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市川染五郎&中川翔子&山寺宏一
『ポケモン・ザ・ムービーXY&Z』
「ピカ」「チュウ」で全てを語るピカチュウ先生の貫禄
『ポケモン・ザ・ムービーXY&Z』市川染五郎&中川翔子&山寺宏一 単独インタビュー

取材・文:高山亜紀 写真:高野広美

夏の風物詩となったポケモン映画。今年の『ポケモン・ザ・ムービーXY&Z「ボルケニオンと機巧(からくり)のマギアナ」』では、アニメ声優初挑戦の市川染五郎が声を務める男気あふれる幻のポケモン・ボルケニオンと、本作でなんと19作連続出演の山寺宏一が担当した悪の大臣・ジャービスがぶつかり合う。ポケモン映画10年目となったラケル王子役の中川翔子も交えて、ポケモン映画史に残る名演を見せた3人が大人も子供もハマる、ポケモンの魅力を語り倒す。

■声優たちも驚いたアニメ初挑戦の染五郎の演技

Q:染五郎さんとポケモンという組み合わせに最初、驚きました。初めての声優作品がポケモンだった率直な感想は?

市川染五郎(以下、染五郎):これはもう自分の体のサイズではないものをできたことが、一番の醍醐味だと思いました。歌舞伎も男に限らず、女役や化け物役もやる。いろんな役がありますけれども、さすがにボルケニオンのようなポケモンにはなれないので(笑)。

山寺宏一(以下、山寺):声優たちみんな、「歌舞伎の方の発声はすごいな」って驚いていました。染五郎さんは歌舞伎以外にもいろんな仕事をされていますが、人によってはいつもの声と違う声を、自分と違うキャラクターで出すって意外と苦手な方も多い。今回、役に近づくためのヒントになった役とかあったんですか。

染五郎:歌舞伎では、舞台上で生活感を醸し出してはいけないというところがあります。源義経役で出ているのに、「あの人、家ではすごくいいお父さんなのよ」なんて言われちゃって、それがちらつくようになると演じている役柄に見えなくなってしまう。生活が見え隠れしないようにある程度変身しないといけないのは、歌舞伎のどの役にもあてはまるので。そういう意味で声優と似ているのかもしれませんね。

山寺:松岡(茉優)も「ボルケニオンがもう、かっこいいんですよ!」って大興奮していましたよ。僕の声も入っていたのに、僕には誰も何も言ってくれなかった(笑)。

中川翔子(以下、中川):だって、熱くて、男らしくて……。ボルケニオンは自分の命よりも周りのために身をていして、愛の塊みたいなオスなんです。しびれました。こういう男子が今の日本にも増えてほしいです。

■もしも山寺宏一がポケモン映画からいなくなったら……

Q:山寺さんは、「おはスタ」卒業があったので、ポケモンの出演はどうなるのか多くの人々が心配していました。

山寺:「おはスタ」卒業とともにポケモンからもいなくなるって、みんな思っていたんでしょうけどね。この19作目に関してはなんとか出演できました。これが最後かもしれません。

中川:なんてことおっしゃるんですか。「今年はどこに山寺さんがいるのか」ってドキドキするのが、わたしたちかつて子供だった世代と新しい子供たち全世代の夏の迎え方、恒例行事なのであります。山寺さんがいなければいろんなことが成り立たぬ、です。

Q:今回はジャービス役ですね。新しいキャラクターを演じるときはどんな気持ちですか。

山寺:全て違う役なので、毎回新しい映画の新しいキャラクターに挑むつもりでやらせていただいています。なので毎回難しいです。「また山ちゃん、同じような感じじゃん」って言われないようにしなきゃいけない。悪役の中でもどっちなんだろうという感じのものもありますが、今回はわかりやすく悪いキャラです。ただ、ラケル王子に信用されてついてこさせなければならないので、そういう雰囲気も漂わせないといけないかなと気にしていました。やっていて、楽しかったですね。

Q:そのラケル王子という中川さんの少年役にもびっくりしました。

中川:今年は特に、それぞれの心の描き方がものすごく繊細で秀逸だから、観た世代によって、全然違う感じ方ができるすごい作品だと思うんです。ラケル王子は14歳の中学2年生くらいの心が多感な時期で、好きなことに対して前のめりになる、そんな共感できる部分があります。まっすぐ信じすぎたゆえに失敗して葛藤もするけど、弱くなるんじゃなくて、自分自身とちゃんと向き合う強さも持っています。ピュアでまっすぐで、人間らしさがすごくある。毎年ポケモンはもちろん、アンドロイドとかいろんな役をやってきたけど、今年が一番難しかったです。

■伝説や幻じゃないポケモンたちの戦いが熱い

Q:染五郎さんが今作で感じた、ポケモンの新たな魅力は?

染五郎:ピカチュウには、あの言葉(ピ・カ・チ・ュ・ウ)以外の言葉が必要ないことですね。いろんな感情があの言葉で伝わる。しかもかわいい。あらためてびっくりしました。

山寺:「ピカ」と「チュウ」のバリエーションだけですからね。

中川:最近のピカチュウ先生は貫禄が水戸黄門みたいで! かっこいいです。

Q:シリーズ全てに出演してきた山寺さんにとって、今作ならではの見どころはどこでしょう?

山寺:いままでのバトルシーンは伝説や幻のポケモンが出てきて、その迫力がすごかったですが、今回はいわば伝説や幻じゃない普通のポケモンたちが一つになって戦う。今までとはまた違う思いのこもったバトルが繰り広げられますから、そこが見どころですね。毎回ポケモンと人間、人間同士の家族など、さまざまな絆を描いていますけど、今回はそれがより濃いです。ラストの方では大人も泣けるんじゃないかと思います。

■妄想さく裂! 三人三様のぶっ飛んだメガシンカ

Q:今作ではメガシンカが見ものですが、皆さんは自分がメガシンカしたらどうなると思いますか。

山寺:メガシンカはバトル時だけ発動して、その時だけの力を得られるもの。僕も普段できなくても、本番だけ、急にモノマネが似ることとかあるんですよ。声優の仕事もそう。本番の緊張感で何かアドレナリンが出て、それまで出なかったキーが出る。一人だけ、別で収録するなんて時はダメ。スタジオで一発勝負って言われた時に、思い切ってやってみると、それまでかすれていた声がちゃんと出たりする。年に1回か2回そう感じることがあるので、それが常に出せるようになったらいいなと思いますね。

中川:わたしはレベル31(31歳)に上がりまして、それまではずっと、「髪の毛は長くなきゃダメ」「ピンクしか着ない」とか、自分であるための頑ななこだわりがあったんです。でもサトシたちと旅をしているセレナがコンテストで敗れて、前向きになるために髪を切るという場面にいたく感動して、生まれて初めて髪を短くしたんです。そしたら勇気が出て、楽しくなって。一人暮らしも始めて、ミュージカルの稽古のために自炊をしたら、何でも作れるようになって。テンション的に今が、これまでで一番メガシンカしているって感じています。でも、メガシンカって見た目が派手になるみたいなところもあるので、胸が8個くらいになってみたいですね。猫とかもいっぱいありますし、かっこいい。

染五郎:すごいなあ(笑)。僕は基本、年に9~10か月、歌舞伎公演に出演しているんですけど、必ずお化粧しないといけなくて、急いでやっても、30分はかかるんです。それを4~5役、やっているんで、一日に何度もやっては落とし、やっては落とし。それがメガシンカできたら、「フン」って力を入れたら一瞬で顔が変わるとかできたらいいな。ほかにも宙乗り、いわゆるフライングもあるんですが、それにはハーネスとかを装着したりしなきゃならないので、それも「フン」ってやったら「パッ」って飛べるようになったりしたら、もっといろんなことができるのになぁ。

中川:メガシンカが一番、活用できる職業ですね。

山寺:染五郎さんなら、いつかできる気がしてきます。胸8個(中川が考えたメガシンカ)と空を飛ぶ(染五郎が考えたメガシンカ)、か。僕のメガシンカ、全然大したことないなぁ(苦笑)。

歌舞伎役者ならではの発想がユニークな市川染五郎。一度語り出すとポケモン愛がとめどなくあふれ出る中川翔子。そして二人の独特な話をまとめ、かつうまく滑らかに引き出す大ベテラン・山寺宏一の話術には舌を巻いてしまう。インタビュー中は、次々に繰り広げられる個性際立つ3人のペースを味わう時間になった。それにしても、メガ歌舞伎とは! ぜひ、いつかの日か、実現させてもらいたいものだ。

(C) Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku (C) Pokemon (C) 2016 ピカチュウプロジェクト

『ポケモン・ザ・ムービーXY&Z「ボルケニオンと機巧(からくり)のマギアナ」』は7月16日公開

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