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ネット的な映画?ジュード・ロウの女装が話題の『レイジ』は革新的映画

第59回ベルリン国際映画祭

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個性派俳優スティーヴ・ブシェミ(左)
個性派俳優スティーヴ・ブシェミ(左) - Photo:Yukari Yamaguchi

 2月8日夜(現地時間)、ベルリン国際映画祭で映画『レイジ』(原題)のワールドプレミアが開催された。コンペティション参加作でもある本作はジュード・ロウの女装が話題になっているが、実はベルリンで出演者が初めて顔を合わせたという不思議な映画でもある。サリー・ポッター監督、スティーヴ・ブシェミ、リリー・コールら主演者が会見でそのわけを明かした。

第59回ベルリン国際映画祭コンペ作写真入り

 本作は、ブルースクリーンを背景にカメラに向かって出演者が一人ずつ語りかけるシーンでほぼ全編が構成されている。画面には映らず声も発しないミケランジェロと名乗る若者らしき人物が、学習目的でファッションメーカーで働くモデルからボディーガードまでさまざまな立場の人々にカメラを向け、話をさせるという設定だ。背景のブルースクリーンが色を変えるだけの画面にいるのは話している人物一人だが、雑音が聞こえることで周りで起こったことはわかる仕掛けになっている。

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 俳優たちはカメラに向かっての一人芝居をすることになるわけだが、それだけに各々の持ち味が光る。派手なメークと衣装でなまめかしいなジュード、とぼけたスティーヴ、初々しいリリーに貫録のあるジョディ・デンチと、単調な画面を飽きさせずに見せるのは俳優の力量とセリフの面白さだ。

 会見に参加した俳優の中では一番のベテランとなるスティーヴだが、自分に向けられた記者の質問がわかりにくかったのか「何だって?」と答え、「おれは記者会見タイプのヤツじゃないから」と付け足し、会場を沸かせた。カメラマンを演じているスティーヴは、実生活ではカメラに追われる身であり、気付かれないようにと変装して余計目立ってしまった経験を明かしながら、サリー監督のおかげで役には入りやすかったと語った。

 撮影ではカメラの脇にミケランジェロ代わりのサリー監督がいつもいて、演じやすい雰囲気を作ってくれたとして「サリーはいい聞き役だよ」と言うと隣のリリーをはじめ、共演者が次々に「わたしもそう思う」と賛同した。監督と出演者の息は合っていたようだが、出演者同士の絡みはまったくないという映画なだけに「女優と会えてうれしいよ」とスティーヴはリリーに満足気な笑顔を向けた。ネット世代を強く意識したという監督だが、長い期間をかけて映画を完成させた共演者同士が実際に会うのは初めてというのもネット的と言えるかもしれない。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)

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