ。テレビシリーズに続いて続投する園子温監督、嘉郎役の染谷将太、嘉郎が片思いするクラスメート紗英役の真野恵里菜、今回オーディションで抜てきされたヤンキー女子高生、美由紀役の池田エライザが、とっておきの撮影秘話を明かした。

■国際映画祭で受賞した俳優と監督の、まさかの珍タッグ

Q:映画化の企画が立ち上がったときはどう思いましたか?

園子温監督(以下、監督):「まさか!」って感じでしたね。テレビシリーズの放映中はすごい問題作扱いで、毎週テレビ局からめっちゃ怒られていたし。

一同:(笑)

監督:放送するたびに緊急会議が開かれて。でも終了してからギャラクシー賞(優れた放送作品・個人・団体に授与される権威ある賞)をいただいて、急に周囲から褒められるようになったんですよ。そのおかげで、っていうかそのせいで、またやるハメになった(笑)。

染谷将太(以下、染谷):僕はこんなに長く(主人公の)鴨川嘉郎役をやることになるとは思っていなかったので(笑)。続けて同じ役をやること自体が初めてでしたし、面白かったですね。しかも園監督と組むのは『ヒミズ』の次に、これだったんですよ。

監督:『ヒミズ』はシリアスな映画だったから、すさまじいギャップだよね。テレビシリーズを撮り始めたとき、僕がモニターを見ながら「『ヒミズ』でベネチア(国際映画祭)のマルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)を取った俳優と監督の次回作がこんなおバカでいいの?」って言っていたら、染谷くんも同じことを言っていたらしくて。

染谷:ええ。「賞、返せ」って言われるんじゃないかって……。

一同:(爆笑)

■園監督をとりこにした真野&池田の魅力は「強さ」

Q:浅見紗英役の真野さんはテレビシリーズと映画版の間に、すっかり園子温組の常連になりましたよね。

真野恵里菜(以下、真野):うれしいことに、今年公開された園監督の作品には4本全部出させていただきました(『新宿スワン』『ラブ&ピース』『リアル鬼ごっこ』と今作)。テレビシリーズの「みんな!エスパーだよ!」はわたしがハロー!プロジェクトを卒業して最初に頂いたお仕事で、自分の中の転機になった大切な作品なんです。初の連ドラのレギュラーで、こんなにも世間に嵐を巻き起こす作品に出られたなんて(笑)。

監督:真野さんは僕にとって「強い人間」の象徴みたいな存在。最初に出会ったときから本当にマジメで、根性があった。テレビシリーズではアイドルのイメージをかなぐり捨てるような大胆な演技にも果敢に挑戦してくれたので、その後も自分の映画に続けて出演してもらっているんです。

Q:そして映画版から参加された池田さん、平野美由紀役に決まったときのお気持ちは?

池田エライザ(以下、池田):ラッキーのひと言です。わたしは演技経験もほとんどないですし、まさか自分が選ばれるとは思っていなかったので。

監督:オーディションの最終選考は激戦だったんですけど、池田さんは会話が魅力的だったんですよね。一番彼女が傍若無人で(笑)、そこにある種のインテリジェンスを感じた。

池田:確かにわたし、ずうずうしい性格だと思います(笑)。逆に園監督に初めてお会いしたときには「どんだけシャイな人なんだろう」って。でも実際お仕事させていただいたら、やっぱり作品どおりクレイジーだなって。すごく魅力的な監督です。

■撮影していてもほっといてくれる愛知ロケ

Q:撮影は園監督の故郷でもある愛知県の東三河地区ですね。

監督:そう、ねじれた地元愛というか(笑)。自分の高校時代も嘉郎と同じで、童貞で妄想ばっかりしていたし、嘉郎が通っていた道を自分も通っていた。東三河は僕にとってもんもんとしている青春そのものの場所なんですよ。

染谷:東三河、大好きですね。住人の皆さんが寛大ですし、僕らのことも面白がってくれる人が多くて。

真野:2年ぶりのロケだったんですけど、「シーホース」(劇中でエスパーたちが集う喫茶店)をお借りしているお店の近所にお子さんがいらして。今回再会したら、ずいぶん大きくなっていてびっくりしちゃいました。前は一緒に仲良く遊んでくれたのに、今回はお互いちょっと照れちゃって……。時の流れを感じましたね(笑)。大人の皆さんからはあちこちから「久しぶり!」と声を掛けていただいて。

染谷:僕も嘉郎としてあいさつしていました(笑)。

池田:わたしは初の東三河ロケだったんですけど、現場での放置っぷりがすごくて(笑)。

染谷:キャストもスタッフも土地になじんで、すっかり親しんでいるから、撮影していてもほっといてくれるんですよ。「あいつら、またやってるよ」みたいな(笑)。

監督:『新宿スワン』のときとはえらい違いだった。あのときは歌舞伎町に人がバーッと集まって、1度撮影中止になったくらいだからね。

池田:結構エッチなシーンを撮影していても、豊橋ではみんなカメラを見ない。シュールな光景なんですけど、それに慣れちゃっている自分にびっくりました(笑)。

監督:街の皆さんにものすごく助けられたと思います。東三河の豊橋市、豊川市が全面的に応援してくれたおかげで、撮影はすごくスムーズに行きましたね。

■これを観れば男子の下ネタを許せるようになる?

Q:完成した映画を観て、いかがでしたか?

染谷:いやもう、安心と信頼のエスパーぶりがさく裂していて(笑)。本当に何も考えず、ただ笑って観ていました。出ている人みんなが、おバカだけどいとおしく思える。平和な気分になりますね。

真野:実はわたし、学生のときから男子たちがエッチな本とかを学校に持ってきて、ワーキャーしてるのって、ほんっとに嫌いだったんです(笑)。「下ネタで盛り上がってる男子って、何なの!」みたいな。でもこのシリーズに出会って、それを許せるようになりました。

一同:(笑)

真野:逆にそれが健全なんだなって。今回の映画版は、もうすがすがしくて、ちょっと癒やされるくらい笑っちゃいましたね。映画が終わっても、まだ終わっていない感じというか、「エスパーだよ!」の世界を単純に観ていたいっていう感じ。単純に「こんな世界あったら楽しいだろうなあ」っていう。

池田:SFだけど現実っぽくって、パラレル感がありますよね。

監督:そうだね。テレビシリーズと映画版も、それぞれ別個の世界として作ってあるし。

Q:映画版のストーリーって、テレビシリーズと同じ基本設定で最初からもう一回やっていますよね。

監督:はい。テレビシリーズを観ていないと付いていけない「いちげんさんお断り」の映画版にはしたくなかったので。

池田:個人的には男子目線の映画の中で、やっぱり美由紀は女子が共感できるポジションなんだなって。突っ張っているようで、内側に秘めているものは彼女が意外と一番女子なので、「美由紀かわいいな」って思いました(笑)。

真野:映画の公開は新学期が始まるタイミングなので、学校でも話題になればいいなって。「ちょっとエッチなんだよ、観てみる?」みたいな、そういう入り方でもいいのかなと。男子も女子も、気楽に放課後とかにお友達と観に行ってもらえたらと思います。

池田:もう、みんな観ればいいと思う! 最高の、愛すべきピュアな青春映画なので。

染谷:どんなシチュエーションでも大丈夫な映画なので。ショッピングセンターとかのフードコートでたむろっていたその流れでシネコンに観に行ってもいいし、新宿でお酒を飲んで、2軒目は『エスパー』で、とか(笑)。

監督:意外と老若男女オッケーの映画なんですよ。まあ中高生の男子にはちょっと刺激が強いかもしれないけど、そのもんもんとした気持ちを持ち帰って、明日からの糧にしてください(笑)。

終始、穏やかに語り合う四人の姿からは、撮影チームへの強い信頼感と作品への深い愛情が感じられた。センセーショナルなイメージが強い園子温監督の作品だが、『映画 みんな!エスパーだよ!』は、おバカもお色気も優しく肯定するラブ&ピースの精神に裏打ちされた作品であることがよくわかる。窮屈でギスギスしたこのご時世にこそ観たい、解放感あふれるエンターテインメントとなっている。

『映画 みんな!エスパーだよ!』は9月4日より全国公開

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