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佐藤健&宮崎あおい
『世界から猫が消えたなら』
猫の肉球はいいにおい!?
『世界から猫が消えたなら』佐藤健&宮崎あおい 単独インタビュー

取材・文:斉藤由紀子 写真:高野広美

『告白』『悪人』『モテキ』などの映画プロデューサー川村元気の小説を映画化した『世界から猫が消えたなら』。余命わずかな郵便配達員が、自分と同じ姿をした悪魔と「世界から何かを一つ消すことで、一日の命を得る」という取引をしながら、大切な人々との絆を確認していく姿を描く。主人公の“僕”と悪魔の一人二役を演じきった佐藤健と、僕の元恋人“彼女”を演じた宮崎あおいが、和やかに撮影時を振り返った。

■イジワルな悪魔が面白い!

Q:両親への感謝や死生観など、いろんな気付きのある作品ですね。

佐藤健(以下、佐藤):僕は撮影中、完全に自分が演じた“僕”の気持ちになっていました。“僕”が親に対して感じたことを、自分が感じたように思っていますし、自分自身の親を完全に投影させていました。例えば、原田美枝子さんが演じた母親と、自分の母親と、二人の母がそこにいるような感覚で、二人を思い浮かべて演じていました。

宮崎あおい(以下、宮崎※「崎」は正式には「大」が「立」):わたしは、“僕”のお父さん(奥田瑛二)とお母さんが好きなんです。“僕”が生まれたときのお二人の表情がすごくステキで、こんな風に愛されて人は育っていくんだなと思いました。「生まれてきてくれてありがとう」というセリフが本当に良くて、きっと自分が生まれたときもそう思ってもらえたんだろうなと感じましたし、人は生まれてきただけで意味があって、それだけでいいんだって思いました。

Q:佐藤さんは“僕”と同じ顔の悪魔を演じるにあたって、「指を長くする」というアイデアを出されたそうですね。

佐藤:今回のお話をいただいたとき、悪魔は特殊メイクや衣装などで、“僕”とは違った風貌がいいなと思っていたんです。でも、(永井聡)監督との話し合いで、まったく同じ顔をした人に怒られたりしたほうが面白いのではないかと言われ、なるほどなと。ただ、悪魔というキャラクターは実際にいるわけではないので、何をしてもいい分、難しいと思いました。せっかくファンタジーなのだから、観ている方にインパクトや違和感を残したいと思い、指が長いという特徴を付けてほしいとお願いしました。

宮崎:わたしは、佐藤さんが悪魔を演じているときに現場にはいなかったので、完成した作品で観させていただいたのですが、同じ顔の“僕”と悪魔がいて、キャラクターが全然違うというのが面白いと思いました。“僕”はとても静かな男の子なのに、それとは正反対のすごくイジワルな悪魔がいて、本当に面白かったです。

■撮影中の気持ちは「イーーーッ」?

Q:一人二役の現場で、ご苦労もあったのでは?

佐藤:撮影中は、ずっと「イーーーッ!」ってなっていました。

宮崎:もっと具体的に言ってほしい(笑)。

佐藤:今回は、芝居の相手が自分自身だったり猫だったりして、友達とも会えない中で数週間過ごしていたので、「イーーーッ!」。それが一番適切に感情を表しています(笑)。

宮崎:すごくわかるような気がします。お芝居をしているときって、相手の方の反応があって楽しいと感じることが多いので、それが猫だったり自分自身だったりというのは、他の人とお芝居をしているときとは違う大変さがあると思うんです。

佐藤:そうですね。苦しいという気持ちとか、いろいろな思いがありまして、僕の中ではかなり大変な撮影でした。モノ作りは大変なのだなと改めて思いました。

Q:宮崎さんの演じた“彼女”は、アルゼンチンの世界遺産「イグアスの滝」で「生きてやる!」と叫ぶシーンが印象に残ります。

宮崎:滝からもらうパワーがありましたね。水しぶきが飛んでくる中、ビショビショになってお芝居をしていたんですけど、朝が早くて人もいない中だったこともあり、集中してガツンとやることができました。とても貴重な経験です。

佐藤:イグアスの滝は本当に素晴らしいです。僕は友達に、「一生に一度は行ってみたほうがいい」って言っています。

宮崎:あまりにも大きすぎて、水が流れているのに止まって見えるというか、一瞬だけ静止画を見ているような感覚になりました。

■犬の肉球はお菓子のにおいがする!?

Q:アルゼンチンのロケは、アクシデントなどもあって波乱万丈だったとか?

佐藤:いろいろありましたが、総じて楽しかったです。飛行機の乗り換えでトラブルがあって、予定していた便ではないのに乗ることになったとか、みんなで大冒険しましたね。

宮崎:しましたねえ。

佐藤:あおいちゃんは、そんな非常事態でも動きが速いんです。いつもスタスタと前を歩いている感じ(笑)。あと、ロケのときってスタッフさんたちがガラガラ(キャリーバッグ)をたくさん持っていて、それを大きなカートに乗せて運ぶのですが、そのカートを100パーセント最初にあおいちゃんが持ってくるんです。行きも帰りも、飛行機を乗り換えるたびにそうで、カートをニコニコしながら持ってくる。

宮崎:カートを持ってくるのが好きなんです。押すのが楽しくて(笑)。

Q:猫がキーワードの本作。佐藤さんは生まれたときから猫と暮らしている猫派で、宮崎さんは犬派なんだそうですね。

佐藤:猫は本当にカワイイし、面白い。僕は犬も大好きなんですが、犬ってワチャワチャってせわしなく動くじゃないですか。でも猫って、のそっとシュールに動くんです。のそりのそりと動いて面白いことをするところが好きです。

宮崎:わたしは犬を飼っているので犬派なんですけど、友達が猫を飼っていて抱っこしたりすると、フニャっとした柔らかさがいいんですよね。犬にはない柔らかさだから、気持ち良くていいなと思います。あと、柔らかい肉球!

佐藤:え、犬には肉球がないの?

宮崎:あるけど、外を散歩していると固くなっちゃう。でも、犬の肉球はお菓子のにおいがするの。

佐藤:お菓子って、なんのお菓子?

宮崎:あのね……そう、コーンポタージュ!

佐藤:あー、そういう風味のスナックあるよね。でも、そんなにおいがする肉球の犬って、あおいちゃんの家の子だけだと思う(笑)。

宮崎:そうかな(笑)。猫の肉球は嗅いだことがないけど、たぶんいいにおいがするような気がします。

■宮崎は深窓の姫、佐藤は勇敢な戦士!

Q:佐藤さんは現場で宮崎さんとあまり話せなかったとのことですが、まったくそんな感じはしないですね。

宮崎:わたしはちゃんと心を開いてコミュニケーションを取っていると思っているんですけど、周りの人にはそう見えていないことが多いみたいで、「会話のラリーが続かない」とかすごく言われたりします(笑)。佐藤くんは優しいから、わたしの言うことを拾ってくれて、ポイポイと球を投げてくれるので会話が成り立つんです。

佐藤:僕も監督も川村さんも、現場でいかにあおいちゃんと仲良くなるか、作戦を立てていました。今日はあおいちゃんが話してくれた……とか(笑)。要は、みんなあおいちゃんと近くなりたいんじゃないですかね。でも、なかなかうまくいかずにもがいていました。まさに遠い存在の姫ですね。僕とか監督や元気さんは、精神的にタフなところがあるのですが、タフじゃない人だと心が折れるかもしれないです。普通なら断念しちゃうところを、僕らはめげずに果敢に立ち向かって行くという(笑)。

Q:姫に近づくために戦う戦士のようですね(笑)。

佐藤:そう、ソルジャーですよ!

宮崎:もう、こんなにわたしのことを拾ってもらえて、本当にありがたいです(苦笑)。

佐藤:でも、まだ戦いは終わってないですから。これからも僕たちは戦い続けます(笑)。

「あおいちゃんに近づけなくて……」と心底楽しそうに佐藤が語ると、「そこまで遠くなかったでしょ」とふんわり可憐に笑う宮崎。そのほほ笑ましい会話から、むしろ絶妙な信頼関係を感じる。アルゼンチンで日本食が恋しくなり、最終日にやっと食べられた和食弁当について「おいしかったねえ」と語り合う二人の満足気な表情は、劇中でお互いの大切さを痛感する“僕”と“彼女”そのものだった。

映画『世界から猫が消えたなら』は5月14日より全国公開

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