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菅田将暉&夏帆&行定勲監督
『ピンクとグレー』
いまの日本の若手俳優の力量を存分に楽しんで
『ピンクとグレー』菅田将暉&夏帆&行定勲監督 単独インタビュー

取材・文:高山亜紀 写真:杉映貴子

『世界の中心で、愛をさけぶ』や『真夜中の五分前』など、行定勲監督が手掛ける小説の映画化は、原作とはまるで違うアプローチで、原作の世界観をより豊かにする。今回の題材は加藤シゲアキ(NEWS)の小説デビュー作『ピンクとグレー』。前半は『GO』のようなスピード感のある青春ものだが、62分後に一変、思わぬ方向へ転がり出す。映画初出演で主演の中島裕翔(Hey! Say! JUMP)を支えたのは菅田将暉と夏帆。行定監督とは今回が初仕事ながら、いまでは「毎回、出てほしい」と言われるほどの信頼関係を築き上げた。

■映画にするには、小説をなぞっていてもしょうがない

Q:毎回、行定監督は原作小説と違うアプローチを見せますが、今回はどういう経緯でこういう作品になったんですか?

行定勲監督(以下、監督):原作の良質な部分から、久々に青春映画を手掛ける感じがあったんですが、一方で、メタフィクションのような部分も生かせたらと脚本家と話し合っていました。で、そちらを大胆に取り込んでみたら、こういう映画になったという。今回の座組は誰一人、これまで一緒にやった人がいなくて、「20代前半の若い俳優たちってどうなんだろう」という思いもあり、凝り固まったやり方じゃない方がよかったんですよね。なので、菅田くんや夏帆ちゃんに「こんなの、どう?」と提案しながら、作り上げていったような感覚があります。

Q:菅田さん、夏帆さんは原作を読まれましたか。監督から原作に関して何か言われましたか?

菅田将暉(以下、菅田):何か言われましたっけ?

夏帆:特に何も言われてなかったですね。

菅田:僕は冒頭の幼少期の雰囲気だけ気になっていたので少しだけ読みました。

夏帆:わたしもちょっとだけ読んでみたんですが、脚本と全然違うなと思って途中でやめました。

監督:小説が原作であることは確かでそこから映画は生まれてるんですが、ちゃんとした一つの映画にするには、小説をなぞっていてもしょうがない。作家は映画にしようと思って書いてないわけで、それは言葉での表現なわけです。映画を前提に書いている作家もいるかもしれないけど、そういう作品はイメージが凝り固まっていて、たいていつまらない。だから、別に読んでも読まなくても関係ありません。そういう意味では台本もそこから役者たちが飛躍すればいいと思っています。

■役は演じる俳優が一番、わかっている

Q:脚本を読んで、どう思いましたか。

菅田:やはり、62分後の仕掛けですよね! ずるいなと思いました。わかりやすいし、それだけで観てみたい、面白そうだと思いました。

夏帆:わたしも。だから完成がとても楽しみだったんです。

Q:行定監督との初仕事はどうでしたか。他の監督と比べて、テイク数が多いと言われていますが?

菅田:すごく楽しかったです。現場は和気あいあいとしていて、監督も楽しそうでした。

夏帆:実は撮影前に普段、連絡が来ないような人からも連絡が来たんですよ。「次、行定組やるんだって? 体に気を付けてね」って(笑)。でもそんなに大変だとは思わなくて、すごく楽しかったという印象が強いですね。

菅田:「監督は何かほかに観たいのかな」という時間が何テイク目かにあるので、そうなったらそうなったで「できることはやろう!」って思うような回数の重ね方でした。僕と裕翔はエンジンのかけ方が真逆だったんです。僕が一発目にドーンとやるのに対し、裕翔はだんだんよくなっていくタイプ。それで、なんか監督も困っているようなところはありましたね。

監督:僕の印象としては、ジェネレーションなのかもしれないけど、みんな衝動に対して実に素直でした。夏帆ちゃんはやった後、必ず「大丈夫でした?」って聞いてくるんです。とにかく、いま自分の出せるものをバーンと出してるんでしょう。だから、もっとあるのかもしれないと探ってみたい気になる。菅田は炸裂してた。彼には「こういうこと、やったら面白いな」っていうのがあって、まず、それを見せてくる。意見を言うと「そうですよね」とは言うけど、2テイク目でもできてない。カットをかけると「ですよね。すみません」って(笑)。そうにしかならなかったっていう素直さがこっちを楽しくさせるんです。役は演じる役者が一番わかっている。二人は実によくわかっているから、任せるしかなかったです。

■夏帆、大人に成長した中島裕翔とのラブシーンに困惑

Q:3人は幼なじみの設定ですが、どのように仲のいい空気感を作っていったのですか?

夏帆:わたしが現場に入ったときは、二人はすっかり仲よくなってたんです。そこにどうやって入っていくのか。ずっと「頑張れ、わたし!」みたいな感じでした(笑)。でも二人は素直に受け入れてくれました。

菅田:すみません(笑)。裕翔とはなんか一緒にいて楽だったんですよね。作品と同じように僕は自分の役としてサリー(夏帆)を見ていたんですが、裕翔はフランクにしゃべりかけていったので、心の中で「ナイス!」って思ってました。

夏帆:実はわたし、中島さんとの共演はこれが三度目なんです。わたしより全然、(身長が)小さかった頃から知っているし、テレビでの活躍を見てきたから、勝手に遠い親戚のおばちゃんみたいな感じで思っていたんです。あんなに大きくなっちゃって(笑)。

Q:今回はラブシーンもありましたね。

夏帆:だから、台本を読んだときは「えっ?」って驚いちゃって……。「わたしたち、お互いすごく大人になったね」と感慨深かったです(笑)。

Q:前半と後半では内容ががらりと変わりますが、撮影の進行はどのようにしたんですか?

監督:バラバラに撮りました。文字で読むと、今回の仕掛けは頭を使うんですよ。当初、プロデューサー全員から、わかりにくいって反対されましたが「絶対、わかりにくくない!」って押し切りました(笑)。加藤シゲアキくんが書いたある部分の順番をうまく入れ替えるとこういうことになるんです。これは前例のない仕掛けですね。いまの日本の若手俳優の力量を存分に楽しんでください。相当、面白いはずです。僕自身も楽しく撮影出来ました。

Q:二人は混乱しませんでしたか?

菅田:意外と大丈夫でしたね。

夏帆:わたしは見かけから違いますから。メイクされながら「今日はこっちか」と思いながら、心の準備をしていきました。

菅田:もう2作品と言ってもいいかもしれません。衣装を着て本番に臨む裕翔とのやり取りが、前半と後半でがらりと変わりました。二人の間の絶妙なバランスが変化していったので、それをすっかり楽しんでいました。

■バンド結成したものの、現在活動休止中!?

Q:原作では、蓮吾(中島)と大貴(菅田)がコピーするのはオアシスとウィーザーだったんですが、なぜ映画ではくるりとフジファブリックなんでしょうか。

監督:日本のロックの方がリアリティーがあると思ったんです。

菅田:そこに関しては僕と裕翔も同じです。二人で、曲というほどはできていないんですが、フジファブリックだったら「茜色の夕日」とかを二人で一緒にやったりしていました。

監督:撮影が終わってから、3人でバンドをやったんでしょう?

夏帆:はい、やりました。わたしはベースなんですけど、全く弾けないので、足を引っ張る一方でした。結成したばかりですが、ただいま活動休止中です(笑)。

菅田:活動してない!(笑)。裕翔の音楽力が高すぎて、僕らがついていけなくて、すっかりおんぶに抱っこでした。

Q:最後に行定監督から見た3人の役者の魅力を教えてください。

監督:中島裕翔は、今回映画初出演なんですが、ポテンシャルがすごい。この二人の達人たちの演技をしっかり受け止めて、非常に面白い存在でした。菅田はいまの日本映画界が一番、欲している俳優の一人。これからどんどん変化していくだろうから、いまはとにかく来る球、全部打っていってほしい。夏帆ちゃんとは以前から仕事したいと思っていて、今回いろんなものが見えた。仕事がしやすい女優さんなので、これからも何か一緒に冒険できればと思います。二人に関しては毎回出てほしいね。また何かやらかしたいなと思います。

菅田:次、何にしますかね! 監督とは打ち上げのときもそうでしたが、四六時中、今度何しようかって、話してたんですよね。

監督:いくらでも企画が浮かぶんだよ。二人とならいくらでも作れそうだよ!

頭の回転が速く、エネルギーがあふれ出んばかりの菅田将暉。行定勲監督のどんな注文にも食らいついていく姿が容易に想像できる。マイペースに見えて、タイミングを逃さない、実はしっかり者の夏帆は、周囲が心配した行定組でも「楽しかった」と言ってのける大物だ。「また一緒に組みたい」と二人に監督が送った言葉はきっと本音のはず。その監督の策通り、リミッターを外し、本作でこれまで見たことのない姿、表情を見せた菅田と夏帆、そして中島裕翔。「俳優を見ているだけで楽しい!」と話した監督の言葉に、観客は大いに共感することだろう。

(C) 2016「ピンクとグレー」製作委員会

映画『ピンクとグレー』は全国公開中

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