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『Mr.ホームズ 名探偵最後の事件』真田広之 単独インタビュー

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(C) SLIGHT TRICK PRODUCTIONS

 海辺の家でミツバチの世話をしながら余生を送る93歳のシャーロック・ホームズが、彼を引退に追いやった未解決事件を調査するという『Mr.ホームズ 名探偵最後の事件』。英国の名優イアン・マッケランがホームズにふんし、『ゴッド・アンド・モンスター』ビル・コンドン監督と再びタッグを組んだ感動のドラマだ。記憶力が衰えてきたホームズが、知力を高める効能を持つ植物を求めて日本を訪れるが、彼を案内する男を、ハリウッドで活躍する実力派俳優・真田広之が好演している。テレビシリーズの撮影で多忙な日々を送る真田が、今作にかける思いやハリウッドにおける活動について語った。(取材・文:吉川優子)

■日本文化への尊敬を感じ「いけるな」

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(C) SLIGHT TRICK PRODUCTIONS

Q:ハル・ベリーと共演したドラマ「エクスタント」に出演していたころに、今作の出演依頼がきたそうですね?

そうなんです。脚本を読んでみて、素晴らしい内容だったし、イアンとビル・コンドン監督ということで、これはやりたいっていうのがまずありました。それで、原作を読んで、監督に電話したんです。それが初めての会話でした。役に対するイメージや、原作との違いを確認しあったりしました。日本のシーンをどういう意味合いで描くのかについて話しているときに、監督から日本の文化に対する尊敬の念を感じたんです。直感的に「いけるな」と思い、電話の最後には、「じゃあ、ロンドンで会おうね」ということになりました。

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(C) SLIGHT TRICK PRODUCTIONS

Q:演じられたウメザキというキャラクターについて教えてください。

かなり屈折した、いろいろなコンプレックスを抱えた男ですね。母との二人暮らしの中で、シャーロックに対して、愛憎が入り交じった複雑な感情を持っている。父の影響で英国に傾倒していて、洋館に住み、英国紳士のような服装をし、ブリティッシュなまりに憧れて、頑張って話そうとしています。原作とはまた人物像が違うんですよ。映画では、わりとシンプルに、シャーロックとの関係性だけに集中しています。

Q:スーツや丸メガネがとてもお似合いでした。

衣装合わせで、(ロンドンの)大きな衣装倉庫に行ったんですが、そこには年代もののスーツやドレスが何万点とつるしてあり、英国映画界の歴史、奥深さを見た気がしました。その中からアンティークのウールのスリーピースを選んだんです。丸メガネは、ロサンゼルスのアンティーク屋で買ったんですが、僕の読書用メガネと同じ度数で、あつらえたようにぴったりだった(笑)。それをかけて原作を読んだんですよ。現場に持って行ったら、衣装デザイナーがすごく気に入ってくれて、どの衣装にもよく合いました。ビルもとても気に入ってくれて、「採用!」となったわけです(笑)。

Q:撮影現場の日本の描写についてはいかがでしたか?

神戸駅とかのセットには漢字(の標識など)もあるので、リハーサルの前にチェックしました。美術さんが頑張ってやってくれていたので、漢字の並び方もデコレーションも良かったんです。また、エキストラさんの中には日本人ではない方もいるので、着つけとか所作とか、見える範囲の中で気になるところはビルに伝えました。

■イアン・マッケランの情熱に感服!

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(C) Agatha A Nitecka / SLIGHT TRICK PRODUCTIONS

Q:イアン・マッケランとの初仕事はいかがでしたか?

イアンは、特殊メイクした後はずっと集中していて、トレーラーから現場に歩いて行く時も、カットがかかって休憩に行く時も、歩き方から仕草まで、93歳になったままなんです。決して技術だけに頼らず、役になりきることで、その瞬間出てくる表現や感情を大事にしているところがやはりすごかったですね。テイク毎にアプローチを変えてみたり、アイデアを出したり、あれだけのベテランでも、全く情熱を失っていないんです。

Q:彼との撮影は、どのように進められたんですか?

イアンが役になりきってくれていたから、カメラの前で、イアンではなく、老いたホームズと、ウメザキとして対峙(たいじ)していればよかった。だからすごく楽でした。よけいな世間話をしなくてもいいし、やるべきことに集中できたんです。

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(C) SLIGHT TRICK PRODUCTIONS

Q:オフの時間を一緒に過ごすことはありましたか?

撮影中は、現場が終わるとすぐに解散でした。飲みに行ったりする時間も余裕もなかったし、次の日のセリフを覚えなきゃいけないですしね(笑)。でも、ベルリン国際映画祭の後、みんなで食事に行ったり、バーに繰り出したりしました。彼はとてもチャーミングで、ジョーク好きで、歌うし踊るし、とにかく周りを楽しませてくれる。キャンペーンの最終日には、宴の終わりに向こうから寄ってきてくれて、隣に座って、「現場で会っていた時は、おまえはまさにウメザキそのもののような人間だと思っていた。でも、あれは全部演じていたんだね。おまえで良かったよ」って言ってくれたんです(笑)。それがすごくうれしかったですね。

■古い日本人のイメージを払拭していきたい

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ロサンゼルスに拠点に活動して10年が経った真田広之。現在撮影中の新作のために、ヒゲをたくわえていた

Q:ロサンゼルスに拠点を移して約10年、ハリウッドのトップ監督や役者と仕事をされていますが、振り返ってみていかがですか?また今後についてどうお考えですか?

幸運にも、良い監督、素晴らしいキャストと仕事ができるようになりました。毎作、仕事であっても、オーディションだと思ってやって来たんです。「これがうまくいかなければ、次はないぞ」という思いでやってきて、それが次へ次へとつながってきた。よくサバイブできたな、という思いと、逆に足場が固まって、今までよりも高いハードルに挑もうという緊張感があります。そういう意味では、これからっていうイメージですね。

Q: 「HELIX -黒い遺伝子-」「エクスタント」と話題のテレビ番組にもレギュラー出演されていますね。テレビの仕事は、直前まで脚本をもらえないことがあり、撮影のスピードも速くて大変と聞きますが、いかがですか?

作品毎、少しずつペース配分などができるようになり、英語も楽になってきました。その分集中しやすくなってきているので、これはもう経験を積むしかないと思い、今、また懲りずに新しいテレビ番組に飛び込んでいるんです。現場のクオリティーは高いし、影響力という意味でも、世界中の観客の目に触れてしまう。そこにさらされている緊張感も面白いですね。この『Mr.ホームズ』も、2本のレギュラーをやっていなければ、怖気付いて辞退したかもしれないですけど、「これは、テレビの現場に比べれば、頑張れる範囲じゃないか」って思えたんですよ。だからこれからも、役とプロジェクトさえ良ければ、飛び込んでいこうと思います。

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Q:映画でもテレビでも、作品選びでは、どのような部分を大事になさっていますか?

自分が参加することに何か意義を感じられるものであれば、多少の危険を感じても、避けずに飛び込んで、できる限り日本で生まれ育ったものとしての意見を言えればと思っています。やはり、向こうの日本人に対するイメージだけを押し付けられるものは避けてきたつもりだし、これからも、古い日本人のイメージを払拭していきたいし、それに見合う役や作品を選んでいきたいなと思っています。

撮影中のテレビ番組のためにたくわえたヒゲの姿で、取材場所を訪れた真田広之。相変わらず若々しく精悍で、話していると人柄のよさがにじみ出る。常に自分自身に挑戦し続けるポジティブな姿に、こちらも勇気づけられた。

映画『Mr.ホームズ 名探偵最後の事件』は3月18日よりTOHOシネマズシャンテほかにて全国公開

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