シネマトゥデイ

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神木隆之介&上白石萌音&長澤まさみ
『君の名は。』
男女入れ替わってもぴったりハマる
『君の名は。』神木隆之介&上白石萌音&長澤まさみ 単独インタビュー

取材・文:斉藤博昭 写真:尾鷲陽介

日本アニメの新たな才能として注目されている新海誠監督。その新作『君の名は。』では、東京の男子高校生・瀧(たき)と、田舎町の女子高校生・三葉(みつは)が、夢の中でお互いの心が入れ替わり、そこから思わぬストーリーが展開していく。声のキャストも注目されている本作。瀧を演じるのは数々のアニメで声の出演を経験してきた神木隆之介。三葉は『舞妓はレディ』に主演した上白石萌音。そして瀧があこがれるバイト先の奥寺先輩に長澤まさみ。この三人が、それぞれの役づくりや作品への思いなどを語り合った。

■監督への熱すぎる思い

Q:新海誠監督の新作に参加ということで、何か特別な意気込みはあったのでしょうか?

神木隆之介(以下、神木):新海監督の『秒速5センチメートル』と『言の葉の庭』は、もう20回以上は観ています(笑)。それくらい僕は監督のファンなので、今回のお話をいただいたときは、信じられない気分でした。

上白石萌音(以下、上白石):私は、今回のオーディションに受かってから、新海監督の作品に触れました。『秒速5センチメートル』と『言の葉の庭』を一気に観たんです。実写のようなリアリティーがある背景に、アニメーションらしいキャラクターが息づいている。そのコントラストが心地よくて、「こんなアニメ、初めて観たかも」と新鮮に驚き、感動しました。

神木:まさに、その通り! 僕なんて、監督に初めてお会いしたとき、興奮して質問攻めしてしまいました。『秒速』の第1部である「桜花抄(おうかしょう)」で、「そうかな?」「そうだよ」というセリフがあるのですが、「あそこを感情的にならずに、『そうだよ』にしたのは、どんな意図だったんですか?」とお聞きしたら、監督は「そこまで考えてなかった」と困っていました(笑)。『言の葉』も「いいえ」の言い方が2種類あったりして……。

長澤まさみ(以下、長澤):本当に新海監督が好きなんですね、神木くん(笑)。私は実はまだ監督の過去の作品を観てないのですが、いろいろな人が神木くんのように「大好き」と公言しているので、今回、ぜひ参加したかったんです。声のお仕事は難しいですが、すごく好きですし、チャレンジする部分も多いですから。

■心は完全に“女子”に!?

Q:神木さんと上白石さんは、一人のキャラクターなのに、異性の心が入り込んでくる難しい役。どんなアプローチをしたのですか?

神木:そこは監督と話して、やり過ぎないように注意しました。最初に録ったのが、三葉と入れ替わったシーンだったんです。三葉のシーンからアフレコが始まったので、そこから本来の瀧の声を高低差をつけて表現できた気がします。三葉のときは、完全に女子になりきっていました(笑)。

上白石:とっても、かわいい声でしたよ。

神木:ふだんから僕はそんなに乱暴な言葉は使わないですし……。

長澤:たしかに神木くんは、優しいイメージだからね(笑)。

神木:怖いです、その言い方(笑)。

Q:上白石さんも男子の気分になって演じたのですか?

上白石:私も瀧と入れ替わったシーンから始まったので、三葉に戻ったときに監督から「もうちょっと女の子っぽく」と指示されました。最初に監督から「三葉は自分だと思って演じてほしい」と言われていたので、彼女の気持ちに自分を重ねていったのです。瀧のパートに関しては、「オレ」とか使ったことのない単語も多いので、電車などで男子高校生の会話を盗み聞きして、勉強していました。

長澤:一つの役で入れ替わるわけだから、大変だったでしょうね。すごいなぁ、切り替えができるなんて。

上白石:あと役づくりで、神木さんの作品も参考にさせてもらいました。

神木:上白石さんから「男らしい役をやった作品を教えてください」と聞かれ、「11人もいる!」を薦めたんです。男らしいというか、ふつうの高校生の役ですが……。

上白石:参考になりました! 瀧に通じる部分もあり、「神木さんはこう話すんだ」と、インスピレーションをもらいました。

■二人のあこがれを先輩の声で表現

Q:一方で長澤さんは、瀧と三葉があこがれる「奥寺先輩」という大人の女性の役ですね。

長澤:映画での声優のお仕事は3度目ですが、今まではわりと、リアルな芝居が要求される作品が多かったんです。今回は奥寺先輩のキャラクターを、早い時期につかめたので、自然体というのはもちろんですが、声のトーンの変化とか、いろいろ気にしながら演じられたと思います。

神木:長澤さんの声、ステキでした。大人の女性という感じ。メインの登場人物が学生ばかりなので、その中で声もひときわ違う。「そうね」という何気ないセリフも魅力的でした。

長澤:大人びた言い回しが多いからね。新海監督が書いたセリフには含みがあったり、何かを考えさせたりするので、そこも相乗効果になったかと。

■純粋な気持ちが伝わってくる作品に

Q:完成作を観て、今どんな気持ちですか?

長澤:どんなに時代が変化しようと、また、人間にとってどこまで便利な世の中になったとしても、あこがれるのは“純粋”で“無垢”な気持ち。そんな感覚を味わえる作品でした。

神木:素直に感動しました。今回は、自分の本来の声とかけ離れていたけれど、その上でうまく表現できたのではないかと思います。これから観る方の反応が気になって仕方がないです。

上白石:私は最初、自分の声をスクリーンで聴いて複雑な気持ちになったし、反省点も浮かびました。でも後半になるにつれ、自分の声なんかどうでもよくなるほど、映像とストーリー、音楽に引き込まれて。結末も知っているのにドキドキして……こんな経験初めてです。

長澤:二人の声の演技にも感動しましたよ。瀧は、すごくヤンチャだけど誠実。もともとの神木くんの声質のせいか、どんなにメチャクチャをやっても、まっすぐさが感じられる。萌音ちゃんも、純粋な感じが三葉役に合っていた。今こうして萌音ちゃんを見ていると三葉に思えてくるし、スクリーンの三葉も萌音ちゃんに重なるもの。

上白石:(照れながら)ありがとうございます。

Q:では最後に、新海監督の大ファンである神木さんから一言を。

神木:新海監督の作品は、些細なニュアンスが重要になるんです。吐息だったり、かすれ声だったり、そういった「行間」にこだわりがあり、耳で聴いた心地よさも追求されます。声の演技は何度しても慣れないですが、今回はそういったことが勉強になりました。

新海誠監督の大ファンだと話す神木隆之介。その熱いトークを、上白石萌音はあこがれの表情で、そして長澤まさみは余裕の笑みで見つめる……。『君の名は。』の三人のキャラクターの持ち味が、そのままインタビューでの雰囲気にも表れていた。実写映画とは異なり、長い時間をかけて撮影現場で関係性を築いたというわけではない。それなのに、お互いの話に自然に自分のコメントを重ねるなど、まるで撮影現場を共にしたようにリラックスしていたのは不思議だった。それもこれも今回のキャスティングが、キャラクターに最適だったことの証明かもしれない。

(C) 2016「君の名は。」製作委員会

映画『君の名は。』は8月26日公開

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