シネマトゥデイ

玉木宏&広瀬アリス
『探偵ミタライの事件簿 星籠(せいろ)の海』
玉木宏は全然クールじゃない!?
『探偵ミタライの事件簿 星籠(せいろ)の海』玉木宏&広瀬アリス 単独インタビュー

取材・文:折田千鶴子 写真:中村嘉昭

ミステリー作家・島田荘司による、累計550万部を突破して更新中の“御手洗潔”シリーズの第49作をベースにした本作。探偵を趣味とするIQ300以上の脳科学者・御手洗潔役は、原作者に「彼しかいない」と言わしめた玉木宏。NHK連続テレビ小説「あさが来た」で大きな話題を呼んだヒロインの夫役から一転、天才探偵にふんする。御手洗を難事件に引っ張り出す、映画オリジナルのキャラクター、若手編集者の小川みゆき役には広瀬アリス。静と動、対照的な名コンビが誕生するまでの軌跡を2人が語った。

■玉木宏&広瀬アリス=御手洗潔&小川みゆき

Q:天才探偵と、彼の助手的な存在となる編集者。どんなところからキャラクターを作り上げていきましたか。

玉木宏(以下、玉木):まずは御手洗の変人っぽさ、天才ぶりを、どういう演じ方をすれば出せるかを考えました。普通は誰かと会話をするとき、相手がどう出てくるのかを考えながら話を聞くし、話すときには身振り手振りを使ったりもしますよね。でも御手洗という男は、相手が何を言いたいのかをわかっているので、相手の話を食って話し始める。しかも話すことはすべて頭の中に用意されているから、一切身振り手振りを使わない。そこが変人っぽさにもつながるかな、と自分の動きや表情に制限を設けて演じました。

広瀬アリス(以下、広瀬):わたしの場合、自分がみゆきに本当に似ていたんですよね。よく笑うし、よくしゃべるし、好奇心旺盛で迷うことなく行動に出るんだけれど、ショッキングな場面ではワ~ッと動転したり(笑)。だから何かを作ろうとするというより、ワクワクしながら素の状態で現場に入っていった感じです。

玉木:ホント、そのまんまだもんね(笑)。

広瀬:意地悪言わないでください~(笑)。最初は玉木さんがクールな方かと思って、初日はほとんどお話もせず、お芝居も遠慮している自分がいたんです。でも玉木さんが話しかけてくださって、打ち解けられてからは、お芝居も思い切りできるようになりました。玉木さん、すごくおしゃべりなんです。

玉木:いや、そこまでしゃべらないだろう!

広瀬:しゃべっていました! 全然クールじゃなかった(笑)。

玉木:おい!

Q:今のお二人の絶妙な掛け合いは、そのまま御手洗とみゆきの掛け合いに反映されていましたね!

広瀬:割とどんなテンションで演じても玉木さんがズバッと反応してくださるので、わたしは上げれば上げるほど面白いかなと、どんどん上げていきました。みゆきが自分の世界に入り込んで突っ走って推理を展開した後に、「どうですか?」と御手洗さんに聞くと、「うるさい」と一言で却下される、みたいな(笑)。

玉木:ですね。御手洗はいちいちリアクションするタイプではないですし、周りにいるみゆきや刑事たちが翻弄されることによって、御手洗の異物感、異質な感じがより浮かび上がってくるとも思ったので、引っ張って引っ張って、ここぞというときに反応する感じでしたね。ある程度、みゆきを泳がせておかないと、彼女のキャラクターも立たないかなと。

広瀬:そんなお気遣いがあったんですね! 本当に掌で転がされていた感じでした。

■長ゼリフもスラスラ!セリフ覚えは得意な2人

Q:御手洗には朗々と解説する長いセリフがありますが、玉木さんは監督を「天才」とうならせたそうですね。セリフ覚えは2人とも得意ですか?

玉木:感情を乗せられるセリフならまだしも、今回はミステリー作品ということもあって状況説明的なセリフが多かったので、瞬時に覚えられるものではなかったです。まずは撮影スケジュールを確認し、当日どんなテンションで(セリフを)発するのか、計算しながら覚えていく感じでした。セリフがスラスラ出てこなければ、動きも付いてこないのでそこはこだわりました。広瀬さんはセリフは完璧で、NGゼロでしたよ。

広瀬:確かにNGはなかったかもしれません。セリフ覚えは苦手ではないです。

玉木:難しい言葉が出てきても、パキパキしゃべっていた印象がありますね。もしかしてカンペを用意していた?

広瀬:違いますよ! カンペなんかないです!

玉木:実は彼女、体育会系で、監督の要望に対して「はい、わかりました。やってみます!」と言い訳は一切せず、とりあえずチャレンジするという感じで、完璧にこなしていました。見ていて気持ちよかったですよ。

広瀬:えっ! 急に褒められて照れますけど……うれしいです!

■玉木宏、ゴキブリのおもちゃを大人買い

Q:現場で印象的だった出来事は? 待ち時間はどのように過ごされていましたか?

広瀬:玉木さん、いきなりゴキブリのおもちゃとか投げてくるんですよ~!

玉木:あれは一種のコミュニケーションとしてね。

広瀬:最初に買ったのはわたしなんですけどね……。

玉木:倍返ししてやろうと思って、わざわざ雑貨店に行って大人買いしました。

広瀬:「本番、よーい」って、投げてくるんですよ! ビックリしました(笑)。

玉木:あれはね、本番中に虫が飛んできても手で振り払ったりせずセリフを言えなきゃダメだぞ、というメッセージをこめて(笑)。

広瀬:本当に虫が嫌いなんです。撮影中も虫が寄って来るので、つい……(笑)。

玉木:待ち時間中、彼女は現場にたくさん漫画を持って来て、いろんなジャンルのものを読んでいましたね。かなりの集中力で、すごいなと。そのときに勧められて買った電子書籍も、面白いなとは思ったけれど、結局僕は途中で断念しちゃいました。

広瀬:それを聞いて、人生損してるなと思いました(笑)。

玉木:映像化されるものもたくさんあるからね。

広瀬:そうですよ、読まなきゃダメです(笑)。

■クライマックスはしかめっ面で奮闘!

Q:いろんな要素が詰め込まれたミステリーですが、ズバリ、魅力はどこでしょう?

玉木:猟奇的な事件から幕を開け、最後はロマンに行きつくわけですが、そこに日本の歴史も関わっているというのが、上質なミステリーである理由だと思います。原作本の厚さからもわかる通り単純な話ではないし、それだけにいろんな伏線が隠されていて、たどりつく結果に意外性もあって。

広瀬:わたしはみゆきと全く同じように、何と何がつながっているんだろうと、単純にワクワクできました。そこが魅力でしょうか。

玉木:広島県・福山市を舞台にしている理由もきちんと出てくるし、原作の面白さはもちろんですが、約2時間に集約した面白さもあると思います。

Q:終盤には海洋歴史ロマンのごとく、“あるもの”も登場しますね。監督が粘ったシーンとも聞きましたが。

広瀬:それと対峙する場面では、かなり長い時間クルーザーに乗っていましたね。

玉木:天気もよく、海も荒れていなかったので、さほど大変な思いはしていないのですが、日差しが強過ぎるから逃げ場がなかったというのはあります。とてもいいクルーザーだったのですが、日陰が見当たらなくて。広瀬さんは傘を持って来ていたけど、使い物になっていなかったよね(笑)。

広瀬:そうなんです。風が強くて大変でした!

玉木:僕は風よりもまぶしいのがつらかった。ある人物が船尾の方にいるんですけど、沈みゆく夕陽が、その人物の真後ろにあって(笑)。

広瀬:彼をじっと見なきゃいけないのに、まぶしくてまぶしくて、目を開けていられなくて(笑)。逆光過ぎて表情はおろか、その人のシルエットしか見えない状態で。

玉木:2人して、こんなしかめっ面(白目がちな顔)で、頑張って目を開けようとしていましたね。

広瀬:唯一、大変な思いをしたシーンでした(笑)!

インタビュー中も、終始楽しそうに笑い続けていた広瀬。そんな笑い上戸の彼女に、鋭いツッコミを入れながらも彼女を立てようとする玉木の、大人な男気も垣間見られた。撮影現場を独特のコミュニケーション力で盛り上げた座長・玉木と、それに応えて可憐にコミカルなリズムを刻んだ広瀬が導き出す、玉虫色のミステリーの謎とその結末。事件に関わる人々の複雑な事情や胸中に、きっと驚きながら、感慨を深くするだろう。

映画『探偵ミタライの事件簿 星籠(せいろ)の海』は6月4日より全国公開

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