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ファンキー加藤&小池徹平
『サブイボマスク』
小池徹平は天使みたいな存在
『サブイボマスク』ファンキー加藤&小池徹平 単独インタビュー

取材・文:須永貴子 写真:杉映貴子

FUNKY MONKEY BABYS 解散後、ソロアーティストとして音楽活動を続けるファンキー加藤が、映画初主演を果たす。その作品『サブイボマスク』は、加藤演じる主人公・春雄が、歌を武器に生まれ育った地元の町おこしに奮闘する感動コメディーだ。加藤が、春雄を支える存在である自閉症の青年・権助役を務めた小池徹平と共に、作品にどう挑んだのかを振り返った。

■権助がいるから春雄でいられる

Q:ミュージシャンとして活動してきた加藤さんが、映画に出演した経緯と理由を教えてください。

ファンキー加藤(以下、加藤):お話をいただいた当初は正直、尻込みしました。演技に興味はありましたけど、いきなりの主演、しかも主題歌も歌うとなると気軽には引き受けられないなと。でも、監督さんや脚本家の方の熱意と、事務所からの「こんなに誰かに必要とされることはありがたいことなんだから、逃げるなよ!」という叱咤激励を受けて、「わかりました」と。

Q:小池さんは、本作に出演するモチベーションはどこにありましたか?

小池徹平(以下、小池):一番大きかったのは、いただいた役です。監督さんから「権助は作品において天使のような存在でいてほしい」と説明を受けて、面白い役だなと。それプラス、加藤さんが主演で主題歌もやること、笑いの要素が多いことから、温かい作品になりそうだなと思いました。

Q:演技初挑戦となる加藤さんを支えよう、という意識はありましたか?

小池:いやー、全然なかったです(笑)。ただ、現場に入ってみると、撮影用語を全然知らないから、「ああ、本当に初めてお芝居をするんだ!」と気付いて、その部分ではフォローしたと思います。でも、芝居が始まると、初めてとは思えない。アーティストとしてではなく、主演俳優として現場に臨まれているんだな、いろいろなものを背負っているんだな、という気迫を初日から感じました。

■クランクイン前夜の初セッション

Q:春雄と権助の関係性はどう作っていきましたか?

小池:ロケ先の大分県に、クランクインの前日に入って、リハーサルをしました。

加藤:そこで初めて会いました。春雄は権助ありきの人間なんです。一人だとただのバカなんですけど、権助がいることで、兄貴分キャラや、人に元気を与えるキャラが出てくる。徹平ちゃんはリハーサルの時点で難しい権助役をしっかりつかんでいたので、春雄という役について迷っていた俺に、「春雄はこう演じればいいんだよ」とスイッチを入れてくれました。それまでずっと不安だったので、あの最初のセッションで「あ、大丈夫かも!」と思えてよかったです。

小池:ありがたいことに、クランクインのシーンが、映画の最初のシーンだったんです。そこからわりと順番通りのスケジュールだったので、関係性が作りやすかった。

Q:小池さんはどんな準備をしましたか?

小池:自閉症の方のための施設で撮った映像を見せてもらったり、『ギルバート・グレイプ』や『レインマン』を観て参考にしつつ、イメージを広げました。

■春雄はファンキー加藤が憧れる男

Q:ズバリ、春雄=ファンキー加藤さんですか?

小池:かなり近いと思う。

加藤:=俺というよりも、俺が理想とする男です。周りの視線を気にせず、一直線にバカを貫ける、憧れの存在です。

Q:どうやって春雄になりましたか?

加藤:ライブ中のファンキー加藤の1.5倍くらいのパワーを出せば、春雄になれるかなと。走って、歌って、叫んで、暴れる男なので、カロリーの消費が激しい。撮影中に油断するとすぐに痩せてしまうんです。監督から「体型が変わると編集のときに映像がつながらなくなるから少し食べて」と言われたので、意識してチョコレートやお米を食べていました。燃費の悪い男です(笑)。

Q:権助には少年のような華奢さがあって、白いTシャツがとてもよく似合っていました。身体作りに関して気を付けた部分はありましたか?

小池:前の現場が終わってすぐに、特に何もせず入りました。太らないようにしたくらいかなあ……。

加藤:徹平ちゃん自身がもともと天使みたいな子だからね!

小池:(笑)。強いて言えば、権助は筋肉質ではないだろうと思ったので、筋トレとかはしませんでした。

加藤:それにしても、権助は難しい役だったよね。監督も「権助ってこのシーンでどうやって動くと思う?」みたいに、徹平ちゃんに聞いていたくらい手探りだった。いろいろ相談しながらも、やっぱり天使だから、本番では予想外の動きをするんです。いい意味で危なっかしくて放っておけなかった。

小池:(カメラなしで行う)ドライリハーサルでおおまかな動きは決めますけど、考えすぎず、細かい部分は本番で直感的に動いていました。

Q:ある種、気まぐれに。

小池:そうすると、春雄が僕のお芝居にハッとしたりして、面白い表情が見えるんです。

加藤:何をするのかわからないから、権助に対する春雄のリアクションには、リアリティーがあると思います。

小池:全体的にいい相乗効果の中で、春雄と権助の関係性が作られていったよね。

■小池が感じた加藤の「歌の力」

Q:思い入れのあるシーンや好きなシーンを教えてください。

加藤:僕は春雄が泣くシーンですかね。橋の上を、後ろに権助を乗せて自転車で走っていたところを転んで泣き出すと、権助が歌で慰めてくれるシーン。なぜかというと、笑う、叫ぶ、怒る、という演技はイメージができたけれど、泣く演技がその瞬間になるまで、できるかどうかわからなかったんです。それが、声を上げて泣けたから、「ああ、なんかすごいな」って……。

小池:不思議な感覚?

加藤:不思議だった。だから「カット!」の声の後、超恥ずかしかった(笑)! 徹平ちゃんはどのシーン?

小池:僕は春雄が歌うシーンかなあ。加藤さんの歌の力はやっぱりすごいなと思った。春雄は、町おこしをしたい、みんなを笑顔にしたいという気持ちを「届け!」と願いながら歌っているんだけど、加藤さんが歌うことでジーンと熱くなるシーンになったんだと思う。

加藤:ライブのシーンは、普段やっていることの延長線上だから、他のシーンよりは少し気楽に撮影に臨めました。体力的には消耗が激しかったですけど(笑)。

小池:丸一日歌いっぱなしだったもんね。ワンシーンのために朝から日が暮れるまで。いやーほんとすごい。「やっぱ喉つえーな!」って。

加藤:権助もけっこう奇声を発するから、徹平ちゃんも喉を酷使したでしょ。

小池:そう。「喉ダメだー!」って(笑)。

加藤:撮影中は二人で「喉がー」って言っていました(笑)。

Q:この作品に出て、自分が「やるべきこと」「やりたいこと」について改めてどう考えましたか?

加藤:撮影中も、映画を観ても、周りの人たちを動かしていくにはものすごくパワーが必要だけど、そのパワーはきっと誰しもが持っているんだろうなと思いました。この映画に出た経験は、自分にとってすごくデカいっす。春雄みたいな男になりたいですし、特にステージ上のファンキー加藤はそうあるべき。外野からどれだけやいのやいの言われようが、自分の信念をもって、目の前にいるお客さんに言葉を投げかけていけるアーティストでありたいです。

小池:権助という、今までやったことのないような役に出会えて、チャレンジできたことで、今後が楽しみになりました。これからもそういう役に良いタイミングで出会えたらなと思います。

『サブイボマスク』は、ファンキー加藤と小池徹平それぞれにとって、未来へとつながる新たなチャレンジになった。今後の俳優業について問いかけると、加藤は「今回、最初は楽しめる余裕がなかったんですけど、最終的にすごく楽しかったんです。だからこれからもオファーをいただけるなら何でもやってみようという心境です」と即答。『サブイボマスク』は観客にも、勇気を与えてくれる作品に仕上がっている。

映画『サブイボマスク』は6月11日より全国公開

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