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室井滋&木梨憲武
『ファインディング・ドリー』
忘れることはいいことなのかもしれない
『ファインディング・ドリー』室井滋&木梨憲武 単独インタビュー

取材・文:永野寿彦 写真:高野広美

アカデミー賞に輝いた傑作アニメーション『ファインディング・ニモ』の続編となる『ファインディング・ドリー』。愛する息子ニモを捜して大海原を旅したマーリンの冒険から1年後を舞台に、マーリンの相棒である人気者・忘れんぼうのドリーが忘れられない家族の思い出を探して新たな冒険に出る。前作に引き続き声優にチャレンジした室井滋と木梨憲武が、本作の物語と愛すべきキャラクターの魅力を語った。

■前作を超えるために何年もかけた続編

Q:続編があると思っていましたか?

木梨憲武(以下、木梨):僕はあると思っていましたね。

室井滋(以下、室井):そうなんだ。わたしは全然ないと思っていました。

木梨:それと、前作があまりに素晴らしかったので、続編は絶対にそれを超えるものでなければならないと考えたんじゃないかって思いましたね。そういう物語ができない限りは作らないと決めていて。そのためにミーティングを何度も重ねてグレードアップさせたすごいものにするのに長い年月が必要だった。それが『ファインディング・ドリー』になった気がしますね。

室井:確かに。今から思えばドリーってすごく謎めいた存在だったんですよ。「どいてどいて」とか言いながら、ぶつかりそうな勢いで突然バーンと登場して。何でもすぐに忘れてしまうキャラクターだから、どこから来てどこに行こうとしていたのかもわからない。それがとても印象的で。もしかすると最初からこういうドラマも考えられていたのかもしれませんね。

Q:ドリーとマーリンを再び演じる難しさみたいなものはありましたか?

木梨:声がオヤジ声になっちゃったのは大丈夫かな、というのはとりあえず置いといて(笑)。前作からすごく心配性で、子供のニモのことや友達のドリーのことをうるさいくらいに気にしている感じで演じていたので、頭の片隅に残っていればそのままセリフは言えるんじゃないかなと思っていましたね。だから大変でもありましたが、楽しくやらせていただきました。

室井:長い期間はありましたけれど、前作の映画館での上映が終わった後もアイスショーの声や東京ディズニーシーで「タートル・トーク」というアトラクションもやらせていただいて。だから完全に忘れてしまったわけではなく、わたしの生活の中でずっと一緒にいたような感覚で。だから難しいというよりも、むしろもう一度ドリーを演じられて、すごくうれしかったですね。

■忘れることで前向きになるキャラクター

Q:キャラクターがそれくらい魅力的だったということですね。

室井:ドリーはホントに忘れんぼうで。良いことも悪いことも基本的には忘れちゃうという設定になっているんですけど、彼女を見ていると、忘れるっていいことなんじゃないかなって思える。両親を捜す最中には落ち込んだりすることは当然あるんですよ。でも、そういうことも一つのことが解決した時には、苦しみとか辛いこともどこかにスポーンと置いてきてしまうような感じで。それでいて大事なものだけ忘れていない。過去を振り返る時には大切なものだけしか残っていないというところが、ものすごく魅力的だなと思います。こんな風に生きられたらいいなって。

木梨:いいですよね。だって過去のイヤなこととか、やっちゃいけないこととか、しくじったこととか考えてしまうと、結局はグチの酒も飲んだりするハメになる(笑)。そういう嫌なところがいくつかなくなるだけでも気持ちが楽になりますよね。

室井:後悔というのは彼女にはないんですよ。

Q:マーリンもすてきなキャラクターですよね。

木梨:「危ないぞ危ないぞ」「気をつけろ気をつけろ」っていちいち言葉にするほどの心配性なんですけど、今回は成長したニモとチームになっていたりして、なんかいいなって。マーリンを通して、いろんなことを考えさせられますね。思えば前作の時は不安でいっぱいでしたから。僕がマーリン役で大丈夫かなって。アメリカからダメ出しがきて、違う人に代えられちゃったらどうしようって思っていましたから(笑)。前作で多くの人が僕のマーリンを見てくれているので、今回はその心配が少し減りました。

■映画館で堪能してほしいラストシーン

Q:演じる上で一番大切にしたことは?

室井:時を感じ取らせないことですね。

木梨:物語そのものは1年後の話だもんね。

室井:そうなんですよ。だからこの作品でもう一度ドリーを演じるにあたっての「肝」だと思っていました。

木梨:びっくりさせられたのは、物語の上では1年しか経っていないけど、CG技術は進化しているから、海の映像が素晴らしく美しい。完成した作品を観た時に、そこにもうすごく感激しちゃって。

室井:ホントに。ぜひ映画館で観てほしい。

木梨:映像はもちろん、ストーリーも音楽もキャラクターも見事に進化していて。そこに参加させていただいてホントにうれしいです。

Q:特に印象的だったシーンはありますか?

室井:ドリーとマーリンのラストシーンが素晴らしかった。とても大事なシーンだから何回も何回もやり直して、その度にちょっとグッときちゃうというか。マーリンと一緒にあの景色を見るために今回のこの冒険があったのかなと思えるぐらいすてき。あのワンシーンで2匹の関係性はもちろん、ドリーのいろんな思い、マーリンの優しさとかが伝わってくると思います。

木梨:思い出してきた! 「ニモー!」とか「ドリー!」と叫んだりするシーンは気持ち的にも簡単に乗れるんだけれど、こういう芝居どころみたいなシーンになるとなんかムードが変な感じになるんですよね(笑)。

室井:(笑)。

木梨:ちゃんと落ち着かないといけないんだけど、やばいやばいってなんか焦っちゃって。アワアワと何回もやり直ししちゃいましたね(笑)。

Q:本当に素晴らしいシーンでした。

室井:ああいうのを本当のラストシーンっていうんだと思います。ラストシーンってとても大切なものじゃないですか。この映画には素晴らしいシーンがいっぱいあるから、逆にラストシーンはどうやって締めくくるんだろうと思っていたら、とてもすてきな映像で胸がいっぱいになりました。

木梨:マーリンとドリーがほとんどしゃべらないラストシーン。もう言葉がいらない関係になっている。

室井:その関係性も彼女たちが見ている景色も永遠に続いていくかのような、すっごく幸せな感じがありますよね。最後にプレゼントも用意されているので、じっくりとその映像を堪能してほしいです。

ドリーとマーリンをモチーフにしたファションに身を包んだ室井と木梨は、役柄と同様に絶妙なコンビネーションで笑いの絶えないトークを披露。写真撮影時もポージングはもちろん、何度もシャッターを切るカメラマンに「何枚使うの?」「どうせ1枚だけでしょ」「6枚目を使ってよ」と話しかけるなど、持ち前のサービス精神を発揮して現場を明るく盛り上げる。まるでドリーとマーリンそのものだった。

映画『ファインディング・ドリー』は公開中

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