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大ヒット!実写版「幽☆遊☆白書」その魅力を徹底分析

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Netflixシリーズ「幽☆遊☆白書」は独占配信中 - (C)Y.T.90-94

 Netflixオリジナルドラマ「幽☆遊☆白書」が大ヒットを記録している。週間グローバルトップ10(12月18日~12月24日)のテレビ・非英語部門では2週連続の1位を獲得。全世界78か国でベスト10入りし、日本をはじめ10か国で1位となった。日本発のVFXアクション作品がこのように世界的な人気を得るのは快挙と言っていいだろう。ここではドラマ「幽☆遊☆白書」の魅力をあらためて考えてみたい(※一部ネタバレを含みます)。(文:大山くまお)

「幽☆遊☆白書」とは?

 冨樫義博による「幽☆遊☆白書」の連載が週刊少年ジャンプ(集英社)で始まったのは1990年のこと。連載は1994年まで続き、コミックスは累計5,000万部を突破している。1992年からスタートしたテレビアニメも最高視聴率24.7%を記録する大ヒット作となった。原作コミック、アニメともに1990年代を代表する作品の一つであり、連載から30年以上経った今でもなお熱狂的なファンを持つ。

 ストーリーは交通事故で死亡した不良学生の浦飯幽助が生き返って霊界探偵として活躍、さまざまな妖怪と戦いを繰り広げるというもの。特に「暗黒武術会編」(戸愚呂兄弟編)と「魔界の扉編」(仙水編)は、ジャンプ王道のバトルものとして人気を集めた。また、美しいルックスの蔵馬とクールな飛影のキャラクター人気が女性ファンの間で大爆発したのも特筆すべき出来事である。

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実写化不可能と思われた原作に挑戦

 「幽☆遊☆白書」の人間界と霊界、魔界を行き来するファンタジックな設定、さまざまな形態や特徴を持つ妖怪たち、凝りに凝った設定の技を使ったド派手なアクションなどは、ハリウッド映画などではおなじみのものではあっても、日本の映画界では実現が難しいと考えられていた。

 今回はNetflix Japanの坂本和隆プロデューサーが中心となってプロジェクトがスタート。マーベル作品をはじめ数々のハリウッド映画を手がけてきたScanline VFXの坂口亮がVFXスーパーバイザーとして参加し、月川翔監督とともに、実に5年の歳月をかけて映像化に取り組んできた。なかでも重要キャラクターである戸愚呂兄弟に関しては、米ロサンゼルスにあるスタジオで集中的に撮影を敢行。俳優の表情のみを撮影してCGと合成することで、変幻自在な戸愚呂兄と体を巨大にパンプアップする戸愚呂弟の描写に成功している。

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戸愚呂兄弟 - Netflixシリーズ「幽☆遊☆白書」は独占配信中 - (C)Y.T.90-94

 最新技術と現場での試行錯誤の積み重ねでドラマ「幽☆遊☆白書」は完成した。原作の連載から30年以上の月日を経て、「幽☆遊☆白書」の世界観に映像技術が追いついたと言うことができるだろう。

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原作を大切にしつつ、それぞれの表現を追い求めた俳優たち

 主人公の浦飯幽助役に北村匠海、蔵馬役には志尊淳、飛影役は本郷奏多、桑原役には上杉柊平がキャスティングされた。原作のコミカルさを抑えつつ、幽助の持つ人を助けようとするまっすぐな気持ちを北村がひたむきに演じている。殴られても蹴られても向かっていく上杉の熱演も光っていた。

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ハマりぶりが評判の左京 - Netflixシリーズ「幽☆遊☆白書」は独占配信中 - (C)Y.T.90-94

 雰囲気がぴったりだったのが左京役の稲垣吾郎、幻海役の梶芽衣子、ルックスが原作とそっくりだったのが鴉役の清水尋也、原作のイメージを超えてきたのが垂金権造役の春海四方だろうか。おしゃぶりを咥えたまま話す難役を見事にこなしたコエンマ役の町田啓太も忘れてはいけない。

 もっとも重要だったのが、幽助に立ちはだかるラスボス・戸愚呂弟を演じた綾野剛と戸愚呂兄を演じた滝藤賢一だ。特に綾野は、肉体を異常にパンプアップしている怪物であるにもかかわらず、どこか人間であることを捨てきれない哀しさを漂わせながら、北村が演じる幽助と激しいバトルを演じてみせた。俳優陣が原作のキャラクターに敬意を払って大切にしながら、それぞれの表現を追い求めているところにドラマ「幽☆遊☆白書」の良さがあると感じる。

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日本映画ではなかなか見られないVFXアクション

 本編が始まってすぐに視聴者を引き込むのは、VFXと融合した激しいアクションだ。幽助と桑原のケンカも激しかったが、その直後の幽助がトラックに轢かれてしまうシーンにも驚かされた。このあたりで鷲掴みにされてしまう視聴者も多かったと思う。

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Netflixシリーズ「幽☆遊☆白書」は独占配信中 - (C)Y.T.90-94

 まだ霊丸(レイガン)を自在に使えない幽助と剛鬼(勝矢)のCGだけに頼らないフィジカルなアクションも迫力があったし(アクション監督は『HiGH&LOW』シリーズを手がける大内貴仁が担当している)、クライマックスの幽助たちと戸愚呂兄弟との激しいバトルのVFX表現も、従来の日本映画やドラマではなかなか見られなかったものだ。

 ドラマ「幽☆遊☆白書」は原作のストーリーを大胆に省略し、全5話に再構成している。その分、展開が非常にスピーディーになり、ドラマ部分とのメリハリをつけつつ、アクションの見せ場が強調されていたように感じる。原作を尊重するのは当然として、丁寧になぞることに腐心するだけではなく、アクション作品としての質を高めることで視聴者を引っ張っていこうという意図があったのではないだろうか。そして、それが成功につながっている。

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マンガ原作を実写化するときに大切なこと

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Netflixシリーズ「幽☆遊☆白書」は独占配信中 - (C)Y.T.90-94

 日本にはファンタジー要素やアクション要素の強い傑作コミックがたくさんある。しかし、それらを実写化するには非常に高いハードルがあるのは多くの人が認識している。ビジュアルが発表されれば、元のキャラクターと比較して「完全一致」かどうかを確認する声も多い。ビジュアルだけで非難の声も上がることもある。

 ただ、コミック原作の実写化は「いかに似せるか」ではなく、原作を大切にしながら「いかにすごいものを作るか」が重要なのではないだろうか。そうすることで登場人物も原作のキャラクターに似てくることがある。そんなことを感じたドラマ「幽☆遊☆白書」の成功だった。

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