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綾瀬はるか&斎藤工
『高台家の人々』
“妄想”でやっと言える本音
『高台家の人々』綾瀬はるか&斎藤工 単独インタビュー

取材・文:高山亜紀 撮影:高野広美

口下手で妄想好きな女の子・木絵と、人の心が読めるテレパスのイケメンエリート・光正のユニークな恋愛模様を描いたラブコメディー『高台家の人々』。同性も応援したくなるようなヒロインを愛らしく演じたのは綾瀬はるか。光正役は「少女漫画原作ものは自分に縁がないと思っていた」という斎藤工。木絵に負けない妄想派であろうことが想像に難くない二人が、お気に入りの妄想や物語の見どころ、さらには恋愛観まで大いに語り合った。

■少女漫画のカルチャーは日本特有

Q:木絵は同性も思わず応援したくなるようなかわいらしい女性でしたが、綾瀬さんは演じる際にどんなことを意識しましたか。

綾瀬はるか(以下、綾瀬):木絵ちゃんという人は本当に一点の曇りもない、ものすごくきれいな心の持ち主なんです。なので、撮影期間中は自分も同じように、内面からきれいじゃないといけないなと思いながら、演じていました。

Q:木絵のにじみ出る柔らかさが綾瀬さんと重なって見えましたが、共感するところはありましたか。

綾瀬:付き合ってずいぶん長い関係なら言えるけれど、そこに到達するまでは「言えばいいのに、なかなか言えない」みたいな時期がありますよね。気にしないで言えば楽になるのに、考えたり空想したり、あれこれもじもじ悩んでしまう。そういうところはすごく共感できます。

Q:斎藤さんは光正役をオファーされた時、どういう心境でしたか。

斎藤工(以下、斎藤):こういう少女漫画のカルチャーって、日本特有のものですよね。しかも、それを原作にして、定期的に大々的に映画化されている。これってゼロ年代からの新しい邦画の一つの文化だと思っているんです。もともと興味はありました。でも、自分がこういう世界観の作品のオファーをいただくとは全く思ってもみなかったので、「なんで僕なんだろう? 何人かダメだったんだろうな」と思いました(苦笑)。考え過ぎると、キツいなとも思いましたね。役柄もそうだし、相手役が綾瀬さんなんて身に余る仕事です。

綾瀬:何言ってるんだか(笑)。

斎藤:何言ってるんでしょう(笑)。

Q:少女漫画の理想の男性像のような光正を演じる上で、どんなことを心がけましたか。

斎藤:生身の人間がやる理由みたいなものは自分で考え過ぎない方がいいなって思いました。最後はキャスティングした方の責任だと思うようにしました(笑)。ただ、僕と綾瀬さん演じる木絵にしかない何かが生まれたらいいなとは思いました。もちろん、それぞれの役者さんとも。それが出ないと実写化した意味がないから、自分の成分でやるしかないと思っていました。

■イタリアの映画祭でもバカうけだった妄想シーン

Q:ユニークな妄想シーンが随所に盛り込まれていますが、お気に入りの妄想はありましたか。

綾瀬:やっぱり、大正時代ですね。木絵が駆け落ち=「金色夜叉」みたいな想像をするんです。まるで時代劇みたいで、喋り方も「そうでがんす」みたいな(笑)。

斎藤:僕も大正時代好きだなぁ。あと、妄想の始まりでもある、牛丼屋さんも好きでした。それ以外の妄想はすごくスケールが大きいし、あれ以降の妄想は光正ありきのものになっちゃうんだけど、あそこだけは木絵さんの日常的な妄想のなかに光正が登場する。そういうところも好きです。

綾瀬:私は木絵が「好きです」って言ったら、振り返った塚地(武雅)さんが「ごめんなさいでげす」ってところも好きでしたね。

斎藤:あの場面はイタリアの映画祭でもバカうけでした。妄想シーンはこの映画の肝でもありますから、塚地さんをはじめ、かなり本格的に特殊メイクをし、美術さんやCG部さんもこだわり抜いて撮影していました。本当に楽しかったです。

綾瀬:木絵ちゃんって、口下手で思ったことをあまり口に出せるタイプじゃなかったから、妄想シーンでやっと本音が言える気がして、私自身も楽しかったです。

■恋愛は自分より相手を大切に思う気持ち

Q:テレパスの物語には悲しいものが多いですが、木絵と光正がいい関係を築けるのはなぜでしょう? 二人の性格が素敵だからですかね。

綾瀬:それもあるかもしれません。私の意見をまず言わせてもらうと、見終わった後、「ああ、二人はお互いのことが本当に好きなんだな」って思ったんです。恋愛は好きってことが大事なんだなって、心から思いました。だから、うまくいく。それって当たり前のことなんだけど、難しい。根本は何よりもまず、相手を好きかどうか。そういうことなんじゃないかな。

斎藤:素晴らしいです。僕としては、光正の祖父母である茂正とアンの存在が大きいのかなと思いましたね。木絵と光正と同じ困難を迎えた二人ですが、彼らがそれを乗り越えたからこそ光正の両親があり、光正が生まれた。自分の存在理由にきっと木絵も気づいてくれたんじゃないのかな。

綾瀬:でも、そもそも木絵が光正さんのことを好きじゃなかったら、アンに何を言われても心は動かないですよね。光正より自分の方が大事だと思っていたら、どうだろう。木絵は光正が好きで、自分のことより大事にしたいと思った。だから、アンの言葉が響いたんだと思います。

斎藤:なるほど。ごもっとも。綾瀬さんの方が深いです。

綾瀬:いや、そこは勝ち負けの問題じゃないですから(笑)。

斎藤:最初はいついかなる時も光正が主導権を握っているんです。でも、だんだんと逆転してきて、最後には木絵次第になる。そして、最終的にはお互いの弱みをさらけ出す。相手の弱点を知っても本当に好きでいられるかどうか。綾瀬さんの意見と同じになってしまいましたけど、僕もこの映画のそういうところが好きですね。

Q:木絵の立場だったら、光正みたいに心を読める相手はどう思いますか。

綾瀬:本当に相手のことが好きなうちは、心を見られると楽なのかなとは思います。伝えたくて伝えられないことってあるじゃないですか。でも、好きじゃなくなった時、大変ですよね(笑)。心を読まれたら、「ごめんなさい」って気持ちになってしまう。結局は心の中なんて、見られない方が面白いです。相手が何を考えているのかわからなくて、想像したり、思いを巡らせたりするのも恋愛の楽しさの一つだと思います。

■人の心が読めたらいいなと思う時

Q:例えば、自分がもし相手の心が読めたら相手に言いますか。

綾瀬:どうかな……。ず~っと一緒にいる人だったら、それを隠すのはきっと無理があると思う。

斎藤:辛いよね。「言っちゃおっかな」って思う。

綾瀬:うん。言わないとよくないと思う。

斎藤:気を使っちゃう。「見えてるぞ」っていうのを言わないと。人ってとんでもない妄想をするじゃないですか。人には当然言えないようなスケベな妄想を。

綾瀬:いったいどんな妄想してるんですか(笑)。

Q:逆に人の心が読めたらいいなと思うことはありますか。

斎藤:どっちの意味だろうという時ですね。大御所の監督や俳優さんと話していて、「最近の○○はどう思う?」って聞かれた時に、「何が正解だろう」って探りながら答えることがあるんです。そういう時は、正解を知りたいって思います。その場の正解ってあるじゃないですか。僕は言ったことを全否定されるのが嫌なので、自分の意見なんて言わなくて大丈夫です。すぐ合わせられます(笑)。

綾瀬:その気持ち、すごくわかります。私の場合、それとはちょっと違うんですけど、監督が「OK」って言う時、「うーん、まあ、OK」みたいな時がたまにあるんです。その「まあ」が知りたい。「大丈夫、大丈夫」って言ってるけど、さっき「まあ」の前に間があったな。あれは何だったんだろうなとか、時々考えちゃいます(笑)。

斎藤:確かに!

「たくみん」「姫」と呼び合う綾瀬と斎藤はまるで妹と兄のような仲睦まじさ。いや、彼を信頼してのびのびしている綾瀬と彼女をいつでもしっかり受け止めようと準備万端の斎藤は、お嬢様と執事に見えなくもない。いずれにせよ、木絵の妄想世界をライブで見ているような、実に活き活きしたやりとりだった。撮影現場もきっと楽しかったはず。ウキウキした気持ちがスクリーンからも伝わってくるような、楽しい作品に仕上がっている。

映画『高台家の人々』は6月4日より全国東宝系にて公開

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